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【ぶらり読書の旅】世界は贈与でできている<2020年振り返り>

こうさかです。(2020年読書リスト)
読んだ本の感想を、文字と音声でお届けします。

2020年に読んで良かった本を振り返ります。

<書籍名>
世界は贈与でできている
(著者:近内悠太)

手に取ったきっかけ

ボイスメディアVoicy放送「荒木博行のBook Cafe」より紹介。

本の概要

お金で買えないもの=贈与の原理。「贈与」という言葉の定義を掘り下げながら、大切な人との関係性を見つめ直す。
贈与に関する新しい言葉と概念を得て、「生きる意味」「仕事のやりがい」といった金銭的な価値に還元できない大切なものを手に入れる。

本の要約サイトflierより。

印象に残った内容

①人を頼るために

「助けてあげる。で、あなたは私になにかしてくれるの?」という反応が返ってくることをどこかで恐れていたからでないでしょうか。そして、もしそう反応されてしまったら、彼は「差し出せるものは何もない」と答えるしかなかった。
【第2章 ギブ&テイクの限界点 P55】

贈与的なつながりがない「交換の論理」の世界だけで生きていると、人を頼ることすら難しくなる。相手に何かをしてほしかったら、対価を差し出すしかないと思い込んでしまうため。
「つながり」がより重要視される昨今であるが、対価を求められるビジネス文脈だけの関係では、この先生きていくことが辛くなると思う。無条件に一緒に居れる、助け合えるつながりを大切にしたい。

②誰かに届く、想像力をもつ

贈与は届かないかもしれない。
贈与は本質的に偶然で、不合理なものだ。
そう思えることが差出人によって必要な資質なのです。
【第4章 サンタクロースの正体 P111】

贈与の差出人は、見返りを求めてはいけない。求めたその瞬間、それは贈与ではなくなり、交換へと変貌する。
贈与が届くのを待つためには、すぐに結果が出ることを手放す必要がある。効率性を重視するあまり「無駄」と切り捨ててしまっては気付かない。
一見何のためにやっているのか分からないけど、自分にとって大切なもの。いずれどこかに届くだろうなと想像しながら、育んでいきたい。

③「ただそこにあるもの」に気付く

現代に生きる僕らは、何かが「無い」ことに気づくことができますが、何かが「ある」ことには気づけません。
いや、正確には、ただそこに「ある」ということを忘れてしまっているのです。だから僕らは「ただそこにあるもの」を言葉で述べることができません。
【第7章 世界と出会い直すための「逸脱的思考」 P183】

「あって当たり前」のものは日常生活が失われて初めて気付く。
災害などの有事の際は、あるはずものが無くなり、苛立ちを感じることがある。しかし、無いものを嘆いても仕方がない。
大切なのは、今あるものに気付き、その中で自分がどう生きていくか。日記などで自身を振り返る習慣は、「ただそこにあるもの」を言語化するのに最適なものだと思う。

感想

2020年、日常生活が大きく変化したことを振り返りながら本書を読むと、
大切なメッセージが散りばめられていることに気付く。
「贈与」の存在に気付けるか。また自身の行動が誰かにとっての「贈与」となるか、これから生きていく上でとても大切な概念だと思う。
本書で紹介されてるSFの世界。今まで手に取ったことのないジャンル、新たな気づきを得られることを楽しみに読み進めたい。

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