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プロ農家さんが作るかぼちゃの栽培方法~種まきから定植まで~

お久しぶりの更新。

今は能登で農家さんのもとで一緒にかぼちゃ栽培をしながら畑の一画をかりてさまざまな野菜作りに挑戦しています。

かぼちゃ作りは去年からちょこちょこ手伝っていたので、部分部分では栽培方法を見てきました。でも、今回はイチから一緒に作っているということもあって、かぼちゃの栽培方法を一連の流れで記録に残しつつ、どうやって作られているのか紹介したいなと思い、noteに書き留めることにしました。

ただ栽培期間は長期間に及び、その中で複数の工程を踏んで栽培していくのでいくつかに分けて記録に残していこうと思います。

一回目は種まきから定植までの流れについて書き記していきます。

ハウスの準備

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ハウスを準備しだしたのは2月頃。まだ雪が残っていました。

かぼちゃは寒さに弱く、種が発芽するためには30℃近くの温度が必要です。地面に直接種をまく方法もありますが、発芽しないものが出てくるので上手く育てていくためにはビニールハウスを建てないといけません。

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絨毯の下には電熱線が入っており、これで土を温めます。

室内は通路を挟んで2ブロックあり、そこで育苗を行っていきます。

かぼちゃの種入れ

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種を植えたのは3月18日。セルトレイという種まき用のトレイに培養土を入れて1粒ずつ種を入れていきます。

種を入れた後はコモという麻でできたような敷物をかけて乾燥を防ぎます。温度も25度を切らないように日中はハウス内の扉の開閉やビニールをあけたりと細かく調整します。

発芽したのは4日後。そこからは一気に大きくなっていきます。

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発芽した苗。双葉がぴょこんとして可愛い

苗の仮植作業

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双葉がある程度大きくなればポットに仮植をします。畑に定植するまでは、このポットの中で育てます。

最初は土の温度を下げないようにポットをぎゅうぎゅうに並べていますが、育っていくうちに葉が重なり合っていくので、すき間をあけるためにポットを移動していきます。

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最初は32個並べていたのを18個、そのあと14個、最後は11個まで減らしていきます。(これが結構手間…笑)

最初からもっと減らせばいいのに、と思ったので聞いてみるとかぼちゃの苗の大きさをそろえるにはこの方法が一番いいとのこと。また、移動する際に1つ1つ苗の様子が見れるからいいとのこと。

確かにこの方法をしていない他のカボチャ農家さんを見ると苗の大きさが不ぞろいだったり、うまく発芽していなかったりとうまくいっていませんでした。

苗を育てるために温度以外に重要なことが水分管理。水をあげすぎてしまうと徒長といって、ひょろひょろと茎ばかりが伸びてしまい、病気になりやすい苗になってしまいます。

徒長のないがっしりした苗を作るのがこの段階で最も大事なことです。

畑の準備

カボチャの苗作りをしている間に畑の準備をしていかないといけません。カボチャを植えるところにあらかじめ肥料を入れます。

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大農家さんは機械でまくんだけどここは手作業

肥料を散布する専用のリュックに鶏糞や化学肥料を入れて畑の中を歩きます。まいていくうちに軽くなりますが、リュックの重さは最初は20㎏以上。農家さんは74歳だけど、軽々とヒョイヒョイ歩くのですごいです。

肥料を入れた後はトラクターで撹拌し、土に混ぜていきます。そのあと、マルチを張っていきます。

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初めてマルチはりを見たときは感動したなぁ

マルチは大きく分けると透明、黒、シルバーの3種類あります。
それぞれ特徴があって、透明は地温をあげるのに最適(ただし光を通すのでマルチ内に雑草が生える)、黒は光を遮るので雑草防止になる(ただし地温が上がりにくい)、シルバーは光の反射効果で害虫防止になります。

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マルチを張った後は定植後に不織布をかけるので、弓を張ります。1本ずつなので、これもまたなかなか手間でした。

苗の芯止め

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かぼちゃの苗から4枚目の本葉で出てきたころに芯止めという作業を行います。芯止めとは野菜の茎の先を切ること。

こうすることで上に伸びないようにして脇芽(かぼちゃができるツルになる)の生長を促し、収穫時期やサイズもそろってきます。

1つ1つピンセットで作業を行います。

カボチャの定植

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畑に定植する前にポットごと液体肥料と薬が入ったプールにつけます。十分に水が浸透したらプールから出して時間をおいてから定植作業に入っていきます。

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ポットを定植用の器具に入れて、マルチの上から差し込んでいきます。

定植したあとは、
1.植えた周辺がスカスカなのでスコップで土を入れて水分が抜けにくくする。
2.霜対策に不織布をかける。
3.不織布が風で飛ばないように耕運機で土を着せる。
という作業を行います。

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1歩動いてはしゃがんで土をいれるを繰り返すのでめっちゃいい運動笑

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ピーンと張るために押さえてる姿がツボ笑

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何十年前の年代物耕運機

定植終了

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ハウスを用意し始めたのが2月25日、種を植えたのが3月18日、定植初日が4月11日までなのでここまで約2か月ほど。

このあとは追肥したり、横に植えていた麦を刈って敷いたり、ツルの整理をしたりといろいろ行いながら7月終わりの収穫までお世話をしていきます。

この農家さんは約6000本ほどカボチャを植えています。
基本的には夫婦2人、そこに今年から僕が加わり3人、定植や種入れなど人手がいるときはヘルプを呼んで4~5人で行っています。

農家さんによっては、もっと人を使っていたり、1人でやったりしている方もいたりとさまざま。

同じ地域でカボチャを作っていても、この農家さんほど仕事が丁寧な人はいません。その分できるものがいいので業界の信頼も厚いです。いろんなところから視察にくるくらい。

そんな農家さんに出会えたことを幸運に思いながら引き続き頑張っていきまーす!

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