人間賞味期限

リク「人間には賞味期限がある・・・」

溶け始めた雪上を歩きながら呟く

ミコト「ん?」

リク「人間には賞味期限があるんだ。流行りと廃り。断続的な運命を人は進んでいるんだ」

ミコトは不思議がりながらリクを見つめる

リク「出会いと別れは単一的なストーリーでしかないんだよ。ゲームみたいなものさ。ひとつの面が終われば、次の面が始まる。繫がりがあるようでない。ないようである。その繰り返しなんだ。」

ミコト「それは私との出会いも?」

リク「うん。これは抗えない地球のルールだから。その輪廻を僕らは抜け出せないんだ」

わざとらしく雪を蹴るミコトを横目に話し続ける

リク「ただ・・・ただ信じなくてもいい。所詮、正しいか正しくないかなんてのは分からないから。この世界は曖昧なんだ、何から何まで。」

ミコト「う~ん・・・けどそれでも正しさは必要なんじゃないの?曖昧だから何でもいい、そうはならないと思うけど」

リク「そうかもね。いや、たぶんそうなんだよ。だけど、だけどそれも含めてなんだよ。曖昧の中に曖昧な正解がある。そうやって世の中は回っているんだと思う。」

古びた校舎が見えてきた。また日常が始まる。色の変わらない退屈な日常。

ミコト「分からないね」

微笑みながら話す彼女はこの世界にいないようだった。透けて消えかけていた。

リク「分からない・・・うん、それでいいんだよ。きっと。」

また日常が始まる。

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