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パキスタンの刺繍

パキスタンの刺繍は歴史のある伝統工芸であり、色使いやデザインは地域ごとに大きく異なり、各地域特有の文化、歴史、芸術の影響が大きく反映されています。 パキスタンの刺繍をいくつか紹介します。

シンドの刺繍:幾何学模様、ミラーワーク、明るい色使いが特徴的です。鮮やかでカラフルなデザインで知られていて、幾何学的な形、花、孔雀が多く使用されます。

シンドの刺繍

バロチの刺繍:明るく大胆な色使いが特徴的で、赤、黄、青などの原色を独特に使用しています。幾何学模様、動物、植物などの自然や日常生活からインスピレーションを得たモチーフが多く使用されます。

バロチの刺繍

パンジャーブの刺繍:花の細工という意味で「プルカリ」とも呼ばれ、縁起が良いとされる赤い糸が使われることが多いです。幾何学模様、花、葉などのモチーフが多く使用されます。基布が見えないよう隙間なく無数の模様が刺繍されています。

パンジャーブの刺繍

カシミールの刺繍:カシミールの刺繍は、細い糸と複雑なステッチを使用した、繊細な針仕事で知られています。ペイズリー柄、チャイナーの葉、花のモチーフ、自然美の表現がよく組み込まれています。

カシミールの刺繍

ムルタンの刺繍:幾何学模様、ミラーワーク、明るい色使いが特徴的です。幾何学模様や抽象的なデザインがよく組み込まれています。

ムルタンの刺繍

カッチの刺繍:地理的にパキスタンに近いインドのカッチ地方の伝統的なスタイルです。綿と絹の糸、ミラー、ビーズを使用し、明るい色使いが特徴的です。幾何学模様、動物や鳥など幅広いモチーフが組み込まれています。

カッチの刺繍

ザルドジの刺繍:金属糸、半貴石、真珠、ビーズを使用した豪華ロイヤル・デザインです。シルク、サテン、またはベルベット生地に施された重厚で精巧な金属刺繍で、結婚式の衣装や正装に使用されます。

ザルドジの刺繍

ゴタ:ゴタは細工方法の名称で、金や銀などサテンのリボンを生地に縫い付けて、手の込んだ模様を作成します。もともと本物の金や銀の金属が刺繍に使用されていましたが、最近では、コーティングされたポリエステルが使用されています。結婚式の衣装や正装に使用されます。

ゴタ

こうした地域的な違いは、パキスタンの豊かな文化的多様性の証です。刺繍に使用される技術、色、モチーフからなる刺繍は、文化的表現と芸術性の貴重な形式となっています。

パキスタンの刺繍の分布図