伊藤昌毅 (Masaki Ito)

東京大学生産技術研究所特任講師。IT×公共交通を専門とし、産官学を繋ぐ実践志向の研究者…

伊藤昌毅 (Masaki Ito)

東京大学生産技術研究所特任講師。IT×公共交通を専門とし、産官学を繋ぐ実践志向の研究者。ITと交通とを橋渡しするカンファレンス「交通ジオメディアサミット」や、現場に寄り添った公共交通オープンデータの推進などを行っている。国土交通省バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会座長等。

最近の記事

オンラインシンポジウム開催時のZoom、YouTube操作・運用チェックリスト

「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム」オンラインイベントの開催時にまとめた、ZoomとYouTubeを連携してオンラインシンポジウムを開催する際のオペレーションチェックリストです。開催当日は、このリストを印刷し、チェックを入れながら進めました。 システムの全体構成はこの図のようになっています。登壇者はZoomで発表します。YouTubeにその動画を送出し、参加者はYouTube視聴、意見や感想などは sli.do やYouTubeのコメント、ハッシュタグを付けたSNS

    • MaaSの夢と現実(翻訳記事)

      2020年8月5日にアメリカの都市に関するニュース記事サイトBloomberg Citylabに掲載された「The Problem With ‘Mobility as a Service’」(「MaaS」の問題)を翻訳しました。執筆はハーバード・ケネディスクール(ハーバード大学の公共政策大学院)の客員研究員で、公共交通と技術の未来などを研究するDavid Zipper氏です。この論考では、MaaSアプリの普及やMaaS事業の収益性についてこれまでの経験から問題点を指摘し、通勤

      • 日本とフランス:公共交通機関でクラスターが発生しないわけ(翻訳記事)

        2020年6月10日にアメリカの都市に関するニュース記事サイトBloomberg Citylabに掲載された「In Japan and France, Riding Transit Looks Surprisingly Safe」を翻訳しました。執筆はロンドン在住のCitylab記者で主にヨーロッパのインフラやデザイン、都市政策を伝えているFeargus O'Sullivanです。公共交通における感染リスクについての科学的調査はまだ十分とは言えないと思いますが、それでも、この

        • JUMP、パリでの電動自転車・キックボード事業撤退(翻訳記事)

          新型コロナウイルス禍で交通業界が打撃を受ける中、マイクロモビリティも例外ではありません。シェアサイクル大手のJUMPが世界の主要市場の1つとしてきたフランス・パリから撤退しました。フランスの日刊新聞Le Parisianインターネット版に掲載の記事「L’opérateur JUMP retire ses vélos et trottinettes électriques de Paris」を翻訳します。 翻訳: 孕石直子・監修: 伊藤昌毅 2020年6月15日 Sébas

        オンラインシンポジウム開催時のZoom、YouTube操作・運用チェックリスト

          【講演メモ】新型コロナウイルスの感染拡大を受けた熊本県内乗合バス事業者の対応について(4月24日)

          2020年4月24日(金)にオンライン開催された「くらしの足をなくさない!緊急フォーラム −新型コロナウイルスによる交通崩壊を止めろ−」より、地域の5社のバス事業者の共同経営という新しい試みで注目されている、熊本都市バス高田社長のご講演をメモとして書き起こしました。サクラマチ クマモトの開業以降バス利用者が増えつつあった状況にコロナ禍が直撃したことがよくわかります。実際の講演は以下のYouTubeからご覧になれます。伊藤はイベント主催者の一人ですが、このメモは非公式なものであ

          【講演メモ】新型コロナウイルスの感染拡大を受けた熊本県内乗合バス事業者の対応について(4月24日)

          【講演メモ】イーグルバス株式会社の現状報告(4月24日)

