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【選挙で遊ぼうシリーズ】2024年7月7日東京都知事選挙&東京都議会補欠選挙 編

7月7日、七夕の日に行われた今回の東京都知事選挙&都議補選。みなさんいかがでしたでしょうか。結果に納得のいったひとも納得のいかなかった人もぶっちゃけどうでもいい人もいるでしょう…が、誰が当選したかということだけを見て話を終わらせてしまうのはもったいない!俺からすれば今回の都知事選&都議補選はとても示唆に富む面白いものでした!ということで新シリーズ(なに)選挙で遊ぼうの第一回はこの結果を分析して遊んでみましょう!

※以下の記事では石丸(伸)候補を維新と国民民主党の推薦と書いていますがこれはどこかで何かを勘違いした結果の誤りで石丸(伸)さんはどこの党の推薦ももらってなかったらしい。すいませんでした。


【知事選】小池圧勝、その理由!

ご存じでしょうが今回の都知事選は現職の小池百合子が再選にして三選を果たしました。得票率は42.8%、ということは東京都民の半分近くは小池さんに投票しているわけですな。はたしてなぜ小池さんはそこまで強かったんじゃろか?

それは組織票です。ぶっちゃけ理由の8割ぐらいはこれだと思います。大抵の人は承知しているかと思いますが小池百合子は自民公明の推薦を受けた実質的な与党公認候補。そのため今回の都知事選には自民候補や公明候補は出ていません。するとどうなるかというと自民と公明の組織票がぜんぶ小池に流れる。これさえあればもう勝ったもどうぜんだ。

しかし今回はそれに加えてもう一つの組織票が小池に流れていたのでした。それは立憲民主党と国民民主党の支持母体となっている連合(主に電力業界とかの労組の集まり)を構成する連合東京。今回の都知事選には立憲民主党推薦の蓮舫さんと維新・国民民主党の推薦の石丸伸二さんも出ているので、まぁ維新も入ってる石丸(伸)はあれかもしれないが普通であれば立民候補の蓮舫を立民支持母体の連合は支援するはずなのですが、今回は小池支持を表明したことで、蓮舫に流れるはずだった連合の組織票が小池に流れたのです。

その理由はといえば連合現会長・芳野さんが強硬な反共産党の立場であったからなのでした。労組の集まりなのに共産党と対立してんの?と素人目には不思議に思えますが、ともかくそういうことになっており、そして今回の都知事選&都議補選で立憲民主党は共産党と選挙協力を行い、共産党は都知事選に候補者を立てずに蓮舫支持を打ち出しました。そのためかねてから立民と共産党の選挙協力を良く思っていなかった連合(の現会長)は共産党と一緒にやるならと小池支持に回ったのです。

通常の選挙であれば自公VS連合(立民・国民)という構図になるところが今回は自公連合すべて小池支持。これは事前に報道されていたことなので、立憲民主党の党員である俺は(でも自動更新じゃないので何ヶ月か前に党員資格切れてたらしい)連合が小池支持に回ったと報じられた時点であぁもう蓮舫の勝ちはないなと早々に悟ったのであった。石丸?そんな人よく知らないし俺が知らないということは都民の大半も知らないから、小池再選以外ない。そうとわかりつつ粛々と投票用紙に漢字で蓮舫(むずかしい)と書くのだから立民党員は健気である。

【知事選】上位三名の得票率から見えてくるものとは!

今回の都知事選は立候補者数56名ということで、これが史上何番目の数かはわからないが、前回2020年の都知事選の立候補者数が22名であることを考えると、今回はその倍以上ということでかなりめっちゃ多いことがわかります。しかし小池以外の票が分散していた前回と違い今回は上位三名に票が集中しており、小池42.8%、石丸(伸)24.3%、蓮舫18.8%、上位三名の得票率合わせて85.9%ということで、候補者数の多さに反して乱戦とはまったくなってはいませんでした。

この数字から何が読み取れるでしょう。まず興味を惹かれるのはやはり当選した小池の42.8%という数字。次点の石丸(伸)が24.3%であることからこれは一見とても多く見えるものの、実は前回2020年の都知事選における小池の得票率は59.7%にも上る。小池圧勝のイメージがある今回の結果ですが、実際はむしろ組織票をガチガチに固めても前回から17%近くも得票率が下落しているのです(ちなみに前回は立民が自前の候補を擁立しなかったので連合は小池支持だった)

