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ダイムラーとBMW: モビリティ事業の新会社設立記者会見で何が語られたか?(後編)

Mobility as a Service(MaaS)のプラットフォーマーを目指した競争が激しくなる中、ドイツの大手自動車メーカーのダイムラーとBMWが、競争していたモビリティ領域で事業統合に踏み切ると発表したのが2018年9月のことだった。そしてこの2月22日の記者会見で、モビリティ関連5事業に10億ユーロを出資すると発表された。この記事では、両社のCEOが出席したその記者会見で何が語られたか、詳細にレポートする。(前編はこちら

会見を受けての質疑応答

ここから会場の記者からの質疑応答。

Q. 2社合わせて6億人の顧客を持つと言っていたが、顧客一人当たりから見込める収益は? (Automotive News Europe) (34:40)

ツ: 今のところ約30億。

Q. Uberの名が挙がったが、直近四半期で10億ドルの損失を出している。この分野で継続的に利益を上げられるようになるのには長い時間がかかるのでは? (Automotive News Europe)  

ツ: 始めたばかりで今考えることではない。

ク: 協力して一緒に成功への道を歩む。

Q. 10億の資本はいつまでもつか? (Automotive News Europe)

ツ: なくなるまで。

ク: 3-4カ月後に5事業のCEOたちが事業計画を出すので、それを見てその先の投資について決める。ビジネスがどの程度成功するかによる。

Q. 5事業のビジネスプランを教えてほしい (Manager Magazin) (37:40)

ツ: 次の記者会見を待て。

Q. 収益予想 (Manager Magazin)

ツ: 投資は収益に合わせて考えるべきものだが、ライドヘイリングビジネスは拡大が肝だ。ポジションはこの3-4年で決まる。迅速に拡大しなければならない。収益も顧客数もどんどん増えていくと思うが、常に財源を十分にしておくことを5事業のCEOたちに約束している。

Q. ツェッチェCEOはこの分野のスタートアップや他の企業を買収する可能性があると言った。多数の事業を統合したばかりだが、まだ買収が必要なのはどの分野か? (Bloomsburg News) (39:24)

ツ: 5事業のCEOたちはそれぞれの分野ですでに経験があり競合他社や見取り図など分かっていると思うが、我々は現時点では特定の企業などを想定していない。

Q. テクノロジー分野以外の買収について。市場のシェア獲得のために2社が未進出あるいは弱い地域の企業を買収することはあるか?例えばLyftやDiDiなど。 (Wallstreet Journal) (40:33)

ツ: 5事業者の考えによる。我々はこれまでシェアについては買収に頼らず自らの力で広げてきた。一方で、タクシー事業は買収によって拡大してきた歴史がある。モビリティ分野のライドヘイリングビジネスについてもこれから話し合い合意していくと思う。

ク: これから3-4カ月後に5事業が最新の経営計画を策定する。それには競合他社、地域別の状況、収益拡大予測などを含む。それによって次のステップを考える。ク: これから3-4カ月後に5事業が最新の経営計画を策定する。それには競合他社、地域別の状況、収益拡大予測などを含む。それによって次のステップを考える。

Q. 5事業は未来の技術に注力するとしながら自動運転事業が欠けている。この点で他社との協力の計画はあるか? (La Liberte) (42:49)

ク: ダイムラーとBMWはそれぞれに良い事業を持っており、それが今日、新たに協力してジョイントベンチャーとして5事業で一つの会社を作るという次のステップに移った。今はそれに集中する。

ツ: ダイムラーとBMWの協業が自動運転のライドヘイリングサービス事業の基盤となりプラットフォームとなる。プラットフォームはダイムラーの製品にもBMWの製品にも第三者の製品にもオープンだ。

Q. 現時点で自動運転にどの程度取り組んでいるのか?また、高級車(プレミアム)事業からボリュームゾーンの中産階級対象のサービスを始めることに困難を感じているか?[社名聞き取れず] (44:20)

ク: 困難は感じない。ジョイントベンチャー、5事業にはこれからも我々のプレミアムなサービスと製品を提供していく。つまり新事業には主力事業も関わっていく。これまでの我々のプレミアムな面、心を動かす面はこれからも大事にしていく。それから徐々に(自動運転にも)進んでいく。

ツ: 1つ目の質問についてはすでに答えたと思うが、2つ目の質問については、高級車イコール浪費ではない。例えば低価格車よりも高級車の方が1マイルあたりのコストが低かったりする。そういった意味で高級車はどんどん手頃になっている。また高級車の方が低価格車よりも乗り心地も良い。高級車のシェアはさらに大きくなっていくと思う。全て私の予測に過ぎないが、しかし高級車事業に対する強みは将来的に有利になると確信している。

ク: シームレスで総合的なサービス、それもプレミアムだ。

Q. 今週発表のモビリティプラットフォーム(ジェルビー?聞き取れず)はダイムラーとBMWのカーシェアリングの一部となるのか競合するか? (Intellika) (48:05)

ツ: モビリティ分野で2社が持っていた事業はほとんど5事業に統合したが、例外もある。例えばダイムラーが中国で始めようとしているプレミアムシェアリングモデル。場合によって将来2社で中国市場への計画を共に考える可能性もあるが、現時点でそうした小さな事業が統合外に存在することは全く問題ない。

Q. アメリカ政府の自動車への関税についての見解をどのように思っているか? [社名聞き取れず] (49:37)

ツ: 話し合いは良い方向に進んでいるがまだ最終的な答えにたどり着いていない

ク: 我々は自由貿易にオープンである。我々は現にアメリカにおける最大の投資家の1つである。

Q. 5事業の他にモビリティ事業を抱えているがどのように一緒にやっていくのか? (Automobile) (51:50)

ツ: すでに答えたように一部統合していない事業もある。これから統合するかもしれないが今全て分かっているわけではない。

両CEO立ち上がって握手を交わし写真撮影。シーガル司会者降壇。
この後休憩をはさんで記者による個別質問、5事業のCEOたちからより具体的な説明時間があるとの案内があったが、ライブビデオはここまで。

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