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産後3日で職場復帰って・・・

はじめまして。

日本経済新聞で毎週月曜日に掲載している女性面「Women@Work」の編集長をしている中村奈都子です。新聞をお読みの方は月曜日の朝刊、日経電子版をご覧いただいている方は月曜日の「社会・くらし」→「ダイバーシティ」からお読みいただけます。さらに火曜日以降はNIKKEI STYLEの「WOMAN SMART」で無料公開していますので、ぜひアクセスしてみてください。これからは女性面の解説を含めて女性のキャリアに関することや働き方改革、時々グルメや消費についても投稿したいと思っています。よろしくお願いします。

早速ですが、1月18日付のメインテーマは「女性議員にも産休期間を」

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO68189560V10C21A1TY5000?channel=DF13012016601

企業などで働く女性は、基本的に産前6週間、産前8週間休むことが労働基準法で規定されています。目的は母体の保護です。私は海外で出産したこともあり無痛分娩でしたが、それでも麻酔が切れた後はあっちもこっちも痛くて歩けませんでした。何時間も陣痛に耐えたり、帝王切開だったりしたときの身体的負担は相当なものでしょう。それなのに特別職の議員にはこの法律が適用されず、ほとんどの議会で産前産後の休業期間も明文化されていないのです。実際にどんなことが起こっているのでしょうか。

山形市議の伊藤香織さん(39)は2019年5月、車イスで議会に現れた。初産から3日後のことだ。主治医に外出許可をもらって痛み止めの注射を打ち、父が運転する車でやって来た。だが、帝王切開した体は思うように動かせない。議場の階段で市の職員2人が車イスごと持ちあげて自分の席に運んでくれた。

帝王切開からわずか3日での仕事復帰。この日は議長を選出する投票日という特別な日でしたが、母体への影響がとても心配になります。橋本聖子・男女共同参画担当相が2000年に出産したときは産休が認められていないどころか、欠席届の理由欄に「出産」という項目すらありませんでした。相談したら「突発的事故」と書くように指示され、ぶっ飛んだと。しかも議員辞職しろといった批判も多く「とても悲しかった」と話してくれました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63493440V00C20A9TY5000

これでは女性が政治家になろうとはなかなか思えません。実際、全国で1700超ある自治体で、女性が一人もいない議会は300以上あります。都道府県議会も市議会も町村議会も、女性議員の比率は1割超にとどまります。

今年は衆院選が予定されています。衆議院議員の女性比率は9.9%。前回(2017年)の衆院選候補者に占める女性比率は17.8%でした。政府は今後5年間で候補者比率を35%に高めることを目標にしていますが、現段階では前回を下回りそうです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE294L10Z21C20A2000000

水無田気流さんはこうした現状について次のように書いています。

政治決定の場に女性がいないということは、単に女性向けの政策が進まないだけではない。これまで問題視されてこなかった課題が争点化される機会を阻むことにもつながる。ジェンダーのみならず、マイノリティーの問題は「問題視すらされないこと」の方に多く潜んでいる。

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO67778230Y0A221C2TY5000?channel=DF130120166018&n_cid=LMNST011

昨日開会した通常国会の演説では「多様性」という言葉が何度も出てきました。多様な人々が生きやすい社会、いまこそ議論したいテーマです。

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