見出し画像

つくばエクスプレス(TX)土浦延伸構想妄想ルート案(2024/9/6追記)

1月23日に新聞各社が、茨城県が第三者委員会を設置して検討していたつくばエクスプレスの茨城県内延伸について、土浦方面に絞り込んだと報じました。ちょっとこれについて妄想案を。書き散らしなので文章や思考がまとまっていないのはご容赦を。

2024年9月6日、接続路線を土浦学園線とする土浦スマートインターを国土交通省が新規事業箇所として採択したとのこと。(2024/9/6追記)

2023年6月23日、大井川知事が2050年の土浦延伸を決定したとのこと。
土浦延伸後に、状況によって茨城空港延伸を検討するそうで。
(2023/6/23追記)

2023年3月31日、第三者委員会は土浦方面案を提言したとのこと。(2023/4/1追記;個人的見解も追記しました)


県内延伸方面案の4ルート

茨城県の総合計画で構想鉄道として示されていたのが4ルート(水戸・茨城空港・土浦・筑波山の4案)でした。

2050年頃の茨城の姿(出典:第2次茨城県総合計画2022-2025

2022年12月に開催された第三者委員会での資料がこちら。

出典:第一回TX県内延伸に関する第三者委員会(令和4年12月12日)

さすがにこの矢印だけだとイメージも沸かないので、4方面案についてもうちょっとそれっぽく地図におとしてみたルートがこちら。(4方面6ルート。)

茨城県は4ルートから土浦方面案に絞り込み、第三者委員会に原案を示したというのが今回の報道。委員会は2023年2月9日に最終提言をまとめると報じられています。なおこれまでの経緯などについては、NHK水戸放送局の記事がよくまとまっています。

つくば・土浦間の流動

有識者委員会に県が提示した資料では、つくば市~土浦市間では平日休日ともに7~8万人のバス流動があるとされています。バス流動はつくば中心と土浦駅・荒川沖駅の2方面が大きな流れだと思われますが、国勢調査の通勤通学流動をみると、つくば・土浦間で約2万人、東京・千葉・埼玉方面からの利用を集めたとしても、そんなにあるかな?という印象です。

土浦市への通勤通学流動(令和2年国勢調査より)

つくば・土浦地域の関連計画

両市の都市計画・交通計画等の各種計画は、それぞれの自治体のホームページに掲載されています。延伸ルート上で関係しそうな事業を探してみます。

余談ですが、土浦市のホームページでは総合計画が先頭に記載され、各分野の個別計画と全体的な体系を意識した構成になっている一方、つくば市のホームページでは計画体系ではなく組織順の記載となっていて判りにくい構成です。
つくば市のホームページでは、最上位計画であるはずの「つくば市未来構想」が先頭から12番目、未来構想の実行・管理計画である「戦略プラン」が未来構想より上位に記載しているなど、計画軽視のような印象を受けます。

土浦スマートインター(桜土浦~土浦北間)

土浦市は以前より、常磐自動車道桜土浦IC~土浦北IC間にスマートインターチェンジ(SIC)の設置を検討しており、第9次土浦市総合計画では将来の土地利用の考え方に「スマートインターチェンジ整備の推進及び土地利用の促進」を位置づけています。

第9次土浦市総合計画-土地利用の考え方

土浦市は、つくばエクスプレス延伸を広域交通軸に位置づけ、土浦延伸を強力に推進してきましたので、TX土浦延伸となったらSICおよびSIC周辺土地利用と絡めた計画を打ち出してくるのではと推察されます。

(2023/11/30追記)
土浦市は、常磐道土浦スマートインターの接続先を土浦境線(学園線)に絞りこんだそうです

(2024/9/6追記)
土浦学園線を接続先とする土浦スマートIC(仮称)が新規事業箇所に採択されました

ちなみにつくば市の総合計画に相当する「つくば市未来構想」では、将来土地利用イメージに都市軸の記載はなく、都市構造があまり意識されておらず、周辺都市との連携も余り意識されていないようにも感じられます。

つくば市土地利用構想図(出典:つくば市未来構想)

つくば・土浦地域の抱える課題

つくば高校問題

また2023年現在、茨城県とつくば市の間で大問題になっているのが、つくば市の年少人口急増に対応する高校問題。こどもそっちのけで県と市が責任を押しつけ合っていると報じられています。


