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イチゴの栽培技術を学ぶ~『イチゴの高設栽培』

おはようございます。

私は、昨春50歳で脱サラして埼玉県農業大学校に入学、
今春無事卒業して新規就農し、さいたま市内でイチゴ栽培に挑戦します。
農業初心者の私は、本や文献を読み漁り、先生や先輩に教えを請い、
日々、イチゴの栽培技術習得に努めています。
そんな私のイチゴ栽培の学びを、ここで共有したいと思います。

今回は、私が実務で最も参考にしている技術本である『イチゴの高設栽培』を紹介します。

イチゴ高設栽培の唯一の指南書

恐らく、この本は、高設栽培に取り組むイチゴ農家にとって唯一の指南書だと思います。
因みに、おさぜん農園さんのYouTubeの中でも紹介された一冊で、
「この一冊で(高設栽培で)いちごを栽培しました」とのこと。

なお、著者はまえがきでこの本について以下の通りに述べられています;

本書は、<略>高設栽培の問題点を整理し、安定化の方向を実践的に提案することを試みたものである。<略>
本書が、夢と意欲を持ってイチゴの栽培に取り組む生産者にとって、収益の上がる経営を確立するために少しでもお役に立てれば望外の喜びである。

伏原肇著『イチゴの高設栽培』農山漁村文化協会出版

高設栽培システムの必要設備や建設手順が写真入りで解説されているので、
高設栽培システムのイメージを掴みやすいです。

高額システムに要注意!

著者は「単収増をうたったシステム」に疑問を呈し、本書で以下の通りに述べられています;

単収増をめざして一架台での平面四条植えや多段栽培方式にも取り組んできた。しかし、思ったほど単収も上がらず、結果的には省力の面から平面の二条植えをすすめている。
<略>
高設栽培の基本的な構成は、培養土、栽培槽、かん水・肥培管理施設である。この三つについてはコスト面以外に生育や収量の面から十分な検討が必要だが、それ以外の資材については低コストを主体に判断すべきである。

伏原肇著『イチゴの高設栽培』農山漁村文化協会出版

実際、高設栽培システムについて業者に問い合わせると、「単収増」を謳った高額システムを提案されることが少なくありません。
しかし、彼らは決して「単収」を保証してくれません。
著者も本書で紹介していますが、愛媛県のルンルンベンチのように「手づくりの低コストシステム」があります(他にも、奈良県のピートベンチ栽培や滋賀県の少量土壌培地耕、など)。
高設栽培システムのコスト削減に取り組みたい方は、是非、業者が提案する「システム」の「セット販売」を鵜呑みにせず、「手づくりの低コストシステム」について研究してもらいたいです。

培養土は量より質

上記で少し触れましたが、高設栽培の基本的な構成は、培養土、栽培槽、かん水・肥培管理施設、の三つです。
この基本三要素の中で、私の最大の関心は培養土
というのも、農業大学校で卒業研究として培養土x3種類でイチゴの収量差異を調査したところ、培養土により顕著な差異が見られ、培養土の重要性を実感することになったからです。

この本では、培養土は量より質が問題で、良い培養土の3条件として、
①ミズミチができにくい(団粒構造に近い物理的な構造)
②水切りができる(物理的に空気が入りやすい)
③緩衝能が高い(有機培養土:ピートモス/パーライト/ヤシガラ/モミガラ/他)
ことを挙げています。

では、どのようにして上記の3条件に合致する良い培養土を見つけるか?
私には、この本の中に、具体的な答えを見つけることができませんでした😢
で、私なりに考えてみた答えがコチラ👇

1.複数の先輩イチゴ農家に使用している培養土を聞き出す
2.評判が良くて最も安い培養土を幾つか試してみる
3.収量を比較して最良の培養土を特定する

因みに、私は2種類の培養土を試してみる予定です。

実務に活かそう

上記以外に、私が本書で実務に活かした又は活かそうと考えていることを以下に挙げてみます;

まず、レイアウト。
実際にハウスのレイアウト計画時に参考にしました。
ハウス・架台の向き、長さ、架台前後のスペース、通路幅、など。
具体的に数値が示されているので、非常に明確です。

次に、原水。
原水の水質基準が紹介されいます。
点滴チューブの目詰まりを発生させる危険度を知ることができます。
水道水を使用する方は斯様な水質基準は不要ですが、私は井戸水を使用するため原水の水質判定基準が必要です。

そして、養液濃度(EC値)。
生育ステージ毎に最適なEC値が示されています。
実際の栽培時も、私はこのまま参考にするつもりです。
なお、一株当たりの一日の蒸散量も生育ステージによって大きく異なることも紹介されています(例:定植直後は20~30cc、5~6月は300cc超??)。

最後に、自らを勇気づけるためにも、高設栽培により高品質果実の生産が可能になるという著者の主張を紹介しておきます😀;

高設栽培の果実は、空中に垂れ下がった状態で発育している。そのため、果実の温度は地温の影響を受けることなく、<略>春季でもハウス内気温は地温に比べてそれほど上がらないために、<略>食味は大幅に向上する。
<略>
高品質な果実を生産するためには、高設栽培は欠かすことのできない栽培方法である。

伏原肇著『イチゴの高設栽培』農山漁村文化協会出版

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