では石丸(伸)と蓮舫の得票率はどうでしょうか。石丸(伸)24.3%、蓮舫18.8%、これは合わせれば43.1%なので、今回の都知事選を与野党代理選挙と捉えれば、連合の組織票もない中で野党側の方に多く票が流れていることになります。前回2020年の都知事選は立民も国民も候補者を擁立せず、立民は無所属の宇都宮健児を共産・社民と共に支持する形となったため、今回のような与野党対決感はなく、おそらく有権者もぶっちゃけ誰に入れていいかよくわからなかったんでしょう。そのため前回2020年の都知事選では小池以下の得票率が宇都宮13.8%、れいわ新撰組の山本太郎10.7%、維新推薦の小野泰輔が10%、と10%台が三人続く結果となったのでした。

それを踏まえれば今回2024年都知事選の維新・国民推薦の石丸(伸)24.3%、立民・共産推薦の蓮舫18.8%は大きな数字と言え、仮に連合の組織票が蓮舫に流れていたなら、そのぶん小池票が減ることもなるわけだから、おそらくそれでも小池30%台くらいで当選したのではないかと思うが、自公の選挙協力の結果かろうじて、という苦しい内容になっただろうと思われます。

【都議補選】衝撃の自民2勝!

与野党対決と見れば実は与党側にかなり逆風が吹いていたことが知事選の結果からわかったわけですが、これは同日に行われた都議補選の結果を見れば更に鮮明になります。今回の都議補選は9選挙区で行われ、その内自民党は8選挙区で候補者を擁立。しかし当選を果たしたのはわずか2名だったのです。

中でも注目したいのは江東区と足立区。まず江東区は4人が立候補、自民候補は江東区の前々区長・山﨑孝明の実子である山﨑一輝、立民や国民といった主要野党は候補者を擁立せず、共産党推薦の大嵩崎かおりさんの他2人はいずれも無所属の都議新人。相手も一見したところ強くなくその上に地盤と父親の威光もある…という負ける要素のなさそうな選挙でしたが、結果は無所属(自由を守る会推薦)新人さんのへあやさんの勝利。といっても実は元江東区議のさんのへさんは以前より区議選でトップ当選、区長選では次点当選と江東区民には非常に高く支持されている人物、江東区民の俺からすればこの結果は意外性のないものでしたが、それでもカネも地盤もある自民候補が無所属候補に敗れたことは衝撃的です。

そして足立区。立候補者は自民推薦の榎本二実子さんと立民推薦の銀川裕依子さんの2人。いずれも新人で条件に差は少なく、比較的民意が見て取りやすい与野党一騎打ちとなったわけですが、約750票差というものすごい僅差で一騎打ちを制したのは立民候補の銀川さんでした。

自民候補が制した南多摩でも次点の立民候補との得票率差は2.9%、この選挙区はもう一人無所属新人候補がおり票が割れたため、おそらく自民立民一騎打ちなら自民が敗北しており、府中市でも当選の自民候補・増山明香さんの得票率は43.6%と過半数に届かず、残りをそれぞれ無所属新人の篠原恵子さん31.4%、甲田直己さん24.9%と分け合う形になっているため、野党推薦がどちらかの候補についていれば逆転していた可能性は充分に考えられます。

要するに今回の都議補選は与党自民党にとってきわめて厳しい結果となったわけで、政権支持率の低迷ははっきりと選挙結果に反映されているように思えるのです。

【都議補選】当選の半分以上が女性候補!

