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ドラマトーク#11 2022冬のドラマ的近況

2月も早くも中旬になってしまった。
1月期の各局の連ドラ、今回はなかなか録画視聴が追いつかず、現時点で各ドラマ2話か3話までしか観ていない(放映自体は、作品によりバラつきはあるが大体3~6話あたりまで進んでいる)のだが、現段階での所感を書いていこうと思う。

期待通りに面白い『ミステリと言う勿れ』『ゴシップ』

『ミステリと言う勿れ』(フジ系・月曜21時)は以前、原作をちらっとだが読んだことがあり、ミステリー物ながら独特な作品だなあと印象に残っていた。
なのでドラマ化されるのは納得だし、練られたストーリーや魅力的なキャラクターなど原作の良さはもうわかっているので、あとはそれをうまくドラマに落とし込んでくれるといいな、と思っていたが、今のところ期待どおり、原作の持つ雰囲気のままの良作に仕上がっていると思う。
コアな原作ファンからは、登場する人物やストーリーの原作との差異が気になるという評価もあるようだが、私は原作の最初のほうしか読んでいないしそこまで読み込んでいるわけでもないので、単純にドラマを楽しめている。
菅田将暉をイケメン扱いせずに主演に据えていたり、ヒロイン役に伊藤沙莉が抜擢されているなど、キャスティングも魅力的。

オリジナル脚本の『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』(フジ系・木曜22時)も、事前情報などをみて面白そうだな、と思っていた作品で、こちらも期待通り毎話ストーリー展開の面白いドラマになっている。
1話完結物でありつつも、主人公・凛々子(黒木華)のミステリアスな過去の解明という全体を通した謎もあり、凛々子を取り巻くキャラクターやそのひとりひとりのエピソードの描き方も丁寧。
演じるキャスト陣も安藤政信野間口徹をはじめ演技力のある役者が揃えられていて、全体として派手ではないがなかなか見応えのあるドラマだと思う。

観てみたら良かった『となりのチカラ』『妻、小学生になる』

『となりのチカラ』(テレ朝系・木曜21時)は、松本潤が人は良いが弱気で何をやっても中途半端な主人公・チカラを演じるホームコメディ。
とドラマの概要を聞いた当初は、強気なパブリックイメージの松本とのギャップや、予告映像で見たあまりにへなちょこなチカラの姿に、正直あまり惹かれるものがなかったのだが、実際に初回を観てみたら面白かった。
『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』などを手掛けた遊川和彦のオリジナル脚本なだけあって、ストーリー展開の良さはもちろんながら、松本が予想以上にこのキャラクターにハマっていて良い。
社会派ドラマということで、虐待やヤングケアラーなど現代の社会問題を、決して簡単に解決という結末にせずに描いているのも見応えがあり、続きが楽しみなドラマ。

マンガ原作の『妻、小学生になる』(TBS系・金曜22時)は、亡くなった妻が子供の姿になって戻ってくる――、この設定を聞いたときはまず、あれ? なんか前にも似たような設定の作品なかった? と東野圭吾原作の『秘密』が真っ先に頭に浮かんだ。
『秘密』は妻と高校生の娘が事故に遭い、生き残った娘の身体に妻の魂が宿るという内容で、残された夫と高校生の娘(中身は妻)の悲恋物になるわけだが、娘が妙齢なだけに、こういうのも何だがちょっと生々しい雰囲気があった。

そのイメージが強かったので、それを小学生設定で、プライム帯の連ドラでやるの?? と始まる前は疑問だらけだったが、初回を観て大きくいろいろと予想を覆された。
まず、心配していた(?)生々しさは当然だがもちろんなく、また『秘密』と違って今作は、10年前に亡くなった妻・貴恵(石田ゆり子)がひそかに生まれ変わっていて、10年後小学生・万理華となって残された夫(堤真一)と20歳の娘(蒔田彩珠)の前に現れる、という設定なので、純粋にラブストーリーというよりは、家族の物語になっている。
さらにこの家族3人だけでなく、万理華の今の家族や、貴恵の弟・友利(神木隆之介)らとの関係も含めた「家族のストーリー」が描かれていくようだ。
そして何より素晴らしいのが、中身が貴恵の万理華を演じる子役・毎田暖乃の演技。
本当にナチュラルに、万理華=貴恵を演じているのである。

