ちゃんとしたデータで議論しよう。

まあ「日本は男尊女卑!」「家父長制反対!」と叫びたい左派やフェミニストたちの気持ちはわかるが、データくらいは正確に出そう。

不妊治療に保険適応反対を叫びたいのはわかるが、妊娠出産は生物学的なものであって男が代わってあげられるものではない。女性の勝手な都合で苦しみは男に全部背負わせろということは無理なんである。

つわりも出産時の痛みも生物としての人間が持つ経過であるから都合よく動かせるものではない。脳内では好き勝手なことが妄想できるが、そういう願いを文字に書いたところで、単にSFの世界になるわけである。

もちろん、制吐剤の発達や無痛分娩などもあるが、無痛分娩であるからといって分娩の苦痛がゼロになるわけでもないし、危険がゼロになるわけでもない。

もちろん、麻酔科医をもっとたくさん養成するための費用を国民が負担するというのなら別だが、そういう必要経費は医師自身がボランティアスピリットを持って自己負担せよということであればそういう人は育ってこないのが当然である。

不妊治療について、もっと医療費を安くしろということになると安全面が疎かになる。具体的にいうと、例えば感染リスクが増えてもいいですか?ということになる。日本人はそういうリスクを軽視しがちではあるが、不妊患者さんを特攻隊のように扱いそうである。安全にはコストがかかる。そういう点を無視したい人は大西中将に賛意を示すのが良いと思う。

不妊治療などに金を使うなら保育、教育に金を使えというのももっともらしい言い分ではある。

厚労省も保育所の整備については全力で取り組んでいることは確かである。

上のpdfが令和元年に出された保育状況のレポートである。ほぼ首都圏、近畿県などの大都市圏や中核都市に多くの問題があるというより他ない。過密の都市には保育園として適当な用地も少ないわけである。

教育については児童数が減少する中で、財務省は子供などよりも高齢者福祉のことで頭がいっぱいであるということであろう。高齢者が「自分たちのことより子供たちにお金を使って欲しい」と言えばいいのである。まあ、冗談レベルである。高齢者達は「昔の子供は学校などいかなくてもちゃんと育ったものだ。今の子供は甘えすぎている。学校を廃止して全部老人ホームにすべきだ」くらいのことは言いかねないのである。高齢者たちが自分の年金を減額しても見知らぬ子供達に使って欲しいという姿より現実的にありそうである。

妊産婦死亡については日本は世界のトップクラスに少ない国である。これは日本の産科医の努力の賜物というべきであろう。

妊産婦死亡率は最新のデータでは(2018年)出産10万当たり3.3である。実数にして31人である。

年間100万近くの出産で31人しか死んでいないのは驚異的と言うべきである。日本は世界で最も安全にお産のできる国の一つである。

それでも亡くなる理由の一つには脳出血がある。そもそもが、脳出血は妊産婦でなくても死ぬ危険のある疾患なのである。日本では脳血管障害による死亡は減少してきてはいるが、それは医療者や公衆衛生による粘り強い予防啓発活動の結果でもある。

それでも脳血管障害による死亡は全体の4位なのである。(2018年のデータでは老衰が3位を占めた。)

妊産婦死亡では分娩を直接の契機とする直接的産科死亡が67.7%でその原因には産科的塞栓、妊娠高血圧、出血などが含まれる。脳内出血はそのうちの一つである。

不妊の原因に男性側因子があるのは当然の話ではあるが、そこから「男性にも痛みがあったほうがいい」と言う話に飛ぶのはあまりにも飛躍のしすぎと言えるだろう。

そもそも男には妊娠出産の苦労はない。そのために日本で課した制度が結婚や家制度であった。つまり、家という人工的なシステムを継続させるために男は後継者としての子供を養い育てる義務があるという制度である。

けれども、現代日本のフェミニスト達やリベラリスト達はこの構造体を破壊したのである。家制度から自由になったのは女性だけではない。男性も家父長として後継としての子供を養い育てる義務はなくなったのである。残ったのは一個の人間としての男と女だけである。男にはもはや家族を養う性的役割分担すらない。子供を持つ必要がなくなれば男は特に結婚する必要もないし、独身人生で、自分の稼ぎは自分が好きなように自分で使えばよくなったのである。

子供を産みたい女性は自分でなんとかすればいいんですよ。男に責任を負わせようというのは個人を抑圧するものでしかない。同一労働同一賃金で何も問題ないよ。女性は頑張って子供を産んで育てれば良い。そこに男を介在させようというのが間違いでしょう。女性は自分で誰か知らない人の精子を買って人工授精でもして一人で産んで一人で育てましょう。

それがフェミニストやリベラルの理想像でしょう?今更男に責任などを押し付けてこないでいただきたい。むしろ、結婚制度を廃止して個人個人自由に生きて行くべきですね。そうすれば夫婦別姓などの下らない議論も必要なくなりますよ。結婚しなければ夫婦にはならないのですから。

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