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ネットでもうあんまりおたくおたく、言わなくなってない?

あくまで私の観測範囲だが、2000年代には「おたくのライフスタイルはこうである、おたくとはこういう行動をするものだ、おたくはこうでなければならない、おたくをバカにするな!」みたいなことが、定期的にSNSで話題になっていた気がする。
が、最近はあまりそういう話も聞かなくなった。
単に私が孤独になって情報が入って来なくなったのかもしれないが、そうでないとすれば、おたくの「浸透と拡散」が進んだのだろう。

むしろ現在、「オタク」というと「アイドルオタク」としての用法の方が、情報としては流れて来る(この場合の表記はカタカナであることが多い。むろん、岡田斗司夫がかつて提唱したカタカナ表記とは何らの関連性もない。遠因ではあるかもしれないが)。
しかもアニメオタク、ゲームオタクなども含めた一ジャンルとしてではなく、「オタクという単語にアイドルオタク以外の意味はない」かのような用法であることが多い。
たとえばアイドルがファンを集めてバーベキュー大会を開くとする、その告知の際、
「私のオタクはみんな集まれ!!」
みたいな感じで使われる。もうひとつ例を出すと、
「オタクが黒髪清楚が好きなのはわかってるけど、髪、染めちゃいました」
とか。そういうふうにアイドルが使う。

そもそも2005年頃に「電車男」のブームが起こっており、あのあたりが「おたくは思ったより気持ち悪くない」みたいにイメージが変質するきっかけだった。
しかもその理由が「おたくが『普通の女子』と恋愛したいと思う」話であった「電車男」だったのは、実に象徴的だ。
2000年代というと、男性新入社員が何を考えているかわからないようなヤツだったりすると先輩・上司も不気味がり、扱いに困ったりしたが、「実は彼女がいる」とか「風俗大好き!」とかわかったりすると、とたんにみんな安心したりした。
男たちが「コイツもおれたちと同じことを考えているんだな」と安心するからだが、そのきっかけは「恋愛・セックスが好きかどうか」なのであった。ある程度昔はね。
そこはやっぱり酒やギャンブルじゃなかった。エロじゃないとダメだった。
もちろんエロ好きでも「異常なまでにAVが好きなだけ」とか「エロマンガやエロゲーが大好き」というのではダメだった。信用されなかった。そういうのはやっぱり気持ち悪がられた。あくまでも、肉体がまじわるタグイのエロでないと信用されなかった。

2005年から18年が経っている。思えばもうふた昔前だ。そりゃ世の中も変わるだろう。現在18歳の人は「電車男」を(そんなには)知らないのだ。びっくりだね。

私が最近、いちばん驚いたのはジャニーズの男性タレントで、「美少女フィギュアを集めている」という人がいて、バラエティ番組で大量の美少女フィギュアが飾られた自宅を動画として公開していたが、「気持ち悪い」とはだれも言わなかったことだ。
宅八郎が森高千里のフィギュアを持ってテレビに出て、観覧の女性客から悲鳴があがっていたのが1990年代前半。とりあえず1993年とすると、30年が経過している。今はイケメンタレントが、美少女フィギュアをたくさん持っていてもだれも何にも言わなくなった。

ここまで書いて、非常に虚しくなった(笑)。
すべてがどうでもいいことのように思う。

私が二次元美少女コンテンツに、かなり興味を失ったのが2000年代頃からだったと思う。
別に「二次元美少女シーンに元気がなくなった」とはまったく思っておらず、むしろ盛り上がって行ったのではないかと思うが、私にとって「絶対交換不可能な何か」はいつの間にか永遠に失われてしまった。

とくにガッカリするのが、エロマンガとかちょっとエッチなマンガを読んでいると「ああ、AVを観て、それを参考に描いているな」というのが丸わかりのとき。
オマエ(描き手)がアクセスできる情報には、おれだってアクセスできるんだから。そういうのいいよ、と思ってしまう。

もはや「幼少の頃、最初にエロスを感じたのは何か?」とアンケートしても、「ウルトラセブンが怪獣にやられて組み伏せられているところ」とか「ウランちゃんのパンモロ」とか「魔女っ子メグちゃんのオープニング」などの、「えっ!!」と思う回答は、デジタルネイティブ世代からは出てこない。
「よく覚えてないけど、ネットで観たエロ動画」
とかばっかりで、つまらないんですよ(街頭でそういうのを若い人に聞く企画のユーチューブ動画を観た)。

ただし「ブラックマジシャンガール」とか「ビックリマン」の「十字架天使」という回答を聞いたときは、「いいことを知った!!」と思いましたけどね。

そしてこのテキストは終わる。書き出しと結末が、大幅に違ってしまって、書いた私は大変に満足である。

おしまい

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