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日大三高、令和3年・夏至の戦い 〜高校野球東京大会決勝戦 日大三高VS関東一高 @府中市民球場〜

本noteに何度か登場している超攻撃的投資家兼編集者の「ぜぶら」は、高校野球マニアでもあった! 彼は、自身が担当した日大三高の名将・小倉全由(まさよし)監督の著書が7月3日に発売されることにかこつけて、奇しくも同日に開幕する夏の甲子園予選・西東京大会の観戦記を連載する決意を固めたのだった(ほかの仕事大丈夫ですか)。
果たして、強豪日大三高に甲子園の神さまは微笑むのか!?
まずはその前哨戦、コロナで延期となっていた春の都大会決勝・vs関東一高戦をお届けしたい。

春季東京都高校野球大会、決勝戦の関東一高vs日大三高を観戦するために、府中市民球場に向かった。

この試合に足を運んだ理由は、日大三高の小倉全由監督の書籍が7月3日に発売されるのだが、そのお手伝いをした経緯があるからだ。

もう発売前なのに今さら「取材」という名目で、半ば仕事をタコって奮って参加した。

※「タコる」とは?静岡の方言

ファン待望、高校野球の有観客試合

この試合は、当初は2か月前に行われるものだったが、緊急事態宣言、そして日大三高でのコロナ感染者発生の影響で試合予定が伸びに伸び、なんと夏の大会直前である、夏至のこの日に決まったもの。

大会間際のこの時期に、実力校同士のガチンコ勝負、さらには日大三高の小倉監督と関東一高の米沢監督の師弟対決ということで、気になるファンも多かった試合。

私は試合が開始して20分後に府中市民球場に到着したが、到着して驚いたのは、入場券が1000円もするという驚愕の事実だった。

次に驚いたのは、平日なのにほぼ満員という盛況ぶりについてだった。まさに、高校野球を観たくてたまらなかった人たちの熱気で溢れていたのだ。

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私自身、高校野球の試合を観戦するのは5年ぶりなので(コロナ禍のせいではなく嫁ブロックのせいで)、球場に到着するまでに高鳴る胸を抑えきることができなかった。

ちなみに、この試合は感染対策として、座席は1席空けての着席、マスク必携、私語は慎む、というスタイルだった。

来月からの予選も、このスタイルで有観客での開催になることを切に願う。

エグすぎる関東一高・エース市川の投球

まずビックリしたのが、関東一高のエース・市川投手のストレートが速すぎることだった。

調べてみると、なんともすごい投手ということで、見れば納得と言うしかない。

・東京No.1右腕・市川祐など夏の東東京を盛り上げる逸材25名

■3回終了 関東一高 2-0 日大三高

市川投手が良すぎるので、日大三高打線、というか今年の読売巨人軍でもなかなか打てそうにない、と府中市民球場に来ているみんなが思っていた。こうなると、相手の失策から打開するしかない状況。

市川投手は変化球もめちゃめちゃキレていて、今年の読売巨人軍だったら即ローテ入りできるのではないか、と府中市民球場に来ているみんなが思っているに違いない状況で試合は進む。

4回表、日大三高にそのタイミングがやって来た。

関東一高のショート、セカンドの連続エラーで2死満塁の大チャンスが到来。

しかし、6番・鎌田選手が市川投手の速球に粘るも、最後はストレートで三振。

振り返ると、日大三高にとってはこの日、唯一のチャンスとなったシーンだった。

私は日大三高ベンチの様子を見たかったので、一塁側の関東一高の応援席で観ていたが、市川投手のエグいストレートが走るたびに、「ずるっ!」「えぇ?」「こマ!?」といったことを、思わず何度も口走ってしまった。

気づくと、隣にいた関東一高ファンの女性の方に白い目で見られており、居心地が悪かった。

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奇抜な声で相手を十二分に威嚇する関東一高のセカンド

球場に到着したときから気になっていたのが、甲高い声が球場全体に響きわたっていることだった。

最初は「東京大会の決勝戦ともなると、白井球審がジャッジをするんだな……」とその声の主を白井球審だと勝手に解釈していたのだが、よくよく見ると関東一高のセカンドの選手から発せられているものだった。