毎田は2020年後期の朝ドラ『おちょやん』(NHK)で杉咲花演じる主人公の少女時代を演じていて、そのときも達者な演技をするなあとは思ったが、役柄がしっかりはしているがある意味子供らしい子供の役だったので、中身が大人という今回の役を演じる想像があまりつかなかった。
今回の万理華のような設定の役は、ともすれば子供が無理に大人ぶっているだけ、な感じに陥るリスクを大いにはらんでいると思うのだが、毎田の演技は、本当にガワだけ子供で、しぐさや話し方、表情などすべてが大人、さらに言うなら石田演じる貴恵なのだ。
そのおかげで、ファンタジー的なストーリーではあるがリアリティがあって、観る側としても作品の世界に入り込んで観ることができている。

深夜帯ドラマが充実

今クールは、深夜帯の作品が充実している印象が強い。
特に『ケイ×ヤク -危ない相棒-』(日テレ/YTV系・木曜23:59)と『愛しい嘘~優しい闇~』(テレ朝系・金曜23:15)は、プライム帯のドラマでもいいくらいの内容やキャストのクオリティだと思う。

『ケイ×ヤク』は公安所属の警察官(鈴木伸之)と、ある目的のためにヤクザの世界に入った組の若頭(犬飼貴丈)がバディを組み、とある事件を追うサスペンスストーリー。
前クールでも2作品(『ラジエーションハウスⅡ』『恋です!』)にレギュラー出演していた鈴木と、昨年の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)に出演していた仮面ライダー出身(仮面ライダービルド/2017)の犬飼、さらにヒロイン役には今期『ファイトソング』にも出演している栗山千明と、深夜にしては十分すぎるキャスティングだが、それだけではなくハードボイルド系のサスペンスとしてのストーリー展開も良いし、演出や映像もこだわって作り込まれているようで世界観のしっかりしたドラマになっている。
わりと重苦しい雰囲気の作品ではあるのだが、主役の2人にちょっとBLの気配もあり、2人きりのシーンではややコメディタッチのやりとりがあるのも、物語の緩急がついて良い感じ。

『愛しい嘘』のほうも、主演の波瑠をはじめ、林遣都、『ゴシップ』にも男性1番手で出演中の溝端淳平、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』に出演中の新川優愛など、深夜にしては豪華な印象のキャスティングとなっている。
内容はラブサスペンスということで、こちらもなかなか先の読めない上手い展開で物語が進んでいっており、続きが気になっている。

さらに『鹿楓堂よついろ日和』(テレ朝系・土曜23:30)も良い。
いわゆるジャニーズ枠のドラマなのだが、公式サイトでも「癒し系飯テロドラマ」と銘打っているだけあって、主人公たちが営む古民家風和カフェで出される料理やスイーツの数々が本当においしそうに映っていて、観ているだけで幸せな気分になれる作品。
そして、料理とともにこのドラマにおける癒しの両翼を担うのが公式曰く「魅惑の着物男子」というわけなのだが、こちらは主演の小瀧望(ジャニーズWEST)を筆頭に、大西流星(なにわ男子)、葉山奨之佐伯大地の4人が、それぞれにタイプの違うイケメン和カフェ店員を演じている。
全体的にのんびりとした空気感で、各話ごとの料理に合わせたエピソードにもほっこりできるドラマ。

なお、この3本の深夜ドラマはいずれもマンガが原作という共通点があり、やはり原作物はうまくハマると強い。

異色医療系ドラマ、新旧朝ドラヒロイン、日曜劇場の顔 etc…

ここまで出てきた以外に観ているドラマ。
今期の医療系ドラマは『ドクターホワイト』(関テレ/フジ系・月曜22時)『逃亡医F』(日テレ系・土曜22時)の2本だが、どちらもだいぶ奇をてらった設定になっている。

『ドクターホワイト』は小説原作で、記憶喪失の謎多き女性・白夜(浜辺美波)が天才的な診断能力で誤診を正していく物語なのだが、浜辺が女性というよりは未成年の少女にしか見えないのがちょっと違和感…。
いくら能力が優れていても、素性が分からない未成年を診断チームに入れるというのはさすがにちょっと現実離れしすぎていて一歩引いてしまう。
さらに、出てくる誤診エピソードが(まだ2話までしか観ていないが…)、実は医療をかじっていた私のような人間からすると簡単に予想がつくような展開というか、天才的な診断能力を要するほどではないなと思ってしまう内容だった…。
とはいえ、白夜の正体は気になるし、共演陣も柄本佑勝地涼をはじめ個性的で芸達者な役者が多く出演しているので、今後に期待はしたい。

