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商う狼ー江戸商人 杉本茂十郎を読む。(お金の流れが歪む現在との共通)

商う狼 江戸商人杉本茂十郎

お金の流れ(流動性)の滞り、歪みが社会全体に影響する。これは、バブル崩壊時に私が感じた重要なことのひとつ。山一証券、北海道拓殖銀行等潰れるわけなどないと言われた証券、銀行が、あれよあれよと破綻した。

売ることの出来ない株券(担保の価値ない)数字の操作。貸した金(元金)さえ回収出来ない担保にならない土地や不動産や企業(評価の数分のいち以下、または、数百分のいちまで下がった)

膨大な赤字(累積)の前に、日々に必要なお金が不足し、運営出来なくなる。

貸した金は、湯水の如く使われ、消費され手元にはない。

現代日本でもコロナ禍、一律に10万配ったが一時の消費に使われたのは一部結構な額が預貯金として溜まり、また株式や不動産の投資に回り回って流れこみ、中間所得者層は、一部は高所得者層へ大半の者が低所得者層へ転げ落ちていった。

所得格差は、日本でも進み正社員と非正社員の大きな壁も出来た。

そして、政治家は、安易にまたお金を配ろうとしている。お金を配ることで果たして経済は回り、お金は流れていくのだろうか。

配ることより、お金が流れるシステムに今の日本市場を変えるべきなのに、それは既得権益者と官僚(行政人)にとっては、自分の人生を否定される事に繋がるから大きな抵抗者となる。

今、溢れているお金は、怒涛の如く仮想通貨、商品市場、株式市場、先物市場、為替市場、不動産市場を駆け巡っている。

そして、それは大きな変動率(価格の上昇と突然の下落等、高低差の大きな価格)を生み、市場には勝者(一部の)と敗者(多くの)が日々生まれている。

いつの頃からだろう。都会の電車に乗って、人身事故での一時停止の頻繁な発生(飛び込み自殺)を気にすることもなく、スマホを見ながら時間潰すだけの人が増えたのは。

今、この実在した杉本茂十郎を江戸の歴史から発掘した小説の背景は、飢饉や幕府の失政、商人の強欲さ、武士(行政)の日和見主義が現代に通じるからだろう。

選挙の結果がどうであれ、今私達は、江戸と同じ救いの無い社会にもがき生きている。

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