ギャラリー・アタリマエ #25
「ギャラリー・・・あたりまえ?」
街を歩いていると不思議な名前のアートギャラリーを見つけた。
気になり建物の中へ入ってみると、沢山の作品が並んでいた。
「良かったら見ていってください」
玄関付近で立ち止まって眺めていると
この店のオーナーが声をかけてきた。
一歩一歩歩みを進めながら絵を眺め、作品タイトルを見ていく。
「時間」「生きる」「息をする」「太陽が昇る」
「友人と会う」「挨拶」「家事」
タイトルから察するに日常の当たり前をテーマにした作品だろう。
作品タイトルの下には値札がある。
気になった作品は、その場で購入できるみたいだ。
「一体いくらするんだろう?」
「家事」の作品タイトル下の値段を数えてみる。
「いち、じゅう、ひゃく・・・・・1億!?」
ゼロは、まだまだ果てしなく続いている。
見たこともない値段だ。
「これ購入される方いるんですか?」
ひっそりと後をついてきていたオーナーに話しかけた。
もう何度も答えているだろう質問に
オーナーは、大きく頷きながら口をひらく。
「いません。どんなに札束を積まれてもお断りしています。」
了
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