特許法 物(装置)と、方法の違い
物(装置)と、方法の違いの1つとして、構成が明確か否かという違いがあります。
具体的には、物(装置)は構成を明確にする必要がありますが、方法では構成を明確にする必要はありません。
例えば、画像加工装置(A装置)という物が、a1、a2、a3という構成を有する場合、
請求項では、
a1(という構成)と、
a2(という構成)と、
a3(という構成)と、を有する
A装置。
というように記載します。このように記載した場合、A装置の権利範囲に含まれる物(装置)は、a1、a2、a3を含みます。
(a1、a2、a3と、それ以外の構成を含んだ装置、例えば、a1、a2、a3、a4を含む装置も権利範囲内)
一方、A装置と同じことができるB方法が、b1、b2、b3という工程(ステップ)を有する場合、
b1(というステップ)と、
b2(というステップ)と、
b3(というステップ)と、を有する
B方法。
というように記載します。このように記載した場合、B方法には実体的な構成(物)は含まれません。このため、構成が何であっても、権利範囲に含まれます。
(具体例1)
例えば、上述のa1、a2、a3という構成を有するA装置(特許取得済)に対して、c1という構成を有するC装置があったとします。また、A装置とC装置は同じことができるとします。
A装置の特許権者がC装置を作っている会社に行ってライセンス交渉に臨んだとすると、C装置を作っている方としては、「そっちはa1、a2、a3の3個ないとできないことを、こちらではc1の1個だけでやっている」と反論されることが想定されます。
一方、A装置と同じことができるB方法でも特許権を有する場合、B方法は、装置の構成には全く関係がないので、少なくともc1という内部構成のみに基づいた反論を受ける可能性は低いはずです。
(具体例2)
1個の装置で行う処理を複数のサーバで分散処理させた場合、方法であればその処理も権利範囲に入れることはできそうです。しかし、装置(物)ではそれを権利範囲に入れるのは難しいと思います。
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