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マネっ子

 真似の多い人生を送ってきました。年上の従兄弟がスイミングスクールに通えば、僕も行きたいと駄々をこねたし、友人がこの音楽かっこいいと言えば、同じものをかっこいいと感じるために必死に聴いた。今でも、先輩の考えや発想に近づきたくて、先輩の行動や仕草を真似しながら企画を考えたりする。
 オーマジュは、尊敬があるので引用と言われ、パクりは、自分の作品のように取り扱うので盗用と言われる。大人の事情って難しい。 
 幼い頃の僕は、そんなことを一切気にしない、無邪気な「マネっ子」だった。太宰治の文章を書写したり、鳥山明のイラストを模写したり。子どもながらに、この人たちはどんな気持ちで、文章や絵を書いているのだろう。と、答えなき答えを有り余る時間のなかで探していた。
 何かを真似する時というのは、その何かに純粋に感動しているのではないかと考えてしまう。だから、僕はもう大人だが、これからも「マネっ子」を続ける。

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