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「インド近代絵画の精華」@神戸市立博物館

近くで用事があり、すぐに帰るのももったいない気がして神戸市立博物館を調べてみると、“インド近代絵画”とあるではありませんか!

インド人と仕事することが多くなったここ数年、インドってどんな国かまったく知らないな~と反省の気持ち込めて思うことが多々あったので、よい機会だと思って行ってみました。

博物館の感想

神戸市立博物館ってずーーっと昔に行ったことある気がするけれども、まったく記憶になく。
小規模の博物館でありつつ、入ってすぐのホールが広く開放的だったり、展示室もゆったりしていたりと、のんびりするのに良い博物館だなと思いました。

何よりも入館料が安い!なんと300円。
こんなきれいなのにワンコイン以下で大丈夫?といらぬ心配してしまいました。
その金額でコレクション展示室も観れます。

博物館らしく、今回の展覧会含め、色んなジャンルのものが観れるので、300円ではもったいないくらいの価値を感じました。

コレクション展示室

順路としてコレクション展示室からなので、まずはこちらから。

銅鐸・銅矛から始まります。
正直なところ、あまり興味ないので(失敬)「ふむふむ」思いながら進みます。

次の小部屋では「聖フランシスコ・ザビエル像」が。といっても複製ですが。
教科書などでお馴染みな絵ですが、こんなサイズなんだ〜とサイズ感の確認。想像より大きかったです。
あと、絵の下に墨筆にて文字が書いてあるのは知らなかったので新たな発見でした。「瑳聞落怒青周呼山別論廖瑳可羅綿都 漁父環人」と書いてあるらしいです。

次の展示室は古地図、びいどろ・ぎやまん・ガラス、明治期の油絵などが展示されていました。
古地図は、また申し訳ないですが興味ないので、ふーーんと通り過ぎました。
「神戸市立博物館はどこでしょう?」など、興味がそそられる問いかけもあったのですが、Googleマップですら覚束ないので分かるわけなく…。

それと対照に、びいどろ・ぎやまん・ガラスはめちゃくちゃテンション上がりました!
今回は「みだしなみのガラス」がテーマとなっていて、簪や櫛、煙管や印籠などなどあり、とっても素敵!!!
涼やかな見た目反して重いらしく(よく考えたらそうか)、髪に飾るとなると髪型崩れそうだし、果たして実用的だったのか分からないといったことが書かれていたけれども、当時の女性が心躍らせても何の不思議もない素敵さでした。
例えば、棒状の簪で、全体が透明であるなか、真っ青な球体が1つだけちょんと付いていたり、魚の形の櫛の周りをビーズで波を表現していたり。粋だったり可愛かったり、バラエティ豊かな展示を楽しみました。

油絵のコーナーも興味深く、今回は人物像がテーマでした。
黒田清輝が西洋から持ち帰ってきた裸婦が、政府にとって都合悪く…とあったのに、一瞬「はて?」となりましたが、そういえば開国当初の日本は裸であることに羞恥心が特になく、文明開化を目指す政府としては、それを野蛮としたということを思い出しました。
逆に言うと、西洋では裸であることは恥ずかしいとしてるのに、絵では平気で裸婦を描くってことか〜と、今更ながら気付かされました。当時の日本人からしたら、裸になるのは野蛮と言うくせに、絵ではOKってどういうこと!?って感じだったのでしょうか。

「インド近代絵画の精華」

普段接してるインド人の押しの強さ(日本人と比べるとほとんどが押しの強い人になりそうですが…)や、映画などで見る結婚式の様子などから、色鮮やかな絵画を想像していたのですが、それとは真逆な落ち着いた色でびっくり!

20世紀初頭、岡倉天心や横山大観など、日本の近代絵画を代表する人たちと、インド近代画家たちは交流があったらしく、互いに影響を受けあったようです。
折しも、どちらも西洋の近代化の波を受けて、自国の文化を見失いそうになっているとき。
日本としては仏教のルーツとなるインドに、インドは西洋化に抗おうとしている日本に親和性を感じたのでしょうか。

今回の展覧会でスポットが当たったナンダラル・ボース(1882-1966)やウペンドラ・マハラティ(1908-1981)は、自国の伝統的技法を重要視して作品を制作するベンガル派に属するということです。

ナンダラル・ボースは構図が面白いのが特徴のように思いました。
例えばポスターでも使われている《舟遊び》は、船が画面からはみ出そうなくらい大きく描かれているため、一見船に見えないのですが、それでいて登場人物を色で区切る役割を持たせているのが面白かったです。

ウペンドラ・マハラティは西洋のアカデミックな絵画も学んだということで、構図自体は西洋絵画を彷彿させるものもありました。
ただ手足の優美さは、インド舞踊っぽくて(実際に観たことがあまりないのでイメージですが)、西洋絵画に見られない曲線な気がします。
個人的にウペンドラ・マハラティの色調が華やかでありながら穏やかで好きでした。

仏教をテーマにしているのも馴染みやすさなのかもしれません。
ただ日本で見かける仏教画とはポーズが大きく異なり、例えば涅槃といえばブッダが横になっているのを想像しますが、ブッダの顔のアップでした。
しかも動物たちが悲しんでいるのではなく、《ブッダの涅槃を悲しむ自然》というタイトル通り、自然を擬人化した顔が、ブッダに寄り添っていました。

インド絵画自体、あまり見たことがなかったので非常に新鮮で、興味深く観ることができました。

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