数億というゲーマーを味方につけプラットフォーマーに挑むEpic

昨日、noteにフォートナイトが削除された内容の意見としてのエントリを投稿しました。私自身の考え方は、Apple・GoogleとEpicどちら側にも非があるというということなのには変わりないのですが、Epicのやり方はあまりにも強引すぎます。

App Storeにかかる「Apple税」というものに疑問を呈する開発者は多いです。過去に数回訴訟に発展していますし、脱獄アプリの開発団体もこれに賛同していることがあります(脱獄団体の考え方は自由なアプリ市場)。しかし、今日まで30%という「Apple税」は減免されたことがありません。

Epicと同じ時期に手数料に対する疑問を呈したのがFacebookです。Facebookは、Epicとほぼ同じ「Apple税の免除、あるいは独自決済機能を使わせてほしい」という要求をAppleに出したところAppleから拒否されました。いつFacebookがこの要求を出したかはわかりませんが、公表されたのがEpicよりもFacebookの方が後なので、タイミングを見計らったのか、ただタイミングがあったのか。それはわかりません。

Apple税は、App Storeの財源であり、Appleとしては手放したくないものであるのには間違いないでしょうし、実際これを免除してしまうと、AppleはApp Storeを無償で提供することになります。最近になって広告システムが導入されるようになりましたが、おそらくこの収益はそこまで大きくないでしょう。また、Apple税が廃止されると、Appleがサードパーティのアプリの広告を行わない可能性が出てきます。そうしてくると、サードパーティは困ります。Appleの広告で一躍有名になるアプリも一定数あることから、これに対して悪い影響を受ける中小アプリ開発者も多いでしょう。

ただ、30%が高いというのもわからないことではないと思います。必死に稼いだその30%がAppleに持っていかれるというのも割に合わないというのもわかります。Epicは実際、減額を求めている部分もあるので、今回の騒動で30%が25%や20%になれば、Epicの望みはかないますし、他の開発者としてもいい影響が出ます。そして消費者も、それに伴いコンテンツやアイテムが安くなれば万々歳です。

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Epicの言い分は全く外れではないということをお話しました。だた、今回のEpicの行動において、Epicと同じ考えを持つ人達からもEpicを批判する声が上がっています。なぜでしょうか。

その理由はやはり「強行突破」という部分でしょう。

Epicがフォートナイトに実装した「ディレクトペイメント」は、AppleとGoogleに対する挑戦ではなく、ただの挑発として受け取られてしまいました。その結果、裁判でも不利になる可能性があります。そして何よりも、フォートナイトの3億5000万人以上というプレイヤーを味方につけようとしている点でも批判が出ています。これは、まるでこのプレイヤーの人数をAppleやGoogleに対する人質として扱っているように見えるからです。先程Facebookの要求の話をしましたが、Facebookは対話でこれを要求しました。その結果が拒否という答えでした。

AppleやGoogleという企業はかなりプライドが高い企業であるようです。特にAppleは、自らが決めたことに対して後から撤回や修正を行わないことで有名です(例えば既存のキーボードを「全く新しいキーボード」として紹介したり)。とくに、今回のような奇襲のかけ方でAppleが意見を翻したことを見たことがありません。

あと、Epicの言い分でGoogleを訴える必要もなかったかのように見えます。AndroidではiOSと違い、まだサードパーティのプラットフォームのアプリを受け付けれる様になっており、実際Epic自身も、モバイル版のフォートナイトがリリースされた当初はGoogle PlayではなくEpicのサイトでアプリを配布していました。もちろん、Epicにも言い分があるのでしょうが、これは単純にEpicがAppleとGoogleを嫌っていると取られかねないと思います。

今回のEpicの行動においての意見は様々です。Epicを卑怯とする声もあれば、AppleとGoogleを非難する声もあります。ただ、今回の騒動をややこしくしたのは明らかにEpicであり、Facebookのように要求をAppleに伝えるだけで、後はそのことを公にして話題を作るだけではいけなかったのか。正直、Epicを養護する声の中には「なぜアプリを消したのか」を問う声がありますが、実際にこれはEpicが強行突破と言う名で、Epic自身も同意しているガイドラインを違反をしたからであり、それ以上それ以下でもありません。今回争うべき点は「30%という手数料が高いか妥当か」という部分であり、なぜアプリを消したかという点では、全面的にEpicが悪いと思います。

Nishiki-Hubの管理人兼ライターです。学生という機動力と、弱小ながら読者を大事にしたいというポリシーを掲げています。noteでは、失敗談とか、裏話とか、雑談とかしていきます。