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「パームスプリングス」と「恋はデジャ・ヴ」


【この投稿のまとめ】

①「パーム・スプリングス」には「恋はデ・ジャブ」という元ネタがある。
②二つの作品に共通するのは、
「永遠に同じ1日を過ごせても、人間は他者のために生きることを選ぶ」
温かいメッセージ。
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お時間ある方は・・

映画「パームスプリングス」皆さんもご覧になったでしょうか?
90分程度の短い尺のなかで、ノリのいい音楽とコミカルな演出に乗って、気持ちよく物語が進んでいく良作でしたよね。
なによりも、同じ1日を永遠に繰り返すという設定の斬新さに驚かされた方も多いと思います。

今回は、この映画の元ネタになったであろう「恋はデジャブ」という作品を紹介します。
「同じ日を永遠に繰り返す」という構成は、おそらく、というか絶対この映画からの影響です笑
(主人公も「よくあるタイムループもの」っていってます。)

主人公は、いまや名優となったビル・マーレイ演じる、嫌味なお天気レポーター。
毎年2月2日に土からモグラが姿をあらわすかどうかで、春の訪れを占うという奇祭、「グラウンド・ホッグデイ」の取材を任された彼は、田舎のロケ地に嫌々向かいます。
自身の傲慢な性格とイベント自体のバカバカしさによって、終始イライラの主人公でしたが、一緒にやってきた美人プロデューサーへの淡い恋心からなんとか仕事をやり遂げます。

「やっと終わった!一泊して帰ろう」
安堵のなかで眠りにつき、目覚めた主人公。
うんざりな取材ともこれでおさらば・・
と思った彼でしたが、なにかおかしい。。

ラジオから流れてくる音楽、ホテルの人からかけられる言葉、朝食、天気、、

何もかもが昨日と全く同じなのです。
パームスプリングスと同様に、同じ1日の無限ループが始まりました。

最初のうちは状況が理解できなかった主人公でしたが、次第にその特権を活かして、あらゆる欲望を充足していきます。
しかし、唯一彼の手に入らなかったものが、この世の何よりも欲している「美人プロデューサーの心」でした。
金でも、知識でも、力でも、どんな手を使っても、彼女の気持ちは変わらない。
悲痛な現実に彼は絶望し、何度も自殺を試みます。
しかし、死ぬことはできません。(これは、彼のこれまでの人生への罰なのかも)

そしてある日彼は、何もかもを諦め、「すべての人間に優しくする」という一世一代の開き直りに出ます。
うざい友達に優しくする、死にかけのホームレスを助ける、なんでもない善意の気持ち良さに徐々に気づいていく主人公。。
そしてこれが、彼の世界を変える大きなきっかけになっていくのでした。。。

「恋はデジャブ」という邦題だけ聞くとB級ラブコメみたいですが、この作品は、パームスプリングスと同様、非常に哲学的なメッセージを持っています。
2作に共通するメッセージを一言で表すなら

「永遠に同じ一日を過ごせても、人間は他者のために生きることを選ぶ」

ということだといえます。
何をしても罰せられない、あらゆる欲望を満たすことができる、そんな世界においても、人間は「人のために生きること」に幸福を見出す生き物であれるのではないか。
そんな希望に満ちたメッセージが、この2作品からは感じられます。

そして本作は、ジャームッシュやウェスアンダーソンなど、現代を代表するおしゃれ監督たちに愛される名優ビル・マーレイの魅力が爆発している作品としても有名です。
だるそうに、つまらなそうにそして嫌味に、仕事に取り組むダメレポーターを彼ほど上手にこなせる俳優は他にいないでしょう。

ポップで楽しいにも関わらず、見た後はジーンと感動に浸れるような鑑賞後の感覚は、パームスプリング以上のものがあると思います。
現在はアマゾン・プライムにて配信中なので、是非ご覧になって見てください!!

最後までお読みいただきありがとうございました。
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