実業団の仕組みってもったいなくね?という話。


みなさん、こんにちは!
13分台チャレンジャーのRYOTAROです!


今回は、陸上界の発展を考えたときに、

「実業団の仕組みってもったいなくね?」

と感じたので、それについて話していきたいと思います。


予め説明しておきたいのは、既存の実業団で活動している、コーチ、選手を批判する内容ではありません。

実業団という仕組みに対しての「改善・提案」ですので、そこだけは誤解のないように読んで頂けると幸いです。

では、早速、本題に入りたいと思います!


なぜ、実業団システムがもったいないと感じるのか?


結論を先に言うと、"資金の使い道"にあると考えています。

実業団チームというのは、年間の維持費が平均2-3億円と言われ、

仮に日本に50チームの実業団があるとすると、約100億円近い資金が運用されています。


では、この100億円は一体何に使われているのか?と言うと、以下の使い道が主となります。

・人件費(コーチや選手の給料)
・強化費(合宿やレースの費用)

他の使い道もあると思いますが、この二つが大きな割合を占めるのは間違い無いでしょう。


「これの何がもったいないの?」

と思った方も居ると思いますが、よく考えると大事な要素が抜けていませんか?


人件費や強化費と同じくらい大切なもの。

それは、陸上競技を認知してもらう、興味を持ってもらう、会場に集客する、会場に来て下さったファンを楽しませる取り組みです!


既存の実業団システムを他の物に例えてみましょう。


例えば、あなたがコーヒー屋さんを経営しているとします。

「コーヒーはやっぱ味だよね!」

と、考えるあなたは、とにかく、めちゃくちゃ美味しい一杯のコーヒーを求めて、

コーヒー豆を海外に買い付けに行ったり、豆の挽き方も、あーだ、こーだ、と、こだわってみたり、とにかく最高に美味しいコーヒーを作るわけです。


最高のコーヒーも出来たし、いよいよコーヒー屋さんをOPEN!!

ところがお客さんは1人も来ない…

それもそのはず、どれだけ美味しいコーヒーを作ったところで、誰にも知られていないコーヒーに価値はありません。(価値は生まれない)


現在の実業団でも全く同じことが起こっていると私は思っています。

選手をいくら強化して、どれほど良い記録が出たとしても、それを多くの人に知ってもらわない事には、スポーツビジネスとしての価値、スポーツとしての価値は低いと言えるでしょう。


ここで一つご覧頂きたいものがあります!

下図はキャズム理論という考え方で、キャズム理論とは、イノベーター理論におけるイノベーターとアーリーアダプターを初期市場、アーリーマジョリティーからラガードをメインストリーム市場とし、両者の間には「キャズム」と呼ばれる深い溝(市場に製品やサービスを普及させる際に超えるべき障害)があって、この溝を超えることが市場開拓において重要だとする理論です。(この説明はネットから拝借しました)


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要は、ものごとが普及するためには、マニア→一般への間に巨大な溝があり、それを乗り越えられずに普及できないものごとが多すぎるぞ!戦略的にやらねばならんぞ!と言う考え方です。


まさに今の陸上界がそうで、陸上競技を愛してくれているマニアと一般層との間には大きな溝があります。

東京マラソンの活躍で大迫傑選手を知っている人は多いけど、2番手、3番手の選手を知っている方はどれほどいるでしょうか?

特に現代は、機能的価値(タイムや順位)もさることながら、情緒的価値(選手の個性・ストーリー)を併せ持つことが必須と言われています。


陸上界に当てはめて考えてみると、今はひたすら機能的価値だけを追い求めている状態です。

この日本に陸上競技のタイムや順位に興味のある方なんて、どれほどいるでしょうか?

おそらく10%も居れば良い方だと思いますが、残りの90%をファンにするための取組みが業界として必要だと思います。


なぜ、このような状態になってしまうかと言うと、実業団というは、各企業が本業で利益を出し、その利益の中でチーム運営がされています。

企業は本業で利益を出している以上、実業団チームで利益を生む必要はありません。


利益を生む必要が無いと、どうなるか。

ただただ、コーチ・選手を雇用して、強化するだけの毎日が繰り返されます。

陸上競技をスポーツビジネスとして発展させると言う視点で、資金を使って施策を打ったりする事は、ほとんど無いわけです。

せっかく100億円近い資金があるのに!!!


