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【400字小説】ビリが一番bang

小学校の時にさ、リレーの選手に
なれなかったんだよね、6年生の時。
その上、運動会当日のかけっこでは
死のグループに入っちゃって、予定調和のようにビリ。

悔しくて泣いたのは、あれからないな。
高校野球部、最後の夏に負けた時も泣いたけれど、
あれは悔しかったのではなく、演出でした。
泣くのが美しかった。
あの時はね、そう思ってたんだよね。

ほかの野球部のメンバーは何で泣いたんだろうか。
めっちゃ格下の高校に油断して
負けたことを情けないと感じたのかな。
練習試合、16点差で大勝ちしていた相手だったし。

悔しかったと言えば、
我々を破ったその高校が
次の試合で呆気なくコールドで負けてたこと。
何してくれてんねん。

でも、小学校から高校生まで
負け続けていて良かったと思う。
若くして成功を知るなんて悲劇なのさ。
一番になってしまったら、
痛みを知らないで生きるということだ。

だなんて負け犬の遠吠え?
甲子園球児のアイツに訊いてみたい。

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