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真っ赤な満月


時空を越えてきみに逢いに行けたなら


今度こそ西瓜をキレイに割ってみせたい


あの形の悪いぐっちゃぐっちゃの西瓜


本当は目隠しをずらしてズルをしたんだ


それなのにキレイに割れなかった


きみはその西瓜を全部塩をいっぱいかけて

しょっぱくして苦々しく食べては


縁側から種をぶっ飛ばしていた


私も縁側に座って一緒に食べたい


今度はキレイに割るよ


「ハチマキは額にするんだ」


きみはそう言って


満月の様に円い西瓜を置いた


額にハチマキをキュッとして


真っ直ぐに進んで


「コノー エイッ、ヤー!」


ああ キレイに割れたよ!


真っ赤な満月みたいに断面が輝いて


キーンと冷えたスプーンで


まずは瞼を冷やしてから


満月の西瓜を二人で笑って食べるんだ


あんまり塩はかけないで


涙の塩味ぐらいで十分だよ


それで十分あまーい果実を
二人で頬張って

この夏の思い出のひとつにしたい


西瓜の種を飛ばして


笑い飛ばして


夜を越えて


時空を越えて

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