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髪の色

ずっと黒髪で生きてきた。

染めたりするのも、なんだか気が乗らないというか・・・

中途半端に染めるくらいなら黒のままでいいかと思っていたり。

仕事柄染めたりできないというのは大半の社会人の運命でもある。

だから染めてみたいとか、今のうちに染めようとかで、若いうちにその欲求を満たしたりする。

個人的には白髪が若い時から多くて、結構前から白髪染めはしていた。
やっぱりちょっとみっともなくなるというか、あんまりいい印象は持たれないと思ったから。

そんな生活からしばらくして、いろんな縁が重なり、カフェで働くことになった。

そこにいる人たちは髪の色や長さ、髭も何もかも自由にしていた。
いい雰囲気だった。『髭と長髪は自由の象徴』なんてかっこいい発言をしている人もいた。

そんな空間に憧れていたのもあって、いろんなものが新鮮に映って、そしてのびのびと生活していった。

そのカフェで働き始めてから3ヶ月くらい経ったある日に、突然決意した。『髪の色を抜いて真っ白にしてしまおう!』と。

そしてどうせそうするなら、奇抜にマッシュルームヘアなんてどうだろうと思い、散髪。

『おぉ、思っていた以上にいい感じじゃん。』

次の日、出勤すると、めちゃくちゃいいじゃん!と褒められて嬉しくなっていた。自己肯定感が最高潮に満たされていく。

髪の色効果もあってか、ありがたい出会いが多くあり、今の自分の人生に欠かせない出会いは思い切った決断から生まれた。

ある人に『どうしてその髪色にしたのか』と聞かれた時に、『社会に抗うため』と咄嗟に出たのだが、本当にそうだったのかもしれない。

もしこの髪の色のままだったら、サラリーマンとしてなんて仕事なんてできやしないし、するとしたら戻さないといけない。

めんどくさいのもあるけど、自分の信念そのものも変えないといけないのはちょっと癪だと思った。

覚悟というものもこれに詰まっている。

多種多様な人間が集まる東京という土地にも、なんだか助けられてる感じがしている。

でもただ髪の色を変えるだけじゃなくて、それによってどういう影響が自分自身とか、周りに起きるのかということ。

そこまで考えて生活してみたら面白いのかもしれないと自分の中で再認識できたのはとても大きいことだった。

どんなこともいい方に持っていこうと思ったらいくらでも持っていけるし、悪い方に考えたらいくらでも悪い方に行ってしまう。

どうせなら、なるべく悪いことばかりで自分を染めたくないとも思う。

髪の色も心も、どんなことも。

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