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「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」@大阪中之島美術館

少し前の平日に大阪中之島美術館で開催されている醍醐寺国宝展に行ってきたので、その感想です。

因みに入る所がお寺の山門風になっていて凝っていたのですが、不覚にも写真を撮り忘れました……
せっかくなので美術館の公式Instagramに上がっていた写真を貼り付けます↓


全体的な感想

お寺や仏像のこととなるとあまり知識もないので、音声ガイドを借りてみました。麒麟の川島さんが声をされていたのですが、イケボ過ぎてぼーっと「ええ声や…」と思って聞いていて内容が入ってこず、巻き戻すことが何回かあったのはここだけの話です。

国宝や重要文化財も多く展示されている本展覧会。
入ると大きな帝釈天騎象像がドーンと出迎えてくれます。この迫力のある仏像が平安時代のものと知ってびっくりしていると、仏像に向かって手を合わせている方がいらっしゃいました。
それを見て、この展覧会のポスターを見た時に少しだけ抱いた違和感を思い出しました。

醍醐寺は今でも宗教施設として続いているお寺で、熱心も信仰されている方もいらっしゃるはず。その方たちからしたら仏像などには、モノとして以上の意味があると思われます。
そもそも博物館・美術館に仏像が展示されるのは今に始まったことではなく、常設として展示されているところも多々あります。博物館・美術館に展示されると、宗教的意義は薄くなり、歴史を表すモノとしての側面が強くなる気がします。
それ自体に批判をするつもりはまったくないのですが、今回の仏像をポップに飾ったポスターを見て、このモノ化が強まった気がしたのでした。

因みに展示自体はそんなポップな雰囲気はないのですが、硬派な博物館よりは、若干仏像をかっこよくプレゼンしている感じはしました。
くり返しますが批判をしているわけではなく、こうした現存している宗教の展覧会を博物館ではなく、美術館でやるって色々考えさせられるなぁというお話です。

因みに、初音ミクともコラボをしていて、途中のスペースでは初音ミクのARが楽しめます。
スマホでQRコードからサイトにアクセスしたうえで、何もない木のオブジェにスマホをかざすと満開の桜の中で初音ミクが歌って踊りだすというものです。こちらはかの有名な豊臣秀吉が開催した醍醐の花見をモチーフにしているようです。
4時半の閉館30分のアナウンスも初音ミクで、それにはさすがにびっくりしました。

初音ミクのARを楽しんだ後、後半の展示は桃山文化がメインとなっており、初音ミクに負けない派手な桃山文化へと繋がるのは面白い演出だなと思いました。
桃山文化の産物を保有している背景に、醍醐寺再建のために活躍した当時の座主、義演の政治的働きがあったというのも、今でいう会社再建ストーリーみたいで興味深かったです。

本日のBest

重要文化財《如意輪観音坐像》

ポスターのメインビジュアルになっているこの仏像が本当に素晴らしかったです。
目の前に立つと心が震える感覚がして、思わず手を合わせたくなるオーラがありました。
優美な顔に、優美な装飾品、頬杖する姿も優美だけれども、腕や足などは意外と直線が多いです。それが柔らかさ過多になっていない気がしました。
その中で法輪を持つ手がほんの少しだけ曲線を描き、人差し指の上に法輪。これがなんとも言えなく崇高に見えました。
あまり大きな仏像ではないのですが、圧倒的存在感。

この崇高な佇まいの前に立った後でポスターを再度見たから、上記のような少しだけざわっとする感想を持ってしまったのかもしれません。
当の如意輪観音様はそんなこともものともせず泰然とされているように見えますが。

その他印象的だったもの

重要文化財《不動明王坐像 快慶作》

こちらも小ぶりの仏像だったのですが、目の前に立っていると本当に力強く睨まれている気がしました。
斜め下を睨んでいるのが特徴のようで、この斜めの目線という、どこを見ているのか分かりやすい目線が眼光の鋭さを演出しているような気がしました。これが正面だと明確な目線が分かりにくく、力が分散して見えてしまったかもしれません。
火炎光背も興味深く、上部は二重になっているのが火炎の立体感を出していました。

国宝《文殊渡海図》

仏像が続きましたがこちらは絵。
大海原の上に雲に乗った文殊様一行が描かれています。
経年により、全体的に茶色に沈んでいますが、文殊様が乗っている獅子などところどころに残る彩色を見ると、とても鮮やかだったのではないかなというのが伺えます。
個人的に、獅子が前足を踏ん張りつつ、顔を少し後ろに向けている、このひねった動きがかっこよくて好きでした。その上に乗っている文殊様がまっすぐ座りながら進む方向を見つめているのと対比されているようでした。

《松桜幔幕図屛風》 生駒等寿筆

金地に赤に五三桐の紋(多分)を大きく配置された幔幕が大半を占め、その上に松や桜の枝が伸び出ている、という意匠の屛風。
桃山文化の香がするような派手な屛風で、屛風といえば大胆な構図で派手なものが大好きな身としては、見ごたえのあるものでした。
最近水墨の世界に浸ることが多かったので、それはそれで楽しかったのですが、久しぶりにこういう屛風を見ると、「これこれ!」となりました。
幔幕もよくよく見ると地模様も細かく描かれているので、ただの赤のベタ塗ではないのもいい!

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