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新ポケモンと見るイギリス文化①

 こんにちは。鎧の孤島に引き続き、冠の雪原も解禁されたということで一層の盛り上がりを見せているポケモン。そんなソード・シールドの主な舞台となっているのはご存知の通り「イギリス」だと言われています。

 個性的なポケモンが勢揃いしているポケモンにおいて、一体どの様な形で特色を絡めているのか。幾つかのポケモンをピックアップして纏めていきます。

アーマーガア

 対戦環境でも顔を出していたポケモン。事前情報で解禁された時はそのデザイン性やタイプ、特性から様々な考察がされていました。

 モチーフは「ワタリガラス」。日本では不吉なイメージを抱かれやすいのですが、イギリスでは国鳥とされており、「ロンドン塔からカラスが消えたらイギリスは滅ぶ」という言い伝えが残っています。

 何故そう言われるまでになったのかというと、イギリスの神話である「アーサー王伝説」が深く関わってきます。今回のストーリーの根幹にもなっている神話ですが、この中に「アーサー王が魔法でワタリガラスに変えられてしまう」と言った話があります。つまり、このワタリガラスを傷付けるということはアーサー王に対しての謀反でもあり、実際にロンドンで大火災が発生した際にも繁殖したカラスは権力者に保護されています。その名残から、ロンドン塔では今もカラスが飼育されている様です。

 その他の神話である「ケルト神話」「北欧神話」「ギリシア神話」でもこのカラスは登場しており、いずれも重要な役目を担っていることからもイギリスとカラスの密接な関係が読み取れます。

 他にもこのアーマーガアの特筆すべき特徴として「空飛ぶタクシー」としての役割も担っている点が挙げられます。過去作品でいう秘伝技である「そらをとぶ」であり、旅をする上で重要なファクターの一つです。

 これには、ロンドンタクシー、通称「ブラックキャブ」という150年以上の歴史を誇る、高級タクシーがイギリスの名物として親しまれています。

 クラシックな見た目のディーゼル車でかっこいいですよね。僕はこういうの大好きです。ちなみに、この「ブラックキャブ」の運転資格を得るのは大変難しく、一説には世界のどんな資格を得るよりも難しいと言われるほどです。

 アーマーガアは、この黒という印象とマッチさせてガラル地方では「空飛ぶタクシー」として旅を助けてくれる存在になっています。

ガラルジグザグマ

 ガラル地方のリージョンフォルムとして登場した第3世代産のポケモン。派手な見た目から衝撃を受けた人は多いのではないでしょうか。

 この配色は、ヨーロッパアナグマという動物から着想を得てるのではないかと言われています。

 この顔周りの特徴的な白黒模様がガラルジグザグマのモチーフになっているわけですね。元々、ジグザグマ自体は「まめだぬきポケモン」として分類されており、進化後のマッスグマになってようやくアナグマモチーフになるので進化前からその特徴が反映されている点はまぁ深く突っ込まない事にして。

 もう一つ、このガラルジグザグマ関連からもう一つの面白いイギリスの文化が読み取れます。

 それは「パンクロック」との関連性です。イギリスは19世紀頃に、スーツを生み出した国としても有名で、他にも数々の貴族階級御用達のブランドであるBurberryもイギリス発祥の100年以上続く老舗ブランドも排出しています。他にも代表的なブランドはMackintosh、Paul Smithとか。これらのルックや代表作品を見る限り、綺麗で、正統着としての特徴を持っているのがわかります。「英国紳士」なんて言われたりもしますし。そんなイギリスにカウンターカルチャーとして生まれたのがこの「パンクロック」です。

 代表的なバンドでいうとSeX PISTOLSでしょうか。

 彼らの服装を見ると分かる通り、上流階級の様な綺麗さはなく、派手さ荒さが感じ取れます。

 それもそのはずで、当時のイギリスは中東戦争の影響で市民の生活水準の低下や、失業率の上昇など数多くの不満を市民は抱えていました。そんな社会情勢に対する反骨精神を音楽とファッションに取り入れたのがこの文化の起源です。

 さて、余談が長くなりましたが、ガラルジグザグマの派手なデザインの構想はここから着想を得てるのではと思います。

 他にもこの「パンクロック」をモチーフとしたポケモンが存在します。

 ストリンダーですね。「パンクファッション」を代表する髪型であるモヒカンもしっかり再現されています。分類も「パンクポケモン」であり、特性も「パンクロック」と露骨なまでに「パンクロック」文化を取り入れています。そしてこのガラルジグザグマの進化系であるガラルタチフサグマ、そしてストリンダーを手持ちに加えているジムリーダーはというと…

 そう、ネズです。派手な見た目に加えて、彼自身がアーティストであり、BGMはロック調の専用BGMが用意されています。他にも、敢えてダイマックスを使わないという反骨精神が見られる点、妹のマリィの応援団である「エール団」の服装からも「パンクロック」という文化に即してのキャラ設定だということが読み取れます。彼の得意とするタイプが「あく」なのもこのアンダーグラウンドに類する文化ということの表れなのでしょう。

総括

 こう見ると、随所に拘りが見られて、改めてポケモン側の芸が細かいなと感じます。本当はもっと紹介したいポケモンがいるのですが、たった2匹でここまでの尺を使うことになってしまいました…。

 それにしてもイギリスは島国ということもあって色んな文化が存在していて面白いなと改めて感じました。

 続編は気が向いた時にでも更新しようと思います。

 では。

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