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特許法184条の20 決定により特許出願とみなされる国際出願

 国際出願は、移行先の国を指定して行います。しかし、国際出願の国際出願日認定の段階で、受理官庁から国際出願日の認定を拒否される場合があります。ただし、受理官庁がミスする場合も考えられます。

 本条は、このような場合において、受理官庁のミスであると主張して、受理官庁が管轄する国(日本国)での権利化を目指すために設けられています。具体的には、出願人は、受理官庁が国際出願日の認定を拒否した場合等には、指定官庁に対してその認定等が正当であるか否かの決定を求めることができます(日本を指定した場合、指定官庁は日本国特許庁)。指定官庁が、受理官庁による判断が失当(過失)と認めた場合、その国(指定官庁の国)においては、国際出願日の認定拒否等が無かったものとして取り扱われます。これが、いわゆるみなし特許出願(特許法184条の20第4項)です。

 みなし特許出願(特許法184条の20第4項)は、出願公開の対象であり、優先日から1年6月で公開されるが、国際公開はされない。また、みなし特許出願(特許法184条の20第4項)は、国際出願とは認められなかった出願なので、国内移行手続きはありません。

なお、外国語書面出願、外国語特許出願、みなし外国語特許出願における翻訳文補正可能期間は以下の通りです。

外国語書面出願、外国語特許出願、みなし外国語特許出願における翻訳文補正可能期間

・特許法184条の20

(決定により特許出願とみなされる国際出願)
第百八十四条の二十 条約第二条(vii)の国際出願の出願人は、条約第四条(1)(ii)の指定国に日本国を含む国際出願(特許出願に係るものに限る。)につき条約第二条(xv)の受理官庁により条約第二十五条(1)(a)に規定する拒否若しくは同条(1)(a)若しくは(b)に規定する宣言がされ、又は条約第二条(xix)の国際事務局により条約第二十五条(1)(a)に規定する認定がされたときは、経済産業省令で定める期間内に、経済産業省令で定めるところにより、特許庁長官に同条(2)(a)に規定する決定をすべき旨の申出をすることができる。
2 外国語でされた国際出願につき前項の申出をする者は、申出に際し、明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)、要約その他の経済産業省令で定める国際出願に関する書類の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。
3 特許庁長官は、第一項の申出があつたときは、その申出に係る拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当であるか否かの決定をしなければならない。
4 前項の規定により特許庁長官が同項の拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当でない旨の決定をしたときは、その決定に係る国際出願は、その国際出願につきその拒否、宣言又は認定がなかつたものとした場合において国際出願日となつたものと認められる日にされた特許出願とみなす。
5 前項の規定により特許出願とみなされた国際出願についての出願公開については、第六十四条第一項中「特許出願の日」とあるのは「第百八十四条の四第一項の優先日」と、同条第二項第六号中「外国語書面出願」とあるのは「外国語でされた国際出願」と、「外国語書面及び外国語要約書面」とあるのは「第百八十四条の二十第四項に規定する国際出願日となつたものと認められる日における国際出願の明細書、請求の範囲、図面及び要約」とする。
6 第百八十四条の三第二項、第百八十四条の六第一項及び第二項、第百八十四条の九第六項、第百八十四条の十二から第百八十四条の十四まで、第百八十四条の十五第一項、第三項及び第四項並びに第百八十四条の十七から前条までの規定は、第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願に準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

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