マガジンのカバー画像

中村研究室のゼミと運営の工夫

22
運営しているクリエイター

#研究室ゼミ

[研究室運営] 徹底的にメンバーをシャッフルする

中学、高校と1つの学年に大きな差を感じていた学生さんたちにとって、学年の差というのは大きいものです。また、1つ上ならまだしも、2つ上、3つ上の学年ともなると交流がなく、先輩と後輩との間で断絶が生まれ、遠慮が生じたりといったりということは珍しくありません。 断絶や遠慮が生じると、先輩に対して質問することがはばかられてしまいますし、気軽に研究相談もできませんし、なにか困ったときに頼るということもできません。また、先輩としても、怖がられているのでは?などと、いらぬ心配を抱えること

[研究室ゼミ] 卒論・修論チェックグループで原稿の進捗チェック

卒論や修論といったまぁある程度長い時間をかけて進めるタスクは、どうしても定期的に進捗を出していくことが重要になります。そのため、下記に示すようなチェックシートを用意したりしているのですが、チェックシートがあって自主的に進めることができるのは一部の学生さんだけで、それ以外の学生さん(学生時代の私も含む)にとってはただあるものであり、やらなきゃーと思いつつ、全く進まないというのが個人的な感想です。 ということで、研究室では毎年9月末(秋学期の最初のゼミあたり)になると研究グルー

[研究室ゼミ] 研究テーマ交換プレゼン

ようやく複数回実施して、良さ整理できてきたので改めて(過去の記事はこちら)。 学生さんの様子を見ていると、自身の研究について、そのアイディアを思いついて取り組み始めたときにはオモシロイと思っていたのに、徐々に「あれ?これなにが面白いんだろう」と思ってしまいがちのように思います。また、研究について何度も語っていると、このテーマについて初めて聞くひとの気持ちがだんだんわからなくなり、導入の重要なところを飛ばして説明するようになってしまって、結果的に納得性の低いものになっていたり

[研究室運営] 研究室を支えるWebサービス(with 新型コロナウィルス)とオンラインでの研究室運営の難しさ

今年の1月に研究室運営を支えるWebサービスについて書いて、色んな人に読んでもらったのですが... あれから随分と世の中が変わってしまいました。新型コロナウィルスにより研究室にみんなが集まって活動することができなくなったため、時間同期でオンライン空間に集まって活動スタイルへと変化し、情報共有の重要性が特に増していると言えます。また、新型コロナウィルスとともにある時代において重要なのが、対面でできていたゼミや研究室内での活動を、如何にしてオンラインで成り立たせるかという話にな

[研究室運営] 卒論・修論はチェックシートで目標設定と客観的な相互チェック

卒業論文や修士論文で書きまとめる研究内容については、約半年かけてアイディアやモチベーションについて徹底的に議論したり、プロトタイプシステムを実装したりプレ実験を実施してあたりをつけたり、合同研究会などで発表して意見をもらったり、実験結果について議論したりすることで固めていくわけですが、論文を書くこと自体は、ひたすら自分で整理し、向き合い取り組んでいく必要があるので、なかなか大変です。 また、卒論や修論は、何をどんな感じでどれだけ書けばよいかがわからないですし、一般に1~2年

Scrapboxと発表者が規定の時間で移動するオンライン・ポスター形式の合同研究会がとてもよかった話

中村研では「ひとりの落ちこぼれも出さずにある程度高いレベルまで上げる」ということが基本的な運営ポリシーであり,色んなことをやっているのですが,その中でも重視しているのが他研究室との積極的な交流会だったりします. 研究室に閉じていると仲間も世界も広がりませんし,画一的な評価基準のなかでいるのはうまくいっている人にとっても,うまくいっていない人にとっても望ましくありませんし,機会損失にもなります.また,一度学会発表して終わりじゃなく,途中の段階で色んな人にコメントをもらうという

[研究室ゼミ] 合同研究会で研究室を超えた交流

問題意識研究室に閉じこもって研究していると、仲間が限られてしまいますので、それ以上の広がらない。もちろん、学会発表することで色々な意見をもらうことができるが、多くの学生さんにとって、ある研究について学会発表すると、それでおしまいということも珍しくない。また、研究着手段階などでは色々な意見をもらうことができない。あと、教員が1人だと偏った意見・思想になりがち。 目的世界を広げてほしい。また、色々な場で発表し、自分の研究にフィードバックを得てもらいたい。特に、研究成果が出ていな