この土浦SIC計画と高校問題は、ルート検討に影響を及ぼすのではないかと思われます。(ただしTX土浦延伸が完成するであろう2050年頃だと、子供の数がどうなっているか、そもそも『通学』という行為が存続しているのかなど、高校問題をどこまで重要視するかは疑問ですが)

つくば・土浦想定ルート

と言うような関連情報も踏まえつつ、土浦方面に延伸するとして、じゃあどこを通すのか。考えられそうなルートを妄想してみました。延伸について「つくば~土浦間約10km」と言及する報道もあったので、平面的にはこんなルートではなかろうかと。また各ルートの地形断面とつくば駅の深さと土浦駅の高さ(地表面)を直線で結んでみました。

想定ルート図
想定ルート図(着色部は令和2年国勢調査人口集中地区)
想定ルート図(着色部は浸水想定深さ)
想定ルート図(令和2年国勢調査地域メッシュ人口)

ルートA:桜川北ルート

(概要)
つくば駅から東進し、つくばエクスプレス沿線開発として事業が進められている中根・金田台地区の南端部を経由し、土浦SIC付近から複数の県立高校がある桜川の北側から土浦駅に接続する。

(地形的特徴)
土浦市内の区間はほぼ桜川の浸水想定区域内に含まれている。
縦断線形についてつくば駅と土浦駅を直線で結んだ場合、約5.0kmがトンネルになると想定される。(さくらの森付近で地上に出る場合は約2.5km)

ルートA断面図(地形断面:地理院地図で作製)

(評価)
○周辺波及効果が期待される
(さくらの森・土浦SIC周辺土地利用の促進、高速交通網との結節など)
○つくば市からの県立高校アクセスの向上
○用地取得(りんりんロード上)
△トンネル区間が短い(建設コストが相対的に低い)
△商業施設(イオン土浦)・公共施設(ハローワーク)アクセス
×被災リスク(浸水想定区域内)

ルートB:桜川南(イオン土浦)ルート

(概要)
土浦SICまではルートAと同一の経路を通り、イオン土浦前を経由して土浦駅に接続する。

(地形的特徴)
土浦市内の区間はほぼ桜川の浸水想定区域内に含まれている。
縦断線形についてつくば駅と土浦駅を直線で結んだ場合、約5.0kmがトンネルになると想定される。(さくらの森付近で地上に出る場合は約2.5km)

ルートB断面図(地形断面:地理院地図で作製)

(評価)
○周辺波及効果が期待される
(さくらの森・土浦SIC周辺土地利用の促進、高速交通網との結節など)
○商業施設(イオン土浦)・公共施設(ハローワーク)アクセス
△つくば市からの県立高校アクセスの向上
△用地取得
△トンネル区間が短い(建設コストが相対的に低い)
×被災リスク(浸水想定区域内)
×土浦花火大会時の運行(高架部走行・駅出入がNGに?)

ルートC:並木ルート

(概要)
つくば駅から東大通りへ南進し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センター物質・材料研究機構(NIMS)産業技術総合研究所(産総研;AIST)つくばセンターのある並木を経由し、常総学院・土浦日大付近を通り土浦駅に接続する。

(地形的特徴)
土浦駅付近を除き浸水想定区域を通過しないが、ほぼ全区間がトンネルとなる。(約10km)

ルートC断面図(地形断面:地理院地図で作製)

○並木中等への通学アクセス向上
○JAXA・NIMS・AISTへの通勤・ビジネス・観光アクセス向上
○つくば市からの私立高校アクセスの向上
○被災リスク(浸水想定区域外)
△周辺波及効果が期待できない
△用地取得
×トンネル区間が長い(建設コストが相対的に高い)
×工事・運行時の震動・電磁波の影響(JAXA・NIMS・AIST)

個人的比較選定結果と懸念点

個人的比較選定結果

つくば駅と土浦駅を結ぶ3ルートを比較した場合、地域課題(つくば高校問題)解決・地域発展(さくらの森開発促進・土浦SIC周辺開発・交通結節)・周辺影響軽減(研究機関への震動・電磁波等の影響)・建設コスト(トンネル区間延長)等を勘案すると、「ルートA:桜川北ルート」が落とし所になりそうです。

が。

この10kmの区間をつくばエクスプレス延伸で結ぶことにどれだけ意味があるのか、費用対効果を勘案すると甚だ疑問です。
結ぶのであれば、土浦高架橋(土浦ニューウェイ)を利用したLRTやBRTを考えた方がコスト面でも利便性でも優位なように感じます。

