【400字小説】合理主義
チナツは無駄な時間を作りたくないって、
毎朝、その日のスケジュールを分刻みで立てて、
その通り過ごすのがお気に入り。
四つ打ちのテクノにハマっている。
リズムが安定しているから好き。
学生だった時代に週末となればクラブで踊り明かしていた、
あの頃はなんて無駄に時間を費やしていたんだと、
当時の快楽さも忘れて。
ドラッグに手を出したこともあった。
それで捕まったこともあった、軽犯罪者。
だなんて思っているほど、
罪は軽くないことをチナツもわかってる。
コーヒーの香りが好きだけれど、
飲むとお腹を壊すから出先では飲めない。
家で下痢覚悟で飲むくらいコーヒーのことを
愛してるのになあ。
それも無駄なのか。
今日も予定通り、事は進んだ。
気持ちがいい、愛おしい。
でも、正しいのかなってここでも疑問符。
「無駄があった方が生き方に深みが出る」
そう言って部屋を出ていった恋人。
自分の思想を押し付けて、そんな目に。
毎晩のように悲しくなって無駄。
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