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漫画の話『Thisコミュニケーション』〜合理的な関係ってナニ?~

さて、漫画の話をしましょう。保険の話なんてつまんないしね。

今日紹介するのは、六内円栄(ろくだい まるえい)の『Thisコミュニケーション』です。さて、他人との関係性というのは、極論すればコミュニケーションが全てです。人間は社会的な動物なので、無人島で1人で暮らすのでもない限り、必ず他人との関係が生じます。では、そんな避けられない他人とのコミュニケーションを、徹底的に合理的に突き詰めていったらどうなるのか? この漫画はそんなテーマに踏み込んだ意欲作です!

1巻表紙(kindle版)

あらすじ

20世紀後半、人類が生息できない毒ガスを出す謎の生命体「イベリット」によって、人類はその生息地を瞬く間に減らし、滅亡の危機に瀕していた。元スイス軍人のデルウハ(言いにくい)は、そんな時に偶然日本の極秘研究所に辿り着く。そこでデルウハは、生き残った人類と「ハントレス」と呼ばれる、イベリットに対抗できる戦闘力を持ち、死んでも生き返る6人の少女達と出会う。

主人公のデルウハと、ヒロイン(多分)のハントレス「よみ」

軍人としての能力を見込まれ、少女達の指揮官として雇われたデルウハは、少女達が生き返る時に1時間分の記憶を失うという特性を、「都合の悪い記憶を消せる」理想の兵士として考える。少女達を指揮し、場合によっては(かなりの頻度で)自ら少女達を殺し、自分に都合よくコントロールしようとするデルウハはどうなるのか?

記憶を消すため少女達を皆殺しにするデルウハ
(後で生き返るからOK!)

合理的なコミュ障

あらすじを自分で書いててなんなんですが、このデルウハってまったく主人公に見えないというか、どっちかというと敵側の洗脳とか寝取りとかしてくる嫌な奴にしか見えないですね。しかし、寝取りとか嫌いな人も安心してください!このデルウハ、食欲だけで生きてるような男(好物はパンとサラミ)で、ハントレスの少女達に好意を向けられると、殺してなかった事にしようとします。

依存されそうになったので殺すデルウハ
(後で生き返るからセーフ!)

しかし、このデルウハは結構抜けてる所があるので、なんだかんだで突発的なアクシデントやミスにより、思い通りにいかないことが多いです。少女を殺そうとする所を他の少女に見られたり、対応を間違え過剰に依存されたりします。まあ、そういう事がある度に少女達を皆殺しにして記憶を改竄しようとするんですが……。コイツ本当に最低だな。

バッドコミュニケーション

この漫画の主人公のデルウハ、少女達を都合のいいように戦わせ、記憶操作するために殺しまくるという、どう考えても最低のクソ野郎なんですが、読者として見ると不思議と憎めません。その原因としては、おそらくデルウハが合理主義と言いながらも、根本的なところでコミュニケーションが下手というか、アスペっぽいというか、いろいろ失敗してしまうところにあるでしょう。そして失敗すると言い訳したり開き直ったりして、人間臭いところがその原因でしょうか?

少女達を殺していた事がバレ、言い訳するデルウハ

ちなみにタイトルの『Thisコミュニケーション』は、字面通りの this で「このコミュニケーション」という意味と、音つながりの dis で、「失敗したコミュニケーション」「断絶」という意味を兼ねています(私予想、多分)。


まとめ

計画的な犯罪者が主人公の作品、例えば『DEATH NOTE』とかが好きな人にはおすすめできます。どうやって人間を超えた力を持つ少女達と交流し、どうやって殺して記憶を改竄するか?そんな詰将棋のような、スリリングなトークと戦闘が楽しめます。そしてクソ野郎なのにどこか愛嬌がある、そんなキャラクターが好きな人にもオススメ出来ます!さあ今すぐサイコな犯罪者が何を考えいるのか、その脳内にダイブしましょう!

本日の漫画紹介でした!

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