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コーチとして大成長:帆波圭斗さんインタビュー

今回はKDA企画の生涯スポーツ事業の一貫としてインタビューを行います。過去、神屋個人が行った帆波さんへのインタビューから1年半が経ちました。その頃は帆波「選手」としてインタビューをさせて頂いてきましたが、今回は帆波「コーチ」としてインタビューさせて頂きます。

現在はRDCコーチ(https://www.yagi-project.com/runningteam)として日頃活動されている帆波さん。1月に一度程度のペースで神屋が代表を務めるKRCの駒沢オリンピック公園での練習会でもコーチをして頂いています。

KRC主催のネットワーク駅伝でも場を盛り上げてくださったり、ちょっとしたマメ知識や情報を頂いたりします。


インタビュー

Q.現状の意識は「コーチ」がメインで「選手」という意識は減った感じですか?

帆波:そうですね。選手としてやりたい気持ちもありますが、職場の環境が整ってきてこれまでの経験を活かしながら勉強できる状況になってきたので、自分のことよりもサポートする方々の力になれれば良いなと言う気持ちの方が今は強いです。

もちろん選手として諦めてるわけではないので、この環境で学んだことを自分で実践して自身をモニターとしてコーチングするのも楽しそうだなと、またひっそり走り始めてます。


Q.コーチとしてのやり甲斐はどんなところにありますか?

帆波:指導させていただくなかで、「速く走れるようになりました!」や、「身体の動かし方がわかってきた気がします」といった言葉を多く聞けるようになってきました。これは自分が走るだけでは聞くことのない言葉なので、コーチをする上で魅力ですね。


Q.選手としての目標もありますか?


帆波:選手としてですと、やはり過去の自分には勝ちたいですね。学生の頃はタイミングが合えばいつでも2:18では走れるでしょ~とか思っていましたが、今はかなり厳しいです(笑)

拘るならマラソンで2:15や、ウルトラで6:20を切ってみたいなとは思っています。しかし、今の状況で走れるほど甘くはないので、まずは苦手な短い距離で目標をたてています。

それは3,000mで8'30というタイムです。このタイムをクリアできたとき、5,000mだったら?10,000mだったら?ハーフだったら?どれくらいのタイムで走れるようになるのか、これまで長い距離に適正があると言われてきただけに気になるところです。

東京に来るまではトップ選手がどんなことをやっているか、どんな意識を持っているかというのを聞く機会は神屋さんからしかなかったですが、今の職場には社長の八木勇樹さん、八木さんの旭化成時代の先輩である森賢大さん、後輩として入った中谷圭佑といったメンバーがいるので、トップ選手のお話を聞ける機会がいっきに増えました。その影響で、自分のなかでいろんな常識が変わってきています。

これまでの自分の経験と、お客様へのアドバイスなどの経験に、トップ選手からの知見を得たことでまたこれまでの自分とは違う意識で練習ができそうです。

これからいろいろ活かしていきたいなと思っています。その経験をもとにまたコーチとして経験を皆さんに還元できれば良いなと思っています。


Q.学生時代とはまた違い、いろんな目的のランナーと一緒に走ったり、ジムでトレーニングしたりという環境の違いはどうですか?

帆波:学生までのそれまでとは全く違うなと思ったのは、周りの人のランニングに対する気持ちや考え方が一番です。

学生の頃までは陸上が一番大事でそこに打ち込む人たちばかりの環境でしたが、社会で働きながら走っている方はマラソンが一番大事というわけにはいきません。

長時間働きながら合間を縫って走る時間を捻出している方もいらっしゃれば、走れるときに楽しく走り、リフレッシュすることを目的にするような方もいらっしゃいます。競技としてこのタイムを出したいと思う方が多いランニングチームで指導させていただいているので本当のところまだわかっていない部分もあると思うのですが、もっと広い世界では今私が知っている人以上に気ままに楽しく走られている方もいらっしゃるんだろうなと思います。

ただ、シリアスランナーの方も楽しんで走っている方も共通しているのは働きながら走っていることです。走る時間が限られている中であれだけ走る時間を作れるなんて本当にすごいなと尊敬しています。

それぞれに目標・走ることの目的があって、そこに向けて頑張っている姿を見て、タイムなんかよりもよっぽど価値のある経験をしているんだなと思っています。

学生の時だと競技としてやっているので、メンバー争いなどを考えると走るのが速いか遅いかしかなく、必然タイムがすべてというような部分がありました。

社会人になって東京に出てきて、こうしてたくさんのランナーの方々とかかわるようになって、タイムだけがすべてではなく、それぞれのできることをやっていく過程が一番大事なのかなという考えに変わりました。

時間を作っている姿を見て、自分もタイム以上にもっと走りを継続する過程を大事にしていきたいなという考えになりました。もちろん過去に出したタイムを超えたい気持ちがありますが、学生の頃のように陸上に専念してしまうと勤務で疲れが出たり、お客様に迷惑が掛かってしまうなと思っています。それを見せないだけの走りながら働ける体力は今はないので、できる範囲の練習を行い、継続していくことで高いレベルで両立できるようになりたいです。

たくさんのランナーの方とかかわって、考え方が変わった(世界が広がった)のが今までの環境との大きな違いです。皆さんすごく努力されているので、それをしっかりサポートできるように、寄り添うことができるように自分をモニターにして練習していきます。これまでの経験で社会人ランナーの苦労が良く分かったので、少ない時間で効率よく、最短ルートでトレーニングして行くためにどうすればいいのかを学生の頃以上に考えるようにもなりました。


Q.アスリートのスタミナとはまた違った体力が必要ですよね。コーチ自体も競技以外の部分でも学びと成長が欠かせないのではないでしょうか?