懸念点

土浦延伸にあたって物理的な懸念点として挙げられるのが、つくば駅周辺において、延伸方面にに存在する大規模構造物の存在。

■共同溝

つくば市中心部には、研究学園都市建設時に整備された大規模共同溝が存在しています。つくば中央通りを横断している大規模な構造物です。

カルバートの埋設深さや基礎杭の有無など詳細は分かりませんが、線路の高さからそのまま延伸したときに支障となるのではないかと。


■マンション基礎

つくば駅周辺で建設されている高層マンション、販売サイトを見ると基礎杭がGL-20~25m位まで打ち込まれているようです。

つくば駅周辺ではこれまでも公務員宿舎売却地にマンションが林立しています。残すは吾妻二丁目関連(11,12)。財務省の計画では令和4年度以降に売却となっています。つくば駅から花室トンネルを避ける方向にトンネルを振るとここの真下を通ることになると思われます。延伸よりも確実に売却が先になるでしょうから、ここをどこが買ってなにになるかは、影響大?
(個人的には吾妻・竹園の小中学校教室不足問題解消に、つくば市が周辺再開発の種地として取得してはどうかと思っているのですが)

国家公務員宿舎売却スケジュール

■花室トンネル

土浦学園線学園中央通りを結び、地下で学園東大通りと立体交差するバイパストンネルです。結構深いので基礎も考えるとこの下を通すのはちょっと無理筋かと。


この短区間だけでも、延伸の難易度結構高そうな気が。

つくば駅周辺懸念点まとめ

やるとなったら

まあ日本の土木技術ですと、地下構造物が輻輳する東京で、センチ単位の離隔で近接施工ができてしまうので、やるとなったらなんとかしてどうにかしてしまうのでしょうが。

地ならしも着実に

2023年の夏に閣議決定される国土形成計画への計画提案で、茨城県は計画本文に追記する形で、”新たな大都市圏と中枢・中核都市が直結するとともに、中枢・中核都市同士、さらには中枢・中核都市と地方を結ぶ鉄道ネットワークの構築が重要である。”と、提案していますね。

国土審議会第16回計画部会
資料2 新たな国土形成計画(全国計画)に向けた計画提案の状況 より

個人的見解

つくば~土浦間は軌道交通で結ぶべきだったろうとは思いますが、今から考えているのではもう遅いのではと考えます。また今から結ぶことを考えるなら、人口・需要の減少や完成までの期間を考えると、軌道系なら大量輸送機関ではなく中量輸送未満の方がよいのではないかと。で、中量輸送未満であればバス路線の輸送力強化でも対応できるのではと思います。

まず需要の掘り起こしなどを含め、つくば~土浦間に連節バスを導入する社会実験をしてみてはどうですかね?
高校通学問題とか、短期的な問題の対策になるのではと思うのですが。

と考えると、つくば万博ってほんとに時代を先取りしていたんだなぁと。

2023/04/01追記

第三者委員会の提言は当初3月上旬に予定されていたものが、「追加的検討」が必要ということで延期されていました。
追加検討は、土浦方面の延伸先を「土浦駅」「神立駅」のどちらにするかということで、将来的な発展可能性は同等としながらも採算・便益・費用の面で「土浦駅」を提言したとのこと。

災害時の水戸方面へのリダンダンシーとか、地形地質を勘案した工事費は神立の方が優位そうではあるけど、どんな議論と判断があったのか、第三者委員会の資料の公開を待ちたいところ。

つくば・土浦・神立の位置関係(重ねるハザードマップ)
つくば・土浦・神立の位置関係と浸水想定区域(重ねるハザードマップ)
つくば・土浦・神立の位置関係と地形分類(重ねるハザードマップ)

その他参考図

ついでにいろいろと関係しそうな図面を。こんな図を見ながら地域の将来像を妄想してみてはいかがでしょうか。

研究学園都市計画区域マスタープラン
土浦・阿見都市計画区域マスタープラン
つくば市将来都市構造図(出典:つくば市都市計画マスタープラン2015)


#日経COMEMO #NIKKEI #つくばエクスプレス #土浦延伸 #つくばエクスプレス延伸 #つくば市 #土浦市 #つくば #土浦

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?