腹落ちした自閉症スペクトラムの捉え方 #5
こんにちは。にわのです。
放課後デイサービスという、障がいがある子どもたちの居場所づくりに7年間携わってきました。
私が出会ってきた子たちの障がい種別を体感でざっくり内訳してみると、
・自閉症スペクトラム(知的な発達の遅れやADHDを伴う):60%
・自閉症スペクトラム(知的な発達の遅れ等を伴わない):10%
・重度心身障がい(医療的ケア児含む):20%
・その他(ダウン症、難病、その他の発達障がい等):10%
という感じです。
子どもと関わるにあたって「通じた」瞬間が最も大切ではないか(そうに違いない!)と発信したいシリーズ、4回目は出会ってきた中で最も多かった、自閉症スペクトラムの子たちにとっての「通じる」ことの価値について取り上げます。
自閉症スペクトラムの捉え方
身体障がいは「身体の発達の遅れ/偏り」、知的障がいは「知的発達の遅れ」、自閉症スペクトラムは「〇〇の発達の遅れ / 違い」。
さて、〇〇に入る言葉は何でしょう?
色々な可能性がありますが、70人以上の子ども達と接してきて、私は〇〇に「コミュニケーション」という言葉を入れることが一番しっくり来ています。
医学的な診断要件や、一般的理解とされている「自閉症の3つ組(想像力、社会性、コミュニケーション)+α(感覚特性など)」といった理解とはまた別に、
「コミュニケーション=人との関わり」に関する『手段の違い』や『発達の遅れ』が中心課題であると見立てて関わっていくことが最もその子のためになるように感じています。
コミュニケーションの発達が中心課題となっているからこそ、自閉症スペクトラムの子たちにとって、人と「通じる」体験を重ねていくことが非常に大切ですよね、というお話でした。
ではでは。
と終わってしまいそうなところですが、このままでは「ソースは俺」みたい話だけなので、こうした考え方の基になっている本を2冊ご紹介します。
牧真吉 自閉症スペクトラムの子どもと「通じる関係」を作る関わり方
私の障がい児観のベースになっているのは、通信学部生として受けた日本福祉大学の牧真吉先生の講義です。
と、宣言されて始まった15回の講義はとても新鮮で、実体験に即した言葉に満ちていて、いつ見返しても新しい発見がある学び体験でした。
牧先生は「わかりあう体験を重ねることが育ちの本質である」として、多くのご著書や研究を残されています。
自閉症スペクトラム児にとっての「通じる」体験の価値については、牧先生のこちらの本で非常にわかりやすく説明されているのでとてもおススメです。
滝川一廣 子どものための精神医学
こちらは読んですぐに何かが実行できる、現場の役に立つ、という本ではありません。(何よりめっちゃぶ厚いですし)ある程度現場で経験を重ねて、「障がい」や「子どもの心」について基本の所から改めて知りたい!と思った時に読むのがベストだと思います。
「こころをどうとらえるか」「精神医学とは何か」から始まって、発達障がいのある子どもたちの「心」を理解するために必要な知識を1つずつ学ぶことができます。医学的正確性を持つ用語の定義や、障がい児研究の歴史・学説についても詳細に述べられていますが、言葉の運びが優しく丁寧&段組み・レイアウト・配色が素敵で楽しく読むことができる本です。
中でも、「知的な発達の程度」と「関係性の発達の程度」のかけあわせで障がいを理解する、という分類が秀逸です。ここでも自閉症スペクトラムは「関係性の発達に課題があるグループ」として分類されており、やはりコミュニケーションを中心課題と見立てる障がい理解がされています。
とにかく分厚いので読み通すには気力がいりますが、目次をめくって気になる言葉を拾うだけでも新しい子どもの見方ができるようになる、発達支援関係者には超オススメ本です。
以上、自閉症スペクトラムの子たちにとっても「通じた」瞬間の持つ価値は非常に大きいですよね、という話と、オススメ本2冊の紹介でした。
ではでは。
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