[研究室ゼミ] 研究テーマ交換プレゼン(模索中)

一度やって効果はかなりあったのだけど、実施するのに時間がかかるため、ゼミ内で完結するいい方法が思いつかず二度目がまだ実施できていない「研究テーマ交換プレゼン」ゼミ。誰か良案だしてくれないかなと、過去にやった記録を残しておきます。 問題意識自分の研究テーマについてプレゼンすると、自分の思い入れのある部分、苦労した部分を中心に話しがちで、他人から見て面白い部分が伝えられていないことが多い。また何が面白いのかもわからなくなりがち。 目的その研究に対してフラットな印象しかない他人

[研究室ゼミ] Botによる担当者割当、順番設定やペアリングの効率化

中村研では、ペアプレゼンにおけるペアリング、関連研究探しなどにおけるグループ化、論文紹介における座長(司会)の割り当て、論文紹介における順番ぎめなど、ゼミに応じて色々なメンバーの割り当てがあります。これを毎回「誰がやる?」「前回誰がやったっけ?」などとやっていくのはかなり無駄です。 目的担当者割り当て、順番設定、ペアリング・グループ化の効率化。属人性を廃止し、余計なことは考えたくない。特に、学生さんが主体となってやる場合に、その学生さんに負担をかけたくない。 実施方法Sl

[研究室ゼミ] 5分プレゼン・5分質疑の論文紹介

論文紹介(文献紹介)をやっている研究室は多いと思います。ただ、論文紹介って何のためにやってるんだろ?と思ってしまうひとも多いんじゃないかなとか思ったりします。 新しい文献との出会いの場を作り、紹介と議論を通じて学生さんの教育を促すってところらへんだと思うのですが、今まで所属したところでは正直うまくいってなかったように思います。 問題意識論文紹介、紹介者が論文のことを深く理解して準備してくれたら議論がとても盛り上がりますし、専門が近く、レベルもある一定以上で、少人数(グルー

[研究室ゼミ] 卒論・修論の学生さんによる査読

卒論・修論の締め切りが近づくと多くの研究室では悲壮感漂ってると思います。中村研は研究室内締切がクリスマスのちょっと前あたりに設定されており、そこまでみんな頑張って原稿を書き続け、締切間際に提出してくることになります(で、そのまま忘年会に突入するため忘年会はぼろぼろになりがちです)。 私は、学会などに投稿する原稿は細かく赤入れをしつつ丁寧にチェックして、修正してもらって、赤入れして、修正してもらってというやり取りを何度も繰り返しますが、卒論や修論は単著ですし、その文章も審査対

[研究室ゼミ] 他人の関連研究探しゼミ

卒論とか修論など研究に取り組んでいて、自分がやってる研究の関連研究が見つからなくて困ることが多々あります。で、学会発表したときなどに、「この研究知ってる?」「これ引用していないよね」と似ているものを提示されて、「うげぇ」となって死にそうになります。私も学生時代に経験あります。 さておき関連研究探しなんですが、探しているときにはなかなか見つかりません。そして研究についてほかの人(教員など)に話した時に、その人がその場で検索して、すぐにそれっぽいものを見つけられてしまって「こん

[研究室ゼミ] ペアプレゼン質疑

こちらもまた他の研究室のゼミでは見かけないけど、中村研ではやたらとやる機会が多いペアプレゼン(ペアのショートプレゼン)。 目的研究室のすべての学生同士がコミュニケーションを取れるよう(誰とでも話したことがあるよう)にする。研究室の学生がお互いに何をやっているかを知る。自身の研究テーマを繰り返しの練習で短時間で説明できるようにする。何度もプレゼンすることで勘所を掴み、ショートプレゼンをブラッシュアップする。先輩の研究であろうが気軽に質問できるようにし、わからないことはわからな

[研究室ゼミ] 論文のペアリーディング

ここ(学生30人に教員1人の研究室運営について(2017-2019))にも部分的に書いているのだけれど、中村研究室のゼミでやっていて、ほかの研究室ではあまり見かけないものを紹介していってみる。 最初は「論文のペアリーディング」。これはもともと下の記事にあるペア読書という方法を見てああこれ論文でやったらおもしろそうだなと思ってやってみたもの。 目的学生さんにもっと気軽に論文を読んでもらいたい。論文を読むときにわからなくて詰まって悩みまくって読み進まないのではなく、まずはざっ