日本はジェンダーギャップの大きい国と言われています。その際によく用いられるのはジェンダーギャップ指数というもので、実はこれは世界経済フォーラムが発表しているもっぱらビジネスや政治の分野での平等度を測ったものなので、性別による生きやすさの違いとかそういうのはジェンダーギャップ指数からはわからないのですが(中絶が法律で禁止されていない日本はジェンダーギャップ指数で116位ぐらいですが州によっては中絶が禁止されているアメリカは45位とかです)、ともあれ日本がビジネスや政治の分野での女性参画があまり進んでいない国であることは間違いなく、こういうギャップはあって得するものでもないと思うので、さっさと埋めてしまいたいものです。

そんな人に朗報。今回の都議補選はなんと当選9人中6人が女性でした。おお!すばらしい結果!かろうじて2勝した自民候補のうち一人も女性の増山明香さんなので、政治の世界にもっと女性を!という風が強く吹いていることはもはや間違いがないと思います。これは近年のフェミニズムブームによる意識の変化も影響しているのでしょうが、自民大敗の結果を踏まえれば、自民党に対する忌避感の表れでもあるのでしょう。なにせ自民党といったら圧倒的にオッサン政党、オッサンどころか菅内閣の時にはおじいさん政党だとか言われていたほどです。

俺は政治ニュースを見ないので詳しく知りませんが、現在自民党はなにやら汚いカネの問題で支持率が大きく下がっているとのことで、自民党=汚いカネ=オッサン政治家、というイメージが国民の間に形成されているのかもしれません。これからの時代、政治は女の人に任せよう!

【都知事選&都議補選】投票率60%超の高水準!

今回の選挙は都知事選・都議補選のいずれも投票率が高かった点も面白いところでした。前回2020年がぴったり55%だったのに対して今回は60.62%。実に5.62ポイントも上がっているわけで、はたして何が投票率向上に繋がったのか、日頃「日本の投票率は低い…」とお嘆きのみなさんには気になるところでしょう。

想像される要因の一つは前回と違い与野党対決となったことでお祭りムードが出たこと。前回は主要野党が候補者を立てなかったために盛り上がりを欠き、それは小池一強と言える得票率にも表れていると思います。どうせ小池が勝つならば、と選挙に興味を持てない人もわりといたんじゃないでしょうか。競馬と同じで誰が勝つかわからない状況の方が観客は盛り上がるってもんです。

もう一つのあり得そうな要因は立候補者の多さ。なにせ今回は56人も立候補しているわけで、そのほとんどが泡沫候補とはいえ、それだけ立候補者がいれば大抵の有権者は一人ぐらい「この人になら票を入れてやりたい!」と思える人が出てくるんじゃないでしょうか。

都議選の投票率はこの説の裏付けになるかもしれません。各選挙区ごとの立候補者数と得票率は次の通り。

〈4人立候補〉
・江東区 59.96%
・品川区 60.89%
・中野区 59.32%
・北区  61.23%
・板橋区 57.80%

〈3人立候補〉
・府中市 59.91%
・南多摩 61.22%

〈2人立候補〉
・足立区 53.67%
・八王子 55.67%

とこのように、3人以上立候補者がいる選挙区では投票率が平均60%ぐらいなのですが、立候補者が2人の選挙区では投票率平均が6ポイント近くも下がってしまっているわけです。立候補者数が多ければ投票率が上がり、立候補者数が少なければ投票率は下がる。民主主義の原則に照らし合わせれば、これは当たり前のことなんじゃないかと思います。

ちなみに立候補者が4人なのにちょっと他より投票率が低かった板橋区は、立候補者の所属がそれぞれ自民・共産・維新・都民ファーストの会。ここでは自民候補の男性が当選しているわけですが、察するにゆるいリベラル票の受け皿がなかった、ということかもしれません。たしかに共産は今ではリベラル政党ですし、俺も立民候補が出てない選挙では共産候補に票を入れてるんですが、ハードなリベラル層ならともかくゆるいリベラル層、もっと言えばなんとなくリベラルっぽいものにシンパシーはあるけどとくに思想信条があるわけではないリベラル寄りの無党派層にとって、共産党はリベラルのイデオロギー色が強く、近づきがたい政党と映るんじゃないでしょうか。そうした票が都ファ候補に流れる、もしくは投票見送りという選挙行動に表れたのが板橋区だったのかもしれません。

