母の日

母の日

2017年で賞味期限が切れたココアがずっと米櫃の棚の中につい先日まであった。

今の自分の食生活からは考えられないが、2017年当時はコーヒーといえば、砂糖とミルク入り、ココアも好きでよく飲んでいた。近所のスーパーで買えるココアにもいくつか種類があって、甘くてお気に入りのが1つあった。

9月末だったか、10月頭だったか、少し肌寒い日があったか無かったかくらいの時に、母が買ってきてくれた。
「あんたコレ好きやろ?」というセリフがやたらと残っている。

その後程なく、癌が発覚して、あっという間逝ってしまった。

その米櫃の棚には電子レンジがのっかってて、いつだったかの母の日にプレゼントしたものだ。母親は使用し始めた日を書き込む癖があって、確かレンジの裏かどっかにも書いてた。
当時にしては、オープンとレンジあと、パンかなんか焼ける機能みたいなのがついててなかなかハイカラだったと思う。

去年だったか、そのレンジも故障して
しまい、新しいレンジに買い換えた。
なんとも、仕方がない事なのではあるが、処分するときにはなんとも言えない気持ちになる。

母がいなくなった事で、調味料の類がどんどんとどうしようもないくらいの賞味期限切れを起こし、処分されていった。

棚のココアも捨てないで欲しいと思う気持ちと、捨てざるを得ないという理由は理解できていたので、なんとなくそのままにしておいた。そして、先日帰宅するともうなくなっていた。

あ、ココアなくなってもうた。


母の日になると、電子レンジの事を思いだす。

僕の人生はあとどれくらいの残されているだろうか。
受けた愛情や気持ちに、何も返せないままで終わるのだけはもう絶対に嫌だ。

家、買ってあげたかったな。

2023.5.15

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