帆波:本当にそう思います。学生の時、神屋さんからの指導で走るだけの体力だけじゃなくてレースの移動で疲れたりしないように日常の体力も付けていかないとだめだよと言われることが良くありました。それは学生の時なら練習以外のところで歩く時間を長くしたり、階段を使ったりなんかもそうだと思いますが、社会人になると働きながら走る体力が残るかどうかというのはものすごく大事だなと。

学びと成長は重要だと感じます。私たちのように競技出身のコーチは、例えば練習メニューを組むにはそれまでの経験でこういう流れで組めばいいだろうという感じで感覚に頼ってしまいがちですが、自分たちがやってきたのと同じようにお客さんが練習を積めるかというとそういうわけではありません。トレーニングの原理原則に則って基礎を作成し、そこにこれまでの経験を混ぜたようなメニューを作成できるといいのかなと思っています。

そういう意味では圧倒的に知識が必要で、まだまだ感覚に頼ってしまっている部分をもっと改善していければと思っています。


Q.現在、これを重点的に取り組んでいますとかありますか?

帆波:最近はランナーでもフィジカルがとても重要だと感じています。今では会社も大きくなり始め、一緒に働いているメンバーにトレーナー業でばりばりやっている方が入ってきてくださいました。その方から身体の使い方の改善方法、傷病予防方法をなどランナーではなく様々なスポーツ選手を見てきた経験から様々なお話を聞かせていただいています。

なので、今自分が勉強していることとしては、ランナーのフォームを改善するための動き作りなどを指導するだけではなく、もっと根本的な身体の使い方の部分からお伝えできるように様々なトレーニング方法を直接見て、お話を聞いて勉強しています。


Q.また、スポーツビジネスの前線に居ると思いますが、その辺もアスリート時代、またただコーチをするだけではない学びや難しさはありますか?

帆波:スポーツビジネスという面で言えば、私がお客さんにやってもらいたいことはお客さんがやりたいことではないんだなというのが最近思うところです。

例えば、私はその方のパフォーマンスを上げたいのでメニューの組み方や体の使い方などこうしていってみてはどうかとアドバイスさせていただいています。

走りすぎているから休んでほしく、もっと我慢した方がいいと伝えることが多いのですが、その人がなにを目的にジムに来てくださっているのかを考えるとパフォーマンス向上がすべてではないんだなと気付きました。

単に体を動かしたい!や、どんどん体を鍛えたい!といった目的を持った方も多くいらっしゃり、それはパフォーマンス向上とは違った目的なわけで、私の方で運動制限をするのは違うんだな、気持ちよく施設を使っていただけるのが一番なんだなと気付かされました。

パフォーマンスアップのためにこのジムに来てくださっているというのはこちらの都合の良い解釈で、ビジネスという面で見るといろんな考えの方がいらっしゃってその人それぞれの目的に合わせた接客が必要なんだなと思います。

この辺りは選手目線では考えることがなかったことなので、かなり柔軟に考えられるようになりつつあると思います。


Q.2021年もしくは現在の目標を教えて頂けますか?

帆波:いつの間にか自分が走ることよりも人のことをサポートすることの方が大事に、楽しくなっていて、サポートさせていただいた方のパフォーマンスが上がったりするととてもうれしいです。

初めに神屋さんからインタビューしていただいたときは加古川マラソンで優勝したときのお話で、二回目は私の走ることについて聞いていただいて、三回目は初ウルトラのサロマ湖でのお話をさせていただき、それぞれ一ランナーとしてのインタビューという感じでしたね。

今回はコーチ・トレーナーとしてのインタビューという内容でした。

目標としては、一部の人だけサポートにとどまらず、幅広い方々のサポートできればいいなと思っています。そのためには様々な知識を身に着け、現場で実践し、経験を積んでいく必要があると思います。

ランナー以外の人のサポート体制もできつつあるので、せっかくならスポーツをしているいろんな方々を見ていきたいですし、さらにはランニングを交えてそのスポーツでのパフォーマンスを向上させられるようになれれば面白そうだなと思っています。

まだまだ知識も経験も乏しいので、いろんなことを学んでいきたいなと思います。

また、KRCネットワーク駅伝に参加させていただいており、最近また走り始めているので、走る方もできれば頑張りたいなと思っています。走ることと合わせた大きな目標で言うと日本一走れるトレーナー・ランニングコーチです。自分自身もコーチングできないくせに人のことをアドバイスできるとは思わないので、時間がある限り頑張りたいなと思っています。

毎度口だけになっていますが、そろそろ本当に3000m8’30で走りたいです笑


Q.ところでなぜ8'30ですか?

帆波:自分のロングに適正があることを考えると、8'30で走れれば5,000→14'25、10,000→29:30、ハーフ→64:30辺りが見えてくるかなという基準になるからです。

14'30,30'00,65'00は学生の頃走りたかったタイムでもあるので、行けるならそのタイムで走りたいなと思っています。

練習状況的に5,000以上は身体が動かないと思うので、まずは短い距離のタイムを伸ばして速いペースで走れる距離を伸ばすアプローチをしていきたいです。


あとがき

適性を活かしつつ未知へのチャレンジもする。幅も広がりそうですね。帆波さんは確かにコーチとしての道を着実に歩みつつも、選手としてのチャレンジ精神もお持ちでした。

これからのご活躍が楽しみですし、少しでも機会を多く一緒に何かをしたいと思う存在です。


今回のインタビューはKDA企画の生涯スポーツ事業において実施しました。今後は有料にてご依頼を受けインタビューを行うパターンと、トークイベントなどでも続けていきます。

走遊Labもこのように長く、それこそ生涯プレイヤーとしてスポーツに取り組める、コーチ等のスタッフとしても活躍できる人のお役に立てる存在になります。



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