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yaam
地面師事件前後も丁寧に描いた力作
本書の概要
実力派会長の突然の辞任。それは、社長の「保身」によるクーデターだった!
積水ハウスでは2018年、地面師事件の全容解明を進める会長が失脚した。
背景には、事件への社長責任が明記された「調査報告書」の存在があった。
責任を問われた社長が、会長を返り討ちにしたのだ。
11年のオリンパス事件以降、東芝、日産自動車、関西電力、東京電力とトップ企業の不祥事が繰り返されている。
下には厳しく、上には優しい、名ばかりのコンプライアンスはなぜ蔓延したのか?
積水ハウス事件から、日本企業の腐敗構造までも暴く経済ルポ!
読了後の感想
大手不動産会社の積水ハウスが地面師事件で50億円以上の被害に遭い、その後に社内クーデターで会長が辞任、という一連の事件があったのだけど、当時は地面師事件なんて昭和でもあるまいし、ましてや不動産のプロ中のプロである積水ハウスが詐欺に引っかかるなんて失笑の対象でしかなく、どういう手口でこの事件が起きたのかというところにしか着目しなかった。
が、本書はその前後の社内力学の変化と会長の辞任劇を会長側の視点から描いている。そう、丁寧に取材をしているものの、追い出された側からの意見が多く、それ自体は文句はないし、取材した結果著者が辿り着いた答えなのだから否定もしようがないが、この点は頭に入れておく必要がある。だって、和田会長の功罪のうち、罪の部分も結構あるだろう。例えば、トップに20年も君臨し続けたり、際限ない海外事業の拡大であったりと。
あとは、日本企業の劣化だのコーポレートガバナンスだのを語り始めるのもどうかなと思う。
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