          2020年4月24日(金)にオンライン開催された「くらしの足をなくさない!緊急フォーラム −新型コロナウイルスによる交通崩壊を止めろ−」より、交通事業者の現状が伝わる、イーグルバス谷島社長のご講演をメモとして書き起こしました。様々な路線の現状を、利用人数の変化なども示しながら説明されており、今何が起きているかを具体的に知ることが出来ます。実際の講演は以下のYouTubeからご覧になれます。伊藤はイベント主催者の一人ですが、このメモは非公式なものであることをご理解ください。(伊

          【講演メモ】イーグルバス株式会社の現状報告(4月24日)

          Zoomを使ってオンラインシンポジウムを開催する方法 −新型コロナウイルスによる交通崩壊を止めるために−

          2020年4月24日に、「くらしの足をなくさない!緊急フォーラム −新型コロナウイルスによる交通崩壊を止めろ−」というオンラインシンポジウム(フォーラム)を開催しました。準備期間は2週間程度、しかもITに習熟しているとはいえない交通業界において、予定では3時間、終了後の延長戦も含めて5時間近いYouTube配信を大きな事故なく終わらせることが出来ました。登壇者はプログラムに挙がっている名前で12名、事前登録者数が1,002名、最大同時視聴者数485名、現在までのYouTube

          Zoomを使ってオンラインシンポジウムを開催する方法 −新型コロナウイルスによる交通崩壊を止めるために−

          「新型コロナウイルス禍の公共交通」米Swiftly・Transit共催セミナー 詳報

          翻訳・記事執筆:孕石直子 監修: 伊藤昌毅 4月8日、「新型コロナウイルス禍の公共交通」と題し、米Swiftly(交通事業者向けソフトウェア企業)とTransit(乗換案内アプリ)がオンラインセミナーを開催しました。MTA(メリーランド州公共交通局)とVIA(テキサス州サンアントニオ)の2つの事業者のほか、ジャーナリストやコンサルタントなど5名が登壇し事業者の現状や今後の見通しなどについて語りました。本記事では、それぞれの発言を伝えます。 日本でも、2020年4月24日に

          「新型コロナウイルス禍の公共交通」米Swiftly・Transit共催セミナー 詳報

          自動運転車、新型コロナウイルスの検体運び活躍: 人を乗せない自動運転

          (文責: 伊藤昌毅、調査・文案: 孕石直子) 3月30日、フロリダ州ジャクソンヴィル市のMayo病院敷地内で、アメリカで初めて、新型コロナウイルスの検体の運搬に、自動運転車が導入されました。運転手も補助者も乗らない無人の自動運転車が、病院敷地内のドライブスルーテスト施設からラボのある建物まで検体を積んで運ぶもので、病院が新型コロナウイルスへの対応に追われる中、運搬にかかる人手をより必要な場所へ振り分けることと、人と人との接触を減らして感染拡大を防止することが目的です。ジャク

          自動運転車、新型コロナウイルスの検体運び活躍: 人を乗せない自動運転

          緊急事態宣言で交通はどうなる?: 4週間前に非常事態宣言を出したアメリカの今日までを追う

          今日、安倍首相が7都道府県で5月6日までの緊急事態宣言を出しました。これからの日本の交通インフラはどうなっていくのでしょうか。アメリカではすでに3月13日に国家非常事態宣言が出され、新型コロナウイルスの死亡者数は今日までに9600人に上っています。日本が同じ道を辿らないことを願うばかりですが、アメリカが今日までどのような道をたどっているのか、交通とインフラを主眼にSmartcities Diveのまとめから主な動きを抜粋し翻訳・再編しました。(文責: 伊藤昌毅、翻訳・文案:

          緊急事態宣言で交通はどうなる?: 4週間前に非常事態宣言を出したアメリカの今日までを追う

          「エッセンシャルワーカー」の移動を支えよ: 新型コロナウイルス緊急事態宣言下、世界は交通をこう変えている(翻訳記事)

