いじる会話がキモい〜ガールズバー好きの先輩からコミュ力を考える〜
かつて、仲良くしていた先輩が無類のガールズバー好きだった。
奢ってくれるというので、僕も何度か一緒に行ったことがあるが、全然おもしろくなかった。
理由は、先輩と女の子の会話がひどくつまらなかった、というか僕と指向性が違いすぎて、辟易としてしまったから。
それは、女の子をいじる、反対に女の子からいじられる会話がメインだった。
以下、例。
すっぴんを売りにするガールズバーが一瞬流行したが、そこでは「それ、ぜったいすっぴんじゃないでしょ? どうせすっぴんならもっと肌荒れてたりするんじゃない〜」みたいないじりをして、「はあ〜?すっぴんだから!」以下、ワイワイ……、と時間が過ぎていく。
先輩はガールズバーに行く理由を「女の子といちゃいちゃしたいから」と言っていたので、彼にとって女の子とのいちゃいちゃは、そういう会話をすることであるらしかった。
僕も一応先輩の波長に合わせてみたりしたが、全然楽しくなかったので、「好きな映画とかありますか?」「その作品のどこが好きなのか教えて!」「最近ハマっているのなんですか?」とか質問していた。先輩からは「つまんなそうな会話してんじゃねえ!」とツッコまれた。
まあ、ガールズバーなどはそういう会話をお金を払ってやっているので、女性側も当たり前にそういうサービスを提供しているのだろう。
いつも通りのサービスするだけなので、彼女らにとっては、先輩はいい客で、僕は面倒臭い客だったかもしれない。もしくは、かっこつけているやつに見えたかもしれない。
ただ、こういうコミュニケーションはお店だけではなく、日常でもやっている人は男女問わずいる。
いじりや皮肉をベースとしなければ会話できない人。もちろん僕も無意識のうちにやっていることもあると思う。
「ちょっと、やめてくださいよ〜!」系の言葉を引き出すのが、「コミュ力」だと勘違いし、それで仕切ってる感を覚え、おもろい会話になっていると思っている人。相手はどう思っているかわからんけど、それって違うんじゃないかなって感じる。
大体の受け手は「ちょっと、やめてくださいよ〜!」「そんなことないっすよ〜!」「は、ちげーし!」くらいしか返しがないので、全然面白くならない。
「ここ、ツッコむところだから!」って言ってくるヤツの会話くらい面白くない。
僕の主観ではあるけど、先輩のように、それは男性から女性への会話で行われるパターンが多い気がする。「はあ?」とか言われて嬉しそうな男を何度も見た。「お、怒ってる、怒ってる」なのか「ツッコミを引き出した俺のボケよ」なのか、「すぐ感情的になってバカだなあ」なのか心情は知らないけど、そういうコミュニケーションってダサい。皮肉やいじりでこっちを向かせている感や、してやったり感がある。
しかも、極論、この手の会話は相手が誰であっても変わらない、替えの効くもので、かなり楽だ。そいつは、逆にコミュ力がない、というか怠惰なコミュニケーションをしていると思う。
平場の芸人のマネなのか、露悪的90年代サブカルの影響なのか知らないけど、刹那的で自分勝手なコミュニケーションだと聞いていて思う。
僕もそういう会話をしたことがないほど出来た人間ではないけど、基本的には相手の好きなこととか、それをどんな思いでやっているのかとか、日常で気になることとかそういう話がしたいし、いじりっぽくなっても議論できるような語りじろのあるボールを投げたいと思っている。
要するに、フォーマットが決まっていない、属人性のある会話をしたい。
でも、こういうと、大体「お前つまんな」「ノリ悪」とか言われて、今では友達が少なくなって、飲み会にも誘われなくなっている。
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