【泡沫候補】サブカル保守は桜井誠から暇空茜に乗り換えか

立候補者が56人もいれば泡沫候補の動向も気になるところ。でもこの前YouTubeライブで俺の気になってる泡沫候補を話す回をやったので書く気失せた。ただツイッターをやってる人以外は完全に知らないと思われる暇空茜が110,196票を集めたのはちょっと面白かったところで、どのへんがというと今回の都知事選では暇空茜が10万票集める一方で同じようなサブカル保守の桜井誠は83,600票と冴えなかった。2020年の都知事選で桜井は178,784票を取ってるので、実に半分以下という衝撃的な下落幅。しかし暇空茜と合わせれば前回よりちょっと積んだぐらいになるので、おそらく従来であれば桜井に流れていたサブカル保守層の票が暇空に流れたんじゃないでしょうか。サブカル保守にも賞味期限というものがあるのです。

あと東京の桂小枝の異名を取る核融合党の桑島康文代表、361票獲得おめでとうございます

【まとめと提言】リベラルは30代ぐらいのちゃんとしてる感じの女の人を候補者に擁立しろ!

ってな感じで分析してみれば実に面白かった今回の都知事選と都議補選。どうしてこんなに面白いのにメディアは騒がずインターネットの人も盛り上がらないんでしょ?そういう風に物事を深く分析しようとせず誰が勝って誰が負けたかという表面的なことだけを見ているから選挙とか世の中とか自分の人生がつまらなくなるんじゃないですか?そこまで言わなくていい。

俺はなんだかんだ立民党員(※党員資格切れ中)だしリベラルなので以上の分析から立民と日本のリベラル勢力への叱咤激励メッセージを記事のまとめとして書いておきたいのですが、まぁ、あれだな、蓮舫が得票率3位だったのは連合の組織票が取れなかったのが大きいと思いますが、リベラル寄りの無党派層の投票先にあまりならなかった、というのもやっぱ大きいと思います。なぜか。だって蓮舫、古い人だもん。無党派層ってのはねベテランなんかには票を入れないんですよ。ベテランよりも新人を好む。古いものより新しいものが好き。蓮舫は前の民主党政権の時の顔として記憶されてるから、もう世間的には「昔の人」なんですよ。だから無党派層の票が流れなかった、そしてその票は東京都民的には新人の石丸(伸)に向かった。こう考えるのはそう突飛なことでもないだろう。

こう考えたらいいと俺は思うんです。業績の悪化している会社がある。それで、業績回復のために古い社員をクビにして新しい社員を招きたい。こういう時に、その会社が設立して間もない会社なら、実績や経験のあるベテランを新社員として招きたい心理が強くなるかもしれない。でもその会社が設立して何十年とかの老舗なら、これまでにない発想をということで、実績も経験もない新人を招きたい心理が強くなるかもしれない。

俺は歴史はわからないので日本という国ができてから何年かわからないのですが、たぶんですけど建国5年目とかではなくもう少し長い歴史があるはず。仮に太平洋戦争敗戦でその歴史が一旦リセットされたとしても、日本の降伏は1945年ですから、来年でなんと敗戦80周年記念です。80年は会社にしたらもう老舗でしょう。というわけで今の日本では国民的に「ベテランよりも新人を…」というムードがおそらくある。自民の年寄りオッサンたちの汚いカネ疑惑が世間を騒がせている中ではなおさらです。

なので立民と共産とか他のリベラル勢力はベテランなんか捨てろ。選挙ではとにかくやる気のある若い新人を擁立しろ。もうダメだ蓮舫なんて。福山とかもダメだ。党のベテラン全員ダメ!党内で調整役とかをするのはいいけど選挙では勝てません。だからベテランは枝野みたいに潔く裏方に徹して、新人を選挙の顔にすべきなんです。その場合、男女平等の観点から、そして女性候補者に追い風が吹いていることからも、男女どちらかで言えば女の人の方がいい。見た目がキレイとかそういうのじゃなくてちゃんとした真面目な人な。もちろんいろんなジェンダーの人がいるのでやる気があるならどんな人でも擁立すべきですが。

今回の選挙結果を立民が俺のようにきちんと分析し、時代の空気を読んで俺の言うとおりに選挙を戦えば…きっと次の総選挙は何が起こるかわからなくて今回よりもっと面白いものになるに違いない!

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