批判を浴びていることがなんだっていうのだろうか

文系の人の記事にこういうものがよくあるが、こういうのを見ると文系の学問はサイエンスではないと言わざるを得ないのである。このラムザイヤー氏の論文は韓国では即座に非難の対象になったらしいのであるが、それは韓国の歴史神話に、日韓併合時に慰安婦を軍が強制連行したというものがあり、日本軍は悪魔である。日本政府は戦時賠償の必要があるという主張がある。

実際、占領地では軍政が敷かれた場所もあり、そういう場所では軍部が慰安所の開設について事務を行なった場合があったのは確かである。しかし、軍自体は組織としては慰安所とは別であり、かかる人員を軍属として雇用したことも否定している。彼ら軍はあくまでも、慰安所の経営は民間の業者の責任であり、軍は別という立場である。

実際のところ、軍人の中にはオランダ人捕虜から慰安婦を出せ、と要求したものはあったのだけれど、それは特に民間の慰安所の私的な代理として行なったわけでもなく、強制連行をしたわけでもなかった。実際には捕虜の中で娼婦を職業としていたものたちが対応したという話だったと思う。その軍人は戦後、戦争犯罪として裁かれるにあたり自決したそうである。

同様の事例は満州からの日本の避難民においても発生しており、追走するソ連軍兵士は避難民の命を助ける代わりに若い女性の供出を求めたそうである。オランダ人捕虜の慰安婦の場合には日本軍の兵士は代金を支払ったと記憶しているけれど、ソ連軍の場合には代金は「見逃す」ということであったので特に支払われなかったのではないかと思う。

やっていることは同じでも、ソ連軍の兵士は戦勝国なので罪に問われることなどなかった。勝てば官軍ということである。

それはさておき、慰安婦についてであるが、韓国人元慰安婦の証言でも、しばしば証言自体が変わるので確定的なことを言うことは困難である。ただ、何人かの慰安婦は親が前借りして子どもを慰安所にやったり、本人も儲かる仕事、ということである程度、仕事内容を想定して慰安所に向かった者も散見される。日本人慰安婦の証言では、最初、事務の仕事ということで応募したけれども、大陸に渡ってから「実は慰安婦の仕事もやって欲しい」と言われて、今更日本に帰ることもできないのでなし崩しに承諾したという話を見たことがある。

契約書については日本では雇用契約書を作成する習慣の方が稀だったのではないかと思う。私も実際に自分の雇用契約書を見たことがあるのは1〜2回しかない。当時の日本で雇用契約書を作成してお互いに判でもついて契約を取り交わすという習慣があったかどうかすら怪しいような気もする。

むしろ、親がお金を前借りして、子供を年季奉公として慰安所に送った場合の方が借用書として書類が残っていたのかもしれないと思う。もちろんこれは雇用契約書というわけではない。むしろこの形態は債務奴隷としての奴隷契約にあたるだろう。

少なくともサヨクやリベラルの想像する、軍隊がトラックを引き連れて村に入ってゆき、若い女性を手当たり次第、トラックに積み込んで奴隷として連れて行ったというのはフィクションであろうと思う。

ということで、この記事では氏の論文のどの部分がどう不適切なのかも言わず、ただUCLAの教授が集めたたくさんの署名があることしか言っていないのである。

最近の左派リベラルでも「熟議民主主義」なんて言って、少数意見の尊重を叫んでいるのに、反対意見がたくさんあるから反対が正しいのであるなんて主張してどうしたいのだろう。ラムザイヤー氏が「少数意見」であるからこそ間違っているのだ、というならば、まずは「熟議民主主義」を叫ぶ左派リベラルたちを論破してから来て欲しいものである。

ラムザイヤー氏の論文はレベルが低いから論外であると言って、何がどうレベルが低いか具体的なことを言わないのであればそれはどういう観点からもサイエンスではない。むしろ黙って座ればぴたりと当たるという占いの世界、もしくは宗教の世界に近いのである。

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