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「クリニックのリノベーション」完成プロセス③ プラン検討編

少し時間が経ってしまいましたが前回でテナントが確定し、いよいよ設計がスタートです。いろんな準備があり、プロジェクトによっても順番は前後しますが、どのようなことをするのか書いていきます。

まずは状況把握。

・写真整理
現地調査を行った際に大量に写真を撮っています。それを整理していきます。部屋ごとにフォルダで分けたり、一式印刷しいつでも見れるようにします。最近は写真に加えて、動画も撮影しています。やはり写真だけで網羅することは難しく、見たいところがちょうど写っていないなんてことはザラにあります。近くならまた行けば良いですが、遠方だとそんなすぐには行けません。その時に動画があると情報が補完されるので、おすすめです。

・既存図起こし
CAD(図面をパソコンで描くソフトウェア)がない時代に建てられた建物だと間取り竣工図をオーナーや不動産屋からお借りし、それを元に作図をすることが多いです。ただ、図面をそのまま起こしても実際にはそうなっていないこともあるので、気をつけないといけません。現場で変更していたり、建物が活用されていく過程で間取りや設備などの変更が行われている可能性があります。今回も扉の位置が数ミリではなく、大幅にずれていることに途中で気づき、家具のサイズなどを急いで変更した経緯があります。

そして、いよいよ設計の準備も整い、要望をヒアリングしたことを中心にどのようなプランが良いか考えていきます。このときに具体的に間取りや空間のイメージをお持ちの方もいれば、漠然としかない方やそれは人それぞれです。今回はクリニックということもあり、患者さんの動線やスタッフの裏動線などは細かく設定する必要もあり、間取りのイメージは最初から明確に持たれていました。

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現地を訪れた後に施主からいただいたスケッチ。受付/会計の位置、待合室1と待合室2などが描かれ、患者の動線などの考えが読み取れます。ちなみに図面は竣工図(完成図)のコピーにペンで描かれています。

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WCが2つ必要で、これも特徴でした。WC1が患者用、WC2はスタッフ用と分けています。検尿の受け渡し口が必要でそれをどこで行うかがスタッフの動線を考える上で重要な要素で何度も話し合いました。当初はWC1からWC2に穴を開けて受け渡すことが動きに無駄がなく良さそうだということで話している程度にとどまっています。

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別案。裏動線(スタッフ動線)について考えると診察1と診察2は裏側で移動でき、さらに受付とも裏で連続しています。裏動線として患者側に出ることなく、移動でき非常に効率的です。

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ただし、待合室2がなくなるため、廊下に椅子を並べて席数を確保できないかとの考えに至っています。結果的には廊下の幅からすると椅子を置くことは現実的ではないと判断しています。

以上のスケッチが送られてきて、これらを踏まえて設計をスタートしています。

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現地調査時に竣工図の写真も一式撮っていて、それを元に必要箇所を作図しています。コンクリートの躯体(壁)を平面で起こし、そこに施主要望をベースに具体的な寸法を入れながら検討を進めていきます。これまでのヒアリングで重要な要素はいくつかありました。

・待合室の席数は結構必要
・検尿口の受け渡し
・スタッフ動線の円滑さ
などなど。

待合室は1と2を設け、一人の席幅を500mm取ると17席とれそうなことが分かりました。そして、診察室の部屋の幅を調整し、待合室とのバランスを探っています。WCは要望のままにしておくのが良さそうなので、一旦はそのままとしています。他にはスタッフの休憩室、レントゲン室、診察室2を空いている場所にひとまずエリアを確保していきます。

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別の案も検討して提案しています。
思い切って、患者トイレを待合室にしています。そうすることで5席ほどとることができます。試しに廊下に椅子も置いていますが、約1mの幅しかないため、40センチほどの奥行きの椅子を置くとかなり狭いことが分かり却下。

診察室同士の連携は図れ、使い勝手は良さそうです。WCはスタッフ用を患者用にし、その隣の部屋をスタッフ用としています。

また待合の椅子の幅を50センチとしていますが、そこをもう少し詰めることも検討しています。比較してみたのが、人が並んで座っている電車。現在の電車は約46センチということが分かりました。上着を着ていると電車では隣と肩が接するような幅のため、あまり狭くするのは窮屈な印象を生みかねません。男性の肩幅は平均で45センチほどなので、そもそも電車は隣に座ると少しぶつかるような寸法になっているので、それ以上は確保したほうが良さそうな印象です。

初期のスタディではまず要望のある室をどう確保し、動線をつくるかを中心に行っています。満足いく使いやすい空間とするために、あらゆる可能性を模索し、最適解に近づけていきます。何を優先すべきか、何がポイントとなるのか少しずつ明確になっていきます。

次回もプランの検討の続きを書きます。

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家具から公共建築までを全国で手がける名古屋を拠点とした設計事務所。建築の萌芽にもなっていない小さなことも積み重ねていくボトムアップの姿勢で建築というものを捉え、取り組んでいます。 HP:https://nm-9.com/