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神戸モダン建築祭

昨日(11/24)神戸モダン建築祭に行ってきました。
たまたま、私の携帯がご親切にもDiscover機能で「これ興味ない?」と記事を見せてきたのが数日前。昨日はもともと大阪浮世絵美術館に友人と行く予定をしていたのですが、その友人は建築の勉強をしていたこともあって、絶対興味あるだろう!と思って声掛けると「行こう!」と食い気味に返信がきたのでした。

結果として、本当に充実した1日となりました。

風見鶏の館

9時半に三宮駅で集合した私たちは、まずは一番奥の風見鶏の館へ。
こちらは工事中ということで、工事の中を見せてくれるというものでしたが、事前予約が必要なもの。
残念ながら携帯が教えてくれた時には事前予約の受付が終わってしまったので中は見れないものの、外観だけでも見に行こうと坂をえっちらおっちら上ったのでした。

途中で阪神タイガースサンタを見つけました。
え、神戸はオリックスじゃないの?と思ったら、1人だけオリックスでした(どこでしょう?なんて。窓辺で立っているサンタです)。

中は見られないけれども、「まいまいポケット」アプリで音声ガイドを聞くことができるので、眺めながら拝聴。
他の異人館でよく見るコロニアル様式と異なって、ドイツらしい建物ということ。

神戸バプテスト教会

ようやく事前に購入していたパスポートの出番。
ネットで購入していたので、ここで実際のものと交換しました。

クリスチャンであった洋画家、小磯良平宅跡地を譲り受け、建てられたとのこと。
中は、プロテスタントの教会っぽい、とても簡素なもの。
窓にステンドグラスなどはないですが、壁が白いためとても明るく感じました。
今でも使われているためか、温かみのある教会でした。

神戸ハリストス正教会

こちらも事前予約が必要な建物。
中を見てみたかったのでとても残念でしたが、外観だけでも見に行こうと行ってみました。
そうしたら住宅街に溶け込むように、小さくてかわいい教会が!

一瞬、普通の家かと思うくらいの大きさでしたが、真っ白な壁に、かわいい水色の球体の屋根を持つ塔が正教会であることを示していました。
正教会に入る機会はなかなかないと思うので、事前予約できなかったのが悔やまれました。

北野メディウム邸

メディウムさんが住んでいたのでメディウム邸というわけではなく、近年リノベをされて、1階はカフェ、2階はコワーキングスペースやイベントで使用されることから、媒体の意味の”メディウム”を使っての名前とのこと。
今回見学できるのは2階部分で、あまり広くないこともあって、1度に10人までしか入れないようで、少し並んで待ちました。

建物の前には樹齢120年となる、なんとも立派なソテツが!
その木陰を通っていよいよ中に。

2階にあがって右側の部屋では、無料でカラー診断をしていて、せっかくなのでしていただきました。
結果はスプリング、ちょっと落ち着きたかったらオータムでした。
友人もスプリング、でもサマーでも似合うということ。

もう1つの部屋ではガイドの方がいらして、解説をしてくださいました。
コロニアル様式ではあるけれども、普通は左右対称な作りになっているところ、ここは非対称になっている、ちょっと珍しい建物とのこと。

また、異人館群全体の話もされていて、明治時代はもっと異人館が建ち並んでいたとのこと。それが神戸大空襲で大きな被害を受け、かろうじて残っているのが今ある建物とのこと。
ちょうど今朝、友人と坂を上りながら「なんで坂のてっぺんに館があるんだろう」とひーひー言っていたので、逆に坂のてっぺんのものが残ったということだったんだなと思ったのでした。
また阪神淡路大震災の際にも、色々と被害があったのですが、一番のダメージは煙突だったとのこと。
ポキっと折れて庭の方に落ちたらまだしも(下に人がいなければ、の話ですが…)、建物の方に折れてしまったら1階まで落ちてしまっていたところだったので、こちらの館はそんな大きな被害もなく良かった、ということでした。
色んなことを乗り越えて現存するこの建物が、今は”メディウム”として活用されているのは、なんだか感慨深いものがあるなと思いました。