これって、「企業」「選手」「ファン」誰も得してない状況だと思いませんか?

では、どうやったらこの課題を解決できるのか?

その答えはクラブチーム化にあると思います!


なぜ、クラブチーム化が必要なのか?


クラブチームの定義ですが、仮に以下のように設定します。

●クラブチームの定義
クラブチームの運営を主とし、その事業で利益を出している。

他競技では、野球・サッカー・バスケなど、この形式を取っていますよね!


プロ野球にしろ、Jリーグにしろ、Bリーグにしろ、各球団はスポーツの発展に加えて、スポーツビジネスとしての価値を高める施策もどんどん打っています。

なぜ、スポーツビジネスとしての施策を打つ必要があるかと言うと、これが本業になるからです。


チームを存続させていくためには、利益を生まなければいけない。


そのために、選手の強化だけでなく、競技自体を知ってもらう、興味を持ってもらう、会場に来てもらう、会場に来たファンを楽しませる、といった視点で施策を打っています。

実業団とクラブチームの大きな違いはその点にあり、そこに、今後の陸上界発展のチャンスも隠れていると考えています!


改めて話を整理すると、


●実業団とクラブチームの資金の使い道の違い

①実業団
・人件費
・強化費

②クラブチーム
・人件費
・強化費
・広告宣伝費
・興行費


これらの違いから、冒頭で説明した、「実業団は資金の使い道がもったいない」という結論に至ります。

競技力の発展だけを考えて資金を使うのか、競技力と競技そのものの価値を上げるために資金を使うのか、では、全く意味合いも、結果も異なりますよね!


こういった事情も考慮すると、今後の陸上界は実業団のクラブチーム化が主流になってくるのではないかと思っています。

実業団のクラブチーム化と言うより、今、実業団を持っている企業が実業団を解体し、その費用をクラブチームに投資する、と言ったイメージです。


今後の陸上界は三方良しを目指す


三方良しとは、近江商人の経営哲学のひとつで「売り手」「買い手」「社会」
この異なる立場、全てに貢献できてこそ、良い経営
という考え方です。

これを陸上界に当てはめると、「選手」「企業」「ファン」になります。


これまでの実業団システムでは、それぞれの立場で考えてみると、以下の課題がありました。


①選手
・ファンが増えにくい
・業界が発展しにくいのでスポーツ選手としての地位も上がりにくい
・報酬が上がりにくい

②企業
・成長率の低いマーケットに投資し続けてもリターンが少ない
・会社経営においてなるべく削減したい人件費を抱えることになる
・一企業あたりの負担額が大きい

③ファン
・ファン視点で運営されていないので競技を楽しみにくい

例)陸上競技って同時進行で複数の競技を行うけど、それってテレビで言ったら、一つの画面を2分割して、同じタイミングで2つの番組を流すのと同じくらい分かりにくいし、もったいなくね?とか。


もちろん実業団システムがもたらすメリットもたくさんありますし、これまでの日本陸上界を支えてきたのは、間違いなく実業団です。

クラブチーム化によって、これら全ての問題がすぐに解決するとは思っていません。


また、競技の特性上(試合数が少ないとか)野球やサッカーのように大規模なスポーツビジネスになるとは言い難いのも事実です。

しかし、長期的目線で考えたとき、陸上界をより発展させる潜在能力を秘めているのはクラブチーム化だと私は思います。


最後に


ここまで長々と書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

なぜ今回、このような記事を書いたかと言うと、陸上界の関係者には、既存の仕組み対して、問題意識を持ってもらいたいと言うのが一番の理由です。(上から目線で本当にすみません)

そしてこういった記事を投稿する事で少なからず反響も生まれると思っています。(もっと良い方法があるよ!とか、とにかく考えることが大切です)


決して1人では変えることのできない、大きなテーマなので、同士も必要です。

私自身は、今後の陸上界の発展にクラブチーム化が必須と考えているので、自分が先頭に立って、そういった環境作りをしていきます!


また今回は、競技的な要素には一切触れてきませんでしたが、競技的な観点から見ても、改善の余地があると思います。

幼少期から、将来を見据えたトレーニングを、計画的に、段階的に行い、長期的スパンで選手を指導する仕組み作りも必要だと考えています。

この話も長くなるので、また別の機会にしたいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

またお会いしましょう!








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