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台湾統一地方選挙の結果に関する私見

11月26日に行われた台湾での統一地方選挙で、直轄市といわれる主要都市の市長戦で国民党が6戦4勝、その他の都市21のうち、民進党推薦候補者が勝ったのは5都市と民進党惨敗、というのは間違いありません。が、これをもって、台湾が中国共産党に融和的になるかというとはなはだ疑問です。

地方選は政党の人気投票

その理由の1つは地方選の争点は対中国共産党というのが含まれておらず、どちらかというと、その地方地方での政党の人気投票に近い形になっているからです。また、地方ごとに政党の強さというのが決まっていて、民進党が強いのは南部だけ、北部東部諸島部なんかはずっと国民党推薦の候補者が選挙に勝っているわけで、アメリカの青い州、赤い州に近いともいえます。
選挙後の報道をみてても、美女10人候補者の行方みたいな形で特集が組まれていたりと、いい意味でも悪い意味でも国政とは少し違うものと感じますね。

今回は突発的なイベントなし

2020の総統選は香港民主化運動の弾圧直後ということもあり、今日の香港は明日の台湾という危機意識のもと、蔡総統が勝利したという形でしたが、今回は特になし。むしろ、ペロシの訪台にはじまり、中国共産党の抗議に対する戦闘口調での反論というあたり、そろそろ台湾国民の中では脱蔡政権という機運になっているのかもしれません。それと忘れてはいけないのは、そもそも国民党の一党独裁時代が長かったので、台湾全土に支持基盤があるということです。一方の民進党はあくまでも民主運動の中で誕生した政党なので、基盤の強さが違います。老舗企業とベンチャー企業くらい違いがあるのではないでしょうか。

2024年はどうなるか

今の流れだと予測不可能ですが、現在進行形で行われている上海をはじめとする中国の都市部での中国共産党への抗議活動をどう対処するかが1つの鍵になるのではないかとみています。台湾国民自体はそれほど争いが好きというわけでもないので、今回の抗議活動が丸く収まる形だと、民進党離れがさらに進むというのがあり得ると思います。

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