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誰でもカンタン らくらくアマチュアGM術(前編)

No GM, No Murder Mystery

マーダーミステリーにとってゲームマスター(GM)は必要不可欠な存在です。
ほとんどの作品はGMがいなければゲームを進めることができません。ちょっとしたギミックであってもGMがいなければ成立させられませんし、GMレスと謳っている作品の中にも実際にはGMがいないと作者の想定通りに遊べないものが多々あります。
名作、秀作のほとんどはGM必須です。

そんなマーダーミステリーに不可欠な存在であるGMですが、いざGMをやるとなるとなかなかに大変です。プレイヤーと違ってプレイ前から準備を進めなければいけませんし、ゲーム中も操作ミスや勘違いなどでゲームを台無しにするかもしれないというプレッシャーがかかっています。
もちろん大変なだけではなく、他人のプレイを特等席で見学できる、みんなに楽しんでもらえるという喜びはありますが、プレイヤーから見ればときに殉教者に見えるような苦労があるのは事実です。
プレイヤーは配役キャラクターをプレイするだけですが、GMは進行役、裁定役、ストーリーテラー、エンターテイナーといくつもの役割をこなします。
プレイせずにGMを行うことが「自害」と表現されるのも、プレイヤーとしてプレイしてこそのマーダーミステリーとい考えが根底にあるからでしょう。

そこでアマチュアGMとしてなにができればいいのか、GMの基礎についてレベル1~レベル3の3段階に分けて紹介します。
レベル1は作品を最後までプレイするために必要なこと、レベル2と3は参加した全員がより作品を楽しむために行えることです。積極的にやった方がいいこと、余力があればやった方がいいことがレベル2と3の違いです。
アマチュアGMというのは、”無償あるいは作品の実費のみで主に知り合いに対してGMを行っている方”を指しています。
対象をアマチュアに限定しているのは、オンライン作品やパッケージ作品のほとんどがアマチュアによって遊ばれる一方で、アマチュアGM向けのガイドを見かけたことがないからです。
いまは500近い作品がありますが、プロGMによって公演される作品はその中でごくわずかです。

いずれも準備時間が1時間でできることを目安にしています。
これはアマチュアGMも作品を楽しむ側の人間であり、プレイヤーと同じ観客側にいるので、過剰な負担は望ましくないという考えに立脚しています。
プロGMであれば金銭という対価を得てサービスを提供する立場であり、登場人物を演じるプレイヤーはお客というビジネスの関係が成り立っています。しかしアマチュアGMは共に作品を楽しむお客側であり、プレイヤーとは役割が異なっているにすぎません。
それなのにGMばかりが過剰に負担を負うのは搾取につながります。
そこで1時間をメルクマールとしました。2~3時間のプレイに対してその半分程度の時間というのは妥当なところでしょう。

市販の作品でGM準備に時間がかかるようであれば、それに見合うだけの面白さが担保されているという高い評価がなければ、積みゲーになる可能性が大です。
また複雑なシステムであってもGMガイドがしっかりしていれば理解も早く、準備時間も短くなりますし、実際にはそれほど複雑でなくてもGMガイドが稚拙であれば準備に時間を要します。
GMガイドの重要性を説いた記事を公開していますが、それもGMの負担を軽減するため、ひいてはなるべくたくさんの人に作品をプレイしてもらうためという意図を込めています。

有償公演を行うプロGMと比べると、アマチュアGMに求められるクオリティはまったく異なってきます。
プロにとっては当たり前のことでも、アマチュアにとっては当たり前ではありません。プロであれば公演の準備に無限の時間をかけられますし、かけるべきですが、アマチュアにそれを求めるのは酷というものです。
2~3時間遊ぶためだけにそれ以上の時間をかけて準備しろと強制するようでは、GMを名乗りでてくれる人がいなくなってしまいます。家庭での日常の食事にレストランで出される料理を毎回求めるようなものです。
もちろんその人が自発的に労力をかけることは歓迎すべきです。それに対してプレイヤーは感謝こそすれ、強要することではまったくありません。

次回から実践的な説明に入っていきます。

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