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「勝手にDI室」吸入薬について最近調べたこと

アストラゼネカ株式会社は、2022年3月30日 慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療配合剤「ビレーズトリ®エアロスフィア®56吸入/120吸入」(一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)の新しい吸入デバイスの承認を取得したと発表、 6月に販売が開始されました。

これで現在、同様の 3 種(トリプル)成分が含まれている吸入剤は 3 種類あります。

3 種 混合吸入薬

デュアル(dual) 吸入薬

① ビレーズトリから、LAMA を抜いたものが、シムビコート
ICS を抜いたものが、ビベスピ

② テリルジーから、LAMA を抜いたものが、レルベア
ICS を抜いたものが、アノーロ

③エナジアから、LAMA を抜いたものが、アテキュラ
ICS を抜いたものが、ウルティブロ

といった、見方も出来ます。

では、ここから本題に入りたいと思います。
トリプル吸入薬の効果は、デュアル吸入薬と比べると劣るのでしょうか?
もし、デュアル吸入薬に変更するのであれば、どれが良いのでしょうか?

文献①

COPD 患者に対するトリプル治療 vs LAMA/LABA の効果(1)によると、ICS/LAMA/LABA vs LAMA/LABA RR:0.73(0.64-0.83) P<0.00001
I2=78% とトリプル治療の方が良さそうです。

もし デュアル吸入薬で治療するならば、どれがいいのでしょうか?

文献②

Fluticasone Furoate/Umeclidinium/Vilanterol (FF/UMEC/VI=レルベア®) Triple Therapy(2) と他の治療法との比較 したネットワークメタアナリシス試験によると、レルベア®はテリルジー®の効果に比較的近い効果が得られている可能性があるかもしれない。
テリルジー® vs レルベア® 中等度または重度の増悪率 IRR:0.85(95%CI 0.80-0.90)

Adv Ther. 2022 Jul 17. PMID: 35849317 より作成

文献③

COPD 患者に対する 2重療法と3重療法の死亡率について検討したメタアナリシス&システマティックレビュー(3) において、ICS/LAMA/LABA と ISC/LAMA の死亡率は統計学的有意差が示されなかった。
RR:0.94(95%CI 0.72–1.24)

もしかしたら、COPD に対して LAMA を使わないという選択肢を持っても良いのかもしれませんね。
そんな LAMA が中心の LAMA/LABA の効果はどうなのでしょうか?

文献④

COPD 治療におけるウメクリジニウム/ビランテロール(アノーロ®)と他の気管支拡張薬の有効性の比較(3)によると、ウルティブロの効果はアノーロ®に近いかもしれない。

1つの答えとして

今回調べた中であれば、トリプル吸入薬からデュアル吸入薬変更するなら、レルベア®かアノーロ®が良いのかもしれません。
キットとしては、テリルジー®とレルベア®アノーロ®は同じエリプタ製品を使用していますし、変更後の操作についても違和感がなく使えるかもしれませんね。

参考:

1.Respir Res. 2021 Jun 22;22(1):183.PMID: 34154582
2.Adv Ther. 2022 Jul 17. PMID: 35849317
3.Life (Basel). 2022 Jan 25;12(2):173. PMID: 35207460
4.Adv Ther. 2022 Jul 20.PMID: 35857184

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