・白井球審 アーイ集

白井球審にも似ているが、耳を澄ますとアメリカザリガニの柳原哲也とまるで同じなので、可能ならばなんとなくイメージしてほしい。

ちなみに、アメリカザリガニの柳原哲也のことは最近見かけないと思っていたが、「おとうさんといっしょ」のシュッシュというキャラクターの中に入って大活躍している。

・おとうさんといっしょ

平日昼間の試合観戦は、高校野球の醍醐味だ

16時が試合開始だったので、試合終盤は西日が差し込んできた府中市民球場。

真夏でもなく、カラっとしたとても心地よい陽気の中、ハイレベルの戦いを平日の昼間に観られる優越感……。

「これが高校野球の醍醐味だ」

「来月の西東京予選も、会社をタコって絶対に平日の昼間に観戦に行くぞ!」

と、府中市民球場に来ているみなさんの横顔が力強く物語っていた。

※「タコる」とは?静岡の方言

私はと言えば、「日没になったらナイターになるのかな?」と心配しつつ、ナイターになる前に確実に妻からの招集令状で強制帰宅の展開になることを予想して、遠くの青い空を眺めていた。

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日大三高の気になる変則左打者と好投の20番

日大三高の3番ライト井坪選手(左打者)。

「変わった名前で覚えやすいな」と感じていたが、構えも特徴的で、見ていていかにも打ちそうだった。

豪快な構えとは裏腹に、4回にはチャンスメイクとなる流し打ちの上手いヒットを打っていた(この日の日大三高のクリーンヒットはこの一打のみだった……)。夏の予選でも注目していきたい。

ちなみに肝心の打席時の写真は撮り忘れたので、考える人スタイルの小倉監督を激写してみた。

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こうした劣勢の試合展開では、小倉監督は選手たちにどういう声がけをしているのか……。

答えは意外なものなので、もし気になる人は本を買って読んでみてほしい。

■試合終了 関東一高 5-0 日大三高

本当に、関東一高の市川投手が素晴らしかった、この一言に尽きる。

関東一高は打線も上位から下位までヒットが繋がり、切れ目がない。

高校野球には今年の春から球数制限が導入されているので、市川投手の控え投手も気になるが、ここまで完成度が高いチームなら、確実に東東京予選を勝ち上がってくるに違いない。

・【高校野球】投球制限・球数制限と申告敬遠のルール

日大三高打線は市川投手にかなり苦しんだものの、7回から登板の背番号20・栃原投手の好投が流れを引き寄せた感があった。

やはり、高校野球は流れが大事だと感じる試合でもあった。

終盤は市川投手の球速に慣れて来たのか、良い当たりを連発していたものの、野手の正面をついていて残念な展開に。

先発したエース宇山投手は、関東大会の桐光学園戦に続いて打ち込まれてしまったのが心配だが、夏の本戦までまだ1か月あるので調整に期待したい。

・桐光学園、打撃戦制し日大三撃破 エース中嶋7失点も満塁弾5打点で貢献

試合終了後、整列した関東一高の選手たちは、キャプテンの「せーの!」のかけ声とともに、アカペラで校歌を斉唱した。

球場全体がクスクスと失笑していたが、こういうのも含めて高校野球の清々しさなんだよなと、あらためて素晴らしさを感じることができた。

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なつぞら再び!

終わってみれば5対0と点差は開いたが、終始ハイレベルの戦いで、見応えがあるものだった。

普段、私の出身地である静岡大会を観に行くと、どの試合も確実に途中で眠くなるのだが、この試合はどちらの高校も甲子園に出てもおかしくない実力校同士、あっという間に9回になったので驚いた。

日大三高は5月に部員1名のコロナ感染があり、5月20日から6月4日までの2週間、監督、選手は自宅待機を余儀なくされた。

この貴重な時期に、これだけの期間、全体練習ができなかったことは大きな痛手に違いない。

そんな中、日程のめぐり合わせとはいえ、こうして超高校級の投手と、この夏の予選直前に対戦し、最後は打球を合わせることができていた。

まさに、小倉監督が常々伝えている「一生懸命」の姿勢が、チームメイトに浸透した瞬間を感じた。
※強引に書籍タイトルと絡めてみる

いよいよ、2年ぶりに球児たちの夏がやってくる。

小倉全由監督の書籍は7月3日発売だが、来月からの西東京予選は、書籍の発売後なのに「取材」という名目で、また仕事をタコって観戦したい。

※「タコる」とは?静岡の方言

・西東京の大会概要・展望


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