中華民國神戸留日華僑總會

元はドイツ人実業家の邸宅とのこと。
真っ白の外観が美しい、コロニアル様式の建物。
外に出っぱっているベランダは、中に入ると分かるけれども床が少し傾斜しており、これは雨が降った時の排水用の傾斜で、つまりは元々はここにはガラス窓がなかったということ。東南アジアの暑さを軽減するためにできたコロニアル様式のベランダは、神戸には寒すぎたため、後から窓ガラスをつけたようです。
メディウム邸を含め、他の建物でも同じような説明があったので、この地にやってきた何人もの外国人が「寒いよ!」となったんだろうな…。
確かに寒いよね、と実感できる気温でもあったので、説得力がある説明でした。

ここは使用人の家も現存しているちょっと珍しい建物でもあります。
使用人の家の中には入れませんが、思ったより大きな建物でした。

松廻家

洋館が建ち並ぶなか珍しい和風の建物。
といっても大きなガラス窓に囲まれた近代和風の建物で、りっぱなモダン建築の一例とのこと。

建設当初は貿易商の大林家の住宅として建てられ、1914年に海運業者である乾家が購入し、その後洋館部分を増築したそうです。
(写真では木の影に隠れている部分が洋館部分)
今は老舗料理屋さんである松廻家の店舗として、中は大きく改築されているとのこと。

因みに中には入ることができませんでした。
入る際に説明がなかったためか、中に入ろうとしてお店の人に止められている人がいたり、どこか入れるところがあるのかとうろうろしてバックヤードみたいなところに行きつく人もいました。
パンフレットには公開箇所が「外観、庭園」と書いてありましたが、お店のことがあるので、入口で釘をさしてもいいのかなとちょっと思いました。他の建物でははっきりと「ここまで」と分かる誘導の仕方だったので、少し気になりました。

北野アレイ

安藤忠雄の初期の作品。
写真に撮るのがとても難しいけれども、歩くとこの建物の魅力がすごく感じる建物。

2つの棟をちょっとずつずらしつつ、それを廻廊でつないで、歩く人をぐるぐる回遊させる建物で、歩いているとエッシャーのだまし絵に入っているような感覚に陥ります。
全部が打放しコンクリートというわけではなく、階段などに煉瓦が使われているのが、レトロな雰囲気を醸し出している気がしました。

小休憩

当初の目標は、午前中に北野・山手エリアを制覇し、午後に海の方を目指すとしていましたが、途中であまりにお腹が空いたのでランチに。
近くの馨林という中華料理屋さんへ。

担々麵をいただきました。これに前菜、点心、デザートもついていて、どれも美味しかった!
食べログで百名店に選ばれているだけある!
お腹を充たし、元気になったところで再開です。

ローズガーデン

北野に点在する安藤忠雄建築の第1作目。
元々は商業施設だったとのことで、今でも一部が使われているようでした。
北野アレイと同じく、中庭を囲むように迷路のような廻廊がありました。北野アレイよりも迷路感は薄いですが…

この建物の珍しいところは、安藤忠雄建築といえばコンクリート打放しコンクリートであるのに対して、北野の雰囲気を合わせての煉瓦がはってあるところ。
とはいえ煉瓦の貼り方も工夫がされており、煉瓦の凸凹が出ないよう、どっしりとした貼り方をしているとのこと。

もう1つ、この建物の印象的だったのが、もう使われていないこちらのバー。

レトロ感満載で、しかも光の入り具合といい、とてもいい感じでした。
そのためか、大きなカメラを持った人たちが色んな角度でパシャパシャ。
撮り甲斐ありそうだな~と思いながら、どんな写真になっているのか見てみたくなりました。自分は写真が下手なので余計に…

シュウエケ邸

北野・山手エリア最後の建物は、ものすごいものでした!!!
中に入るとヨーロッパのお城のように、壁一面がさまざまな絵で覆い尽くされています。
調度品も細かい彫刻がほどこされた素晴らしいものだったり、象牙の彫刻が配されていたり、天井からはシャンデリアが下がっていたり…
もう建物の構造うんぬんではなく、中の素晴らしさにただただ圧倒。
素晴らしいの一言しかないです。

なによりも驚いたのが、ここが個人宅であること!!!!!
ですので2階には上がることができないのですが、1階とお庭を公開してくださって誠にありがとうございます、と言いたいくらいすばらしかったです。

絵のコレクションもさまざまで、洋画はもちろん、日本画、浮世絵、おそらくは元々は屏風絵だったものを額装したものまでありました。
洋画の中には藤田嗣治の作品まで!!!

