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うつ病とアクアリウム

フリーランスの庭師です。

我が家のリビングには60cm水槽があり、中で熱帯魚(淡水魚)を飼っています。庭師なので、水槽の中には石を据えてあり、水草は入れず枯山水をイメージしています。

アクアリウムを始めてから、かれこれ20年近く経ちます。水の入れ換えと清掃が面倒なのですが、犬や猫を飼うよりは楽です。

アクアリウムを始めたきっかけはうつ病です。以前の投稿で書いたのですが、39歳の時にうつ病になりました。妻のお陰で初期対処できたので軽症で済んだのですが、やはりメンタルはかなりやられました。

私がうつ病だと最初に気づいたのは妻でした。私にはうつ病という自覚は無く、急速に病んでいった感じです。会社を辞めるという選択肢は考えられず、「死んだら楽になるかな…。」と頭をよぎった時も、「何かがおかしい。俺はどうしちゃったんだ?」としか思わなかったものです。

幸いにも、妻の強い後押しで会社を辞めることができました。何もかもに自信を失っていたので、もし妻がいなかったら再起不能までいっていたかもしれません。

会社を辞めて暫くはゆっくりとすることにしました。その時にもまだ自分がうつ病だとの認識はありませんでした。今考えれば、認めたくなかったのかもしれません。うつ病なんて心の弱い奴がなるものだと思っていましたから。

退職後、先ずはテレビゲームをやりまくっていました。ですが、バイオハザードでゾンビを倒しまくるのにも飽きがくるものです。

次に家の中に籠りきりも良くないと思ったので、散策を始めました。最寄りの駅から一日1駅づつ散策をし、写真を撮り、ホームページを作ってみました。

その頃の昼食は毎日マクドナルドでハンバーガー1個とホットコーヒーで済ませていました。
うつ病だと思っていないから、労災なんてことも頭に浮かびません。少々の退職金はあったものの、いつ社会復帰するのか(できるのか)分からないので、お金を遣いたくなかったのです。超ポジティブな妻は、自分も派遣社員で収入は微々たるものでしたが、気にしていない様子でした。

そんな日々を過ごしていた時に、「熱帯魚を飼ってみようかな…。」とふと思いました。なぜそう思ったかは不明です。本屋でアクアリウムの入門
編の本を買って調べ、しばらくして小さな水槽を買いアクアリウムを始めてみました。

「魚はいいなぁ。適温の水の中で、餌をもらい、泳いでいるだけだもんな。」

そんなことを思い、癒されるというよりは憧れてたような気がします。病んでますよね。

そんな頃に妻が一冊の漫画の本を買ってきて、「これを読んでみて!」と手渡されました。

本のタイトルは『ツレがうつになりまして』

作家は夫と二人暮らしの女性です。うつ病になった夫の闘病生活をコミカルに、そしてシリアスに描いた漫画です。とても売れたようで、映画化もされました。

読んでみると、うつ病になった夫の性格が私と瓜二つでした。まるで私の事を書いているように感じました。一週間のネクタイをきちんと曜日ごとに決めているところなど私と全く同じでしたし、何よりその夫も会社を辞めた後にアクアリウムを始めたのです。

この本を読み終わったときに「あぁ、俺ってうつ病なんだ…。」と初めて認識したものです。

どうやらうつ病になると、熱帯魚に癒しを求めるようです。もちろんうつ病患者全てではないと思いますが、30代、40代で、家族を持っている男性会社員がうつ病になると、そこに行き着くのではないでしょうか。

世の中の奥様方へ

最近あまり元気が無い夫がアクアリウムを始めたら、それはうつ病のサインかもしれませんよ。

魚ではなく夫の目が泳いでいたら、要注意ですよ。

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