中世貴族の思考が日本を覆っているのではないか
日本大学がアメフト部を廃部するそうである。そりゃ学長と副学長が辞任する事態となったわけだから廃部もやむを得ないと言えなくもない。けれども、たまたまテレビをつけるとニュースステーションで日大のライバルだった関西学院大の前監督が日大の廃部を批判して撤回するように主張していたわけである。
まあ、日大の学生達も廃部反対の署名活動をしているらしいが、そりゃ学長と副学長の辞任は重いので廃部が覆ることはないんじゃないかと思う。
問題はこういう厳罰化を喜ぶ一部のマスコミや識者達であろう。確かに違法薬物を合宿施設で使用した部員達は悪いのである。きちんと反省すべきである。そして真人間として出直すべきである。それを支えるのが教育の役目ではないのか。
さらにいうと、かかる不祥事に関わっていない多くのアメフト部員にとってはまさに青天の霹靂というより他ないであろう。まあ、戦前の旧日本軍の連帯責任のようなものである。水木しげるの書いた漫画ではゲゲゲの鬼太郎が有名だが、氏は大東亜戦役に従軍して南方戦線に赴いたのである。その体験を描いた漫画も数多くあるわけである。そこで二等兵の水木氏は同期の失敗があると自分が何もしていないのに連帯責任でビンタを食らった訳である。
ニュースステーションは左派のニュース番組ではないかと思うが、このアメフト部の廃止報道に単純に迎合して万歳三唱せずに一定のエクスキューズを入れたのは何故だろう。
最近の一連の事件、特にあの多くの男性アイドルグループを擁した芸能事務所のもう亡くなった男色家の元社長がご乱行の限りを尽くしたのをその社長が生きている間は一言も発しなかった大手マスコミが、死体ならば反撃はされまいとガンガンと死体蹴りを行い、事態収拾のために社長に就任した元アイドルも殴りまくった訳である。
また、宝塚の歌劇団の団員がお亡くなりになったことで理事長を辞任に追い込んだ訳である。
最近は24時間テレビの善意の寄付金を系列局の幹部が着服して使い込んだというニュースまで出てきた訳である。同じ理屈であれば、キー局の社長くらいが辞任すべきところではないかと思うけれど、これは同じテレビ局のよしみ、その追求にブレーキをかけるためにあえてカウンターのエクスキューズを出して追求の雰囲気を変えようとしたというのはゲスの勘ぐりであろうか。
同じような追求はかつて産婦人科の医療事故についても大々的に行われて、もう産科医療はその時に崩壊の憂き目を見たのである。
いや、このアメフト部の問題は24時間テレビの着服問題とは関係ないかもしれない。けれども、マスコミは自分たちの不祥事だけは軽くしか報道せず、外から見ると傷を舐め合っているようにしか見えない訳である。つまりは依怙の沙汰である。
いや実際のところは24時間テレビの着服問題も悪さをした人だけが刑罰を受ければいいのであって実際のところ関係のないキー局の社長は辞任しない方が良いのである。マスコミの人たちがありもしない「巨悪」の幻を見て追いかけて小悪にすぎないものを巨悪に見立てて叩き潰せという態度がアレな訳である。
そういうのを一般市民が真似をすると身近な学校の先生に暴言を吐く保護者が出てくる訳であろう。いわゆるモンスターペアレントである。小学校や中学校の先生はそういう保護者の対応に苦慮していて、その対応のために過重労働になった結果、小学校の先生のなり手が激減しているということではないか。まあ、財務省は「どうせ少子化なのだから学校の先生など増やさなくてもよろしい」という考えのようであるが。
こういうモンスターペアレントも別に異常者というわけではなく話をすれば普通の人だったりする。そういう人はマスコミが巨悪を追い詰めるというストーリーを見て自分の正義に確信を持ち、相手を馬鹿なネトウヨと認定して上級国民である自分が下等国民である学校の先生や公務員、もしくはその他下とみなした人を自由に殴りつけて良いのだという中世貴族のような思考になってしまっているのではないか。
そうなると日本が平等な国を目指すことは無理である。
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