          新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本でも明日緊急事態宣言が出されると言われています。非常事態宣言後は外出自粛要請に加えて電車やバスの本数を減らすなど、より強く人の移動の制限を進めていくことが予想されます。そのような中でも救急車や消防車など緊急車両の通行はもとより、医師や看護師、スーパーマーケットの従業員や配送業者など「エッセンシャルワーカー」の通勤や、生活必需品の買い出しなどの必要な移動は確実に支えていく必要があります。アメリカやヨーロッパなど日本に先んじて都市封鎖

          「エッセンシャルワーカー」の移動を支えよ: 新型コロナウイルス緊急事態宣言下、世界は交通をこう変えている(翻訳記事)

          米運輸長官イレーン・チャオ、新型コロナウィルスで公共交通事業支援に250億ドル拠出と発表(翻訳記事)

          2020年4月2日に、アメリカでは政府がコロナウイルスの影響を受けている公共交通に対する大規模な支援を発表しました。米国運輸省(U.S. Department of Transportation)の発表「U.S. Transportation Secretary Elaine L. Chao Announces $25 Billion to Help Nation’s Public Transportation Systems Respond to COVID-19」を翻訳し

          米運輸長官イレーン・チャオ、新型コロナウィルスで公共交通事業支援に250億ドル拠出と発表(翻訳記事)

          アメリカのマイクロモビリティについて調べてみた

          先日紹介した「Uber、プライバシー団体に加盟 市のデータ収集に反発(翻訳記事)」という記事の背景として、最近、アメリカではドックレスと言われるどこでも乗り捨てられる電動キックボード(英語ではe-scooter/electric scooter)とシェアサイクルが流行っているのですが、具体的にどんな状況になっているのか、調べてみました。(文責:伊藤昌毅、調査・原案:孕石直子) アメリカでは、電動キックボードとシェアサイクルはあわせてマイクロモビリティと総称されています。20

          アメリカのマイクロモビリティについて調べてみた

          Uber、プライバシー団体に加盟 市のデータ収集に反発(翻訳記事)

          北米を中心に Smart City の最新状況を紹介するメディア Smart Cities Dive に、"Uber, privacy groups form coalition to fight city data collection"という記事が掲載されていました。アメリカでは、現在自治体が新規参入する交通事業者(特にシェアサイクルや電動キックボードなどのマイクロモビリティ)にデータ提供を義務づけ、都市の交通をコントロールしようという動きが出ています。一方、交通事業者と

          Uber、プライバシー団体に加盟 市のデータ収集に反発(翻訳記事)

          ダイムラーとBMW: モビリティ事業の新会社設立記者会見で何が語られたか?(後編)

          Mobility as a Service(MaaS)のプラットフォーマーを目指した競争が激しくなる中、ドイツの大手自動車メーカーのダイムラーとBMWが、競争していたモビリティ領域で事業統合に踏み切ると発表したのが2018年9月のことだった。そしてこの2月22日の記者会見で、モビリティ関連5事業に10億ユーロを出資すると発表された。この記事では、両社のCEOが出席したその記者会見で何が語られたか、詳細にレポートする。(前編はこちら) 会見を受けての質疑応答ここから会場の記者

          ダイムラーとBMW: モビリティ事業の新会社設立記者会見で何が語られたか?(後編)

          ダイムラーとBMW: モビリティ事業の新会社設立記者会見で何が語られたか?(前編)

          Mobility as a Service(MaaS)のプラットフォーマーを目指した競争が激しくなる中、ドイツの大手自動車メーカーのダイムラーとBMWが、競争していたモビリティ領域で事業統合に踏み切ると発表したのが2018年9月のことだった。そしてこの2月22日の記者会見で、モビリティ関連5事業に10億ユーロを出資すると発表された。この記事では、両社のCEOが出席したその記者会見で何が語られたか、詳細にレポートする。(後編はこちら) 記者会見の概要記者会見は2月22日にベル

          ダイムラーとBMW: モビリティ事業の新会社設立記者会見で何が語られたか?(前編)