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安全な逃げ場所

生きていれば、どうしようもなくつらい日もある。
胸がひりひりして、からだ中の皮膚がめくられたような感覚がして、「いてて、いてて」と言いたくなる日が。

そんな時はとりあえず自分にとって楽なことをするに限るのだけど、大切なのはどこでどうやってするかだ。
誰かとぱーっと騒いで忘れたいという人もいるだろうし、黙々と歩いて気晴らししたいという人もいるだろう。

わたしはひとり、自分の家に閉じこもっていた。
天気がよかったから外に出かけた方が気分転換になるのはわかっていたけれど、それよりも家にいた方がよかった。

ベッドの上で、電気を消して、ただ横たわっていた。
大して広くもないワンルームの家の中、私はベッドの上がいちばん好きだ。
寝転ぶと左側にネイビーの遮光カーテンが見えて、昼間だろうと部屋の中を暗くしてくれる。

それを陰気と言う人もいるのかもしれないが、わたしにとっては居心地がいい。
こんな時は、誰がなんて言おうと、薄暗い部屋でぼーっとして、気が向いたらスマホをぽちぽちいじるのがいちばんいいみたいだ。

薄暗い部屋の中にいると、まるで、世界にひとりきりになったような気分になる。
もう一生、この部屋に閉じ込められたいとも思うくらい、守られているのを感じる。

わたしを守ってくれる安全な場所があることに、ほっとする。
ひとりでつらさをしっかりと受けとめて、じっと耐える場所があることに。

いずれこの家を離れる時も来るけれど、安全な逃げ場所は、どこに行っても確保しておきたい。
しんどい時ほど、そんな場所がほしくなるはずだから。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。