『逃亡医F』もマンガ原作で、殺人容疑をかけられた天才医師(成田凌)が、逃亡しながら行く先々で出会った命を助けつつ真犯人を追うという、だいぶ攻めたフィクションならではの設定。
まあ中途半端に非現実的なよりは、逆に物語の世界観に入り込みやすいかもしれない。

『ファイトソング』(TBS系・火曜22時)は、今期唯一と言ってもいい純粋なラブコメ。
ヒロインを務めた朝ドラ『おかえりモネ』(NHK・2021年度前期)を終えたばかりの清原果耶が主演だが、今まで恋愛メインの作品に出ている印象がほとんどないのと、今作の役柄が、恋愛に疎くスポーツ根性丸出しの空手の元選手と、今まで清原が演じてきた大人しかったり落ち着いた感じの役柄とは言わば真逆。
イメージにない役柄、かつ恋愛物に清原がうまくハマるのか、そこがドラマが盛り上がるかどうかを左右することになりそう。

また、清原と三角関係を演じるのが間宮祥太朗とSexy Zoneの菊池風磨になるわけだが、男性1番手が間宮というのは正直ちょっとパンチが弱いな、というのが配役を知ったときの最初の感想。
間宮と言うと、2018年の朝ドラ『半分、青い』(NHK)でヒロインと離婚する映画監督の役をはじめ、最近だと『#リモラブ』(2020年・日テレ系)や『ボス恋』(2021年・TBS系)などでのいわゆる男性2番手以降の役で存在感を示していて良い役者さんだとは思うが、ヒロインの相手役としては未知数である。
今回の役柄と、間宮のちょっと影のある雰囲気とはマッチしていると思うので、今後、やっぱり1番手が彼でしっくりくるな、と思える演出や展開になることを期待したい。

『ムチャブリ! 私が社長になるなんて』(日テレ系・水曜22時)も元・朝ドラヒロインの高畑充希が主演。
前出の深夜枠『愛しい嘘』の波瑠も含め、今期は朝ドラヒロイン経験者が3人主演を張っていることになる。
高畑のビジュアルが、30歳OLという設定にしてはちょっとおばちゃん感が強い気がするが、観ているうちにだんだん慣れてくるのかな…。

最後に日曜劇場の『DCU』(TBS系・日曜21時)だが、主演の阿部寛、もう何回この枠で見たかわからないくらい、出過ぎな印象が…。
しかも直近が昨年の4-6月期の『ドラゴン桜』なので、1年開けずに同じ枠というのは、もうちょっと時期が何とかならなかったのかな、と思ってしまう。
さらに、同枠で2作品前の『TOKYO MER』となんとなく作品の全体的なテイストというか雰囲気が似ているのだ。
『DCU』は海上保安庁内の潜水特殊捜査隊チームの物語、一方『MER』はERカーによる救命救急チームと、題材は全然違うはずなのだが、毎回事件や事故が起こりその解決にチームが奔走する構成だったり、チームの中に主人公に反発するメンバーがいる構図、お揃いのユニフォームを着て出動するなど共通する点が多すぎて、後発の『DCU』に既視感を抱いてしまう結果に。
これも、放送時期がもう少し離れていたらまた抱く印象も違ったと思うので、とにかく、なんで今なんだろうという疑問。
ドラマ自体は面白そうだし、阿部だっていい役者さんなのに、もったいない。

それに加えて極めつけは、前クールの同枠『日本沈没』にレギュラー出演していた中村アンが今作にもメインキャストの一人として出演していること。
他局や他の枠ならともかく、さすがに同じ枠での2期連続は、観る側もなんだか混乱するし、また出てるよとなってしまう。
役柄が全然違うなら多少いいかなとも思うが、主人公率いるチームの一員、という点では似通った役だと思うし、決して中村を否定するわけではないが、ほかにもこの役が務まる役者はいたんじゃないかと思ってしまった。
でもドラマ自体は、毎話の事件解決と、全体を通して謎が解き明かされるであろう15年前の事件の真相解明のどちらも面白そうなので、気になることはあれこれあるが、純粋にドラマを楽しみたいと思う。

これ以外に『真犯人フラグ』(日テレ系・日曜22:30)は引き続き最後にイッキ観するべく録画中。
NHKの新しい大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK・日曜20時)と朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(月~金朝8時)も引き続き観ている。

とりあえず、溜まっている録画をがんばって消化せねば…。

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