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~息子に発達障害の診断が下りるまで~ 最終回 / 第9話:今できることを1つ1つやっていこう

前回のお話はこちらです。

 小児神経科医は息子の様子を見ながら私の話を聞くと、こう言いました。


「すぐ大学病院に紹介状を書きますね。」

 

私は動揺する気持ちを隠しながら、なるべく冷静に「あの・・・。やはり、可能性は高いでしょうか?」と聞きました。先生は私の気持ちを慮って、慎重に言葉を選びながら、ゆっくりと説明して下さいました。


「一般的に年長さんくらいであれば、初対面の医師が目の前にいたら、最初は緊張して大人しく座っているパターンが多いです。でも息子さんの場合、まるで自分の家にいるかのようにくつろいで、興味のあるものを触り続けていますよね。一度大学病院で発達検査を受けた方が良いと思います。」


 その翌週、大学病院で診察と田中ビネー検査を受け、正式に自閉症スペクトラム(ASD)という診断が下りました。1年後にWISC検査を受けた際には注意欠陥多動症(ADHD)の診断名もついたのですが、この時点ではASDのみでした。

やっぱり、この違和感はそうだったんだ・・・。


診断名を聞いた時、心臓を鷲掴みされたように胸がぎゅーっとなりました。「私の育て方のせいではなかったんだ。」という安堵感と、「これからどうしよう。」という不安が、グルグルと私の胸の中で渦巻いていました。検査結果を聞き終えると、最後に医師からこう聞かれました。


「息子さん、療育には通われていますか?通ってみると良いと思いますよ。うちの病院は提携している療育機関はないのですが、私の患者さんはLITALICOジュニアさんに通われている方が多いですよ。」


あ・・・。そうだ、療育。

以前ネットで情報を下さった方からも、早期療育が重要だと教えていただいたのを思いました。もう、「どうしよう。」なんて考えている場合じゃない。今できることを、1つ1つやっていくしかない。そう自分に言い聞かせて、何とか自分の気持ちに折り合いをつけようとしました。

私は先生にお礼を言うと、息子と一緒に診察室を後にしました。

                                 完

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