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読み放題対象「”多様性”は惜しみなく奪う」



「同性婚を認めていないのはG7で日本だけだ!!!」「LGBTQの差別禁止法がないのも、G7の中で日本だけだ!」――連日連夜、マスコミや野党の”正しい人たち”が繰りかえす声をきくにつけ、ははあ、なるほど、こうやって世界の多様性は喪われていくんだな、と思わず笑ってしまう。

ついには、これである。

先進7カ国(G7)のうち日本を除く6カ国と欧州連合(EU)の駐日大使が連名で、性的少数者(LGBTQ)の人権を守る法整備を促す岸田文雄首相宛ての書簡を取りまとめていたことが、複数の外交筋への取材で分かった。元首相秘書官の荒井勝喜まさよし氏の差別発言をきっかけに、エマニュエル米大使が主導した。

日本除いた「G6」からLGBTQの人権守る法整備を促す書簡 首相宛てに駐日大使連名 サミット議長国へ厳しい目 2023年3月16日 06時00分 



なるほど、虹の旗をふりまわし「多様性」を訴える”西欧先進諸国”の人たち、「日本だけだぞ。おまえだけ違うんだぞ」と同調圧力をかけるのが大好きなようだ。

こうした「世界の同調圧力」に、日本の「多様性を愛する人たち」が盛り上がる。
わざわざ東京新聞は「G6」と言い出してしまった。すっかり西欧諸国の「白人様」に憑依して、要するに、「やーい!日本は仲間はずれ!」とでもいいたいらしい。

ところで不思議ではなかろうか。

たしか彼らは、集団的自衛権とかテロ等準備罪のような、国民の生命安全に関わるものであり、「世界の殆どの国でも連携の実務上、当たり前なもの」でも、「日本だけはダメなんだよぉ!」と叫んでいたのではなかったのだろうか。
それなのに、性的少数者とかジェンダーギャップとか、”意識高い系の話”になると、たちまちにして「日本遅れてる!世界に合わせろ!」「恥ずかし過ぎて国際社会に顔向けできない」と同調圧力をかけはじめる。これ、なんとも奇妙な話と言わざるを得ない。

日本はムラ社会だ!とかいいながら、日本の同調圧力に怒り狂うひとたち、世界を使って、日本に同調圧力をかけるのが大好き!


だが、今回の本題は、もっとおかしなことだ。こうした「多様性の統一」が行われた先には一体、なにがあるのか。

それはすなわち、「想像力の欠如」なのである。私達がこれから否応なく経験する「多様性の統一」の時代とはものすごく「退屈」に支配される世界になるであろう。その「退屈」のもたらす有害さについて書かなくてはならない。キリスト教の文化価値観の「同性愛抑圧文化」に抗して生まれたLGBTを、なんだか「正しいもの」としてファッション感覚で、日本にもちこむ有害性とはなにか、具体的に言語化しておくことにした。

NHKの『どうする家康』の第10回「側室はどうする!」では、家康の話そっちのけで、一話がまるまるLGBTな話で、話題になった。

NHK大河ドラマ『どうする家康』「側室はどうする!」3月12日放送 RAINBOW効果

家康の側室のお葉は突然に側室としての務めを「好きなお相手ができた」と拒絶する。そうして女性を連れてきて、「ほんとうの自分を知ってしまった上では、もう無理でございます」と命をかけて訴える。この時を駆ける(レズビアンとしての)「カミングアウト」は成功し、最期は、ちゃっかり(家康との間の)子供を女性同士で可愛がり育てている画面に、「虹」が出るという演出だった。

本来、普通に作れば手堅い戦国時代であり、視聴率も稼げる家康のドラマである。それなのに、ここでレインボー だ。日本の「多様性の統一」もここまできたのか思わず真顔になる感じだが、これは、「歴史のLGBTウォッシング」なのではないか。
とりあえず「こんなの大河じゃない」「この話は必要だったのか?」「雑に多様性」などと騒がれた。

しかしこれは別に「歴史ものに、LGBTの配慮を挿入してケシカラン」とかいう話では全然ない。問題となっているのは、なによりも「多様性のもたらす想像力の欠如つまらなさ 」についてなのだ。そもそも前近代プレモダン の日本の「同性愛」とは、後期近代の西欧諸国の「正しさ」に「汚染」されたLGBTの「同性愛」とは全く違うものなのだ。私達のいま自明にしている後期近代の価値観とは、意外と薄氷を歩くようなもので普遍性がない。ではどういうものだったのか。

この回は、家康が妻(瀬名)の間に子供が二人しか生まれていないので、それでは少なすぎるということで、

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