カラスの愛
札幌なのに毎日暑い。暑いと言っても、最高気温がせいぜい29℃から32℃程度なのだが(一日だけ35℃の日があった)、今日で最高気温が29℃以上の日が12日も続いている。
本州以南の人はご存知ないかもしれないが、北海道の一般住宅で、各部屋にエアコンを装備しているなんてことは、かなりめずらしい。
宮殿(拙宅のこと)にもエアコンはあるが、リビングダイニングの一台のみで、ワタクシが寝ている部屋にはない。一台もない家も、そうめずらしい話ではない。現に、ダーリンの実家にもワタクシの実家にもエアコンはない。
宮殿のエアコンだって、ほんの数年前に装備したものだ。しかも、知人の伝手で破格の価格で取り付けることができたからだ。
つまり、認識としては、まだ生活必需品ではないのだ。暖房がなければ死んでしまうかもしれないが、冷房がなくても死なないだろう、という認識だろう。
でも暑い。30℃クラスの日々が半月も続くなんて、少なくともワタクシの記憶では過去になかった。これは、熱中症で亡くなる人が出ても不思議ではない。ここ数日、救急車のサイレンを聞くことが多いのは、熱中症の人の搬送なのかもしれない。
この先は、母から聞いた話だ。
母が日課の散歩に行ったとき、熱中症になっていると思われるカラスを見かけたそうだ。道路の脇にうずくまって、人間で言えば肩で息をしているような様子だったという。
そして、その側には、つがい、もしくは仲間と思われるカラスがいたそうだ。
側にいたカラスは、弱っているカラスに向かって羽ばたいて風を送っていたという。
カラスは頭がいい。
ワタクシは以前、道端に落ちていた煎餅を水たまりに浸してから食べるカラスを見たことがある。
車の車輪で木の実を割らせるカラスがいるのも、本で読んだことがある。
ワタクシも、サラリーマン時代のクルマ通勤の折に、おそらくクルマに撥ねられた(カラスは意外にも、交通量の多い道路を歩いている)カラスの脇に、仲間のカラスが寄り添っていて、通行するクルマから仲間を守っているところを見たことがある。
頭がいい上に、カラスは情が深いのだと思う。
母が見た弱ったカラスが、その後どうなったのかはわからない。
しかし、カラスであってもこれだけ仲間を気遣うことができるのだ。
人間の世界には、殺伐としたニュースが多い。
ヒトは、弱者のヒトを守る意識があるだろうか。
ワタクシは、このカラスのように、弱った仲間を支えることができているのだろうか。
過去のこととはいえ、自分が犯したいじめを勲章のように扱うことは、人道に沿ってはいないだろう。
母が目撃したカラスたちが、通常の生活に戻っていてくれればいいのだが。
カラス好きなワタクシは、そう思っている。
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