神戸モダン建築祭のホームページなどで記載されている順番としては、このシュウエケ邸が1番目となっていますが、最後に見て良かったーーー
こんな圧巻のものが最初だったら、その後に続く素朴な建物たちが褪せて見えてしまっていたかもです。
たまたまこの順番で見ましたが、満遍なく堪能でした順番だったなと思ったのでした。

神戸税関

港湾エリアに向かって坂を下りていくと、海に近づけば近づくほどどんどん寒くなってきました。

神戸税関のパスポートで入れる限定公開場所は土日にしか入れないのですが、普段から公開されている広報展示室には今日も入れるということだったので、せっかくなので入ってみました。

入ると巨大な吹き抜けに圧倒されました。
期待していなかった分、これを見るためだけに入ってもよかったと思えるくらい、国家建築らしい重厚なクラシカルな雰囲気を持った、圧巻の玄関ホールでした。

広報展示室は、こんな機会がないと入らないよな~と思いつつ、ゲームとかしてちょっと遊んでしまいました。
旧館と新館を結ぶ中庭も入ることができて、しっかり堪能しました。

新港貿易会館

港湾関係者の事務所を集約したオフィスビルとして建てられたとのことで、中に入るとたくさんの部屋が入っていました。
今でも使われているようで、働いている方も見かけました。

玄関扉上のステンドグラスや、最上階の階段にあるステンドグラスなど、アールデコ調のステンドグラスがかっこよかったです。
特に階段のステンドグラスは、丁度夕方の光が入ってきて、とてもきらきらしていて素敵だったのですが、写真に撮ると半減…
写真ではとらえられないきれない感動ってありますよね…

デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

神戸市立の生糸検査所と、旧国立生糸検査所という2つの建物を合体させてリノベしたデザイン・クリエイティブセンター神戸。
中には図書館も入っていれば、レンタルスペース、オフィススペースなどなど、多目的で使える大きな施設になっていました。
ちょっとしたスペースも多々あり、そこで勉強する人や本を読んでいる人たちもいて、市民の憩いの場所になっているようです。

特別公開となっているのは、1階の北玄関。
元々下の階もあったようで、下に続く階段が公開されていました。

建物全体がレトロな部分と、リノベした新しい部分が上手に融合されていて、いるだけでなんだかおしゃれな気分になりました。さすが神戸。
特に図書館が本当にかっこいい!!!近くに住んでいたら通いたいくらいでした。

こども本の森 神戸

中之島にあるのは知っていたけれども、神戸のものは「そういや…」レベルだったので、この機会に行けてよかったです。
中之島のが第1号で、遠野の第2号に続く、神戸は第3号。

こちらは安藤忠雄氏が私財をなげうって、設計・建築した子どものための図書館。といっても借りることはできません。
建設から携わっていた神戸市の方が解説してくださいました。

中之島のものとよく似た建物ですが、中之島より少し小さいとのこと。
中之島の曲線は川をイメージしてですが、こちらの曲線はというと、元々ここにあった藤棚と似た形にしてとのことでした。

天井までそびえる本棚に、本の背表紙ではなく表紙が見える形で配置されているので、視覚的にもわくわく感が広がる気がします。
因みに、6段目以上の本は固定されているものの、その下に同じ本が収納されているので、読むことができます。
これは本はすべて寄贈されたもので、そうなると重複するものが出てくるからできることかなと思いました。
本の並べ方も普通の図書館の分類方法と違うため、図書館とはまた違った体験ができるとのこと。

基本的には予約制ですが、空いていればそのまま入ることができるそうなので、三宮で用事があった時に時間に余裕をもたせて、今度はじっくり本を読みに行きたいなと思いました。

締めのケーキ

9時半から歩きどおしで17時ちょっと前まで堪能した私たち。
さすがに疲れて、「park kitchen WEEKEND」でお茶しました。
季節のタルトのモンブランは栗がごろごろ入っていてめっちゃくちゃ美味しかったーーーなんか写真はピント合ってませんが、疲れ切っていたのでご勘弁を。

見たいところはすべて行けたので達成感がはんぱない1日となりました。
神戸は近いはずなのにあまりじっくり回ったことがなかったので(異人館も実は入ったことがない…)、素敵な神戸を堪能する良い機会となりました。

たまたま携帯が教えてくれたので、把握される恐怖感がないわけではないけれども、携帯さまさまでした。
もし次回開催されることがあったら、もう少し早めに情報キャッチして事前予約したいと、伝えたいところではありますが。

長々と最後まで読んでくださってありがとうございました!

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