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オンラインマーダーミステリーのプレイ方法(Discordとユドナリウム)

はじめに

「Discord(https://discordapp.com/)」と「ユドナリウム(https://udonarium.app/)」を使ってマーダーミステリーをオンラインでプレイする方法についてまとめました。
「Discord」は音声やテキストによるコミュニケーション用ソフト、「ユドナリウム」はブラウザベースのアナログゲーム支援ツールで、いずれも無料で利用できます。

一般的なマーダーミステリー作品のプレイでは「各プレイヤーへのキャラクター設定書の配布と読み込み」、「全体での議論」、「少人数での密談」、「情報カードの入手、交換、全体公開」が必要なアクションです。
これらがオンラインプレイで実現できるのか不安視される方もいるでしょうが、「Discord」と「ユドナリウム」を利用すれば対面プレイと遜色なく再現できます。
実際、プレイヤーが7人以上の本格的なマーダーミステリーも市販されていて、対面に勝るとも劣らない作品がオンラインで体験できます。

Discordについて

テキストチャットとボイスチャット、個別メッセージによるコミュニケーションツールで、ユーザーが作ったサーバーにログインします。サーバーはユーザーが自由に無料で作成できます。
チャンネルという概念があり、特定チャンネル内でのテキスト、音声はチャンネルに入っているメンバーのみが閲覧できます。チャンネル間の移動は移動したいチャンネルをクリックするだけで、直感的な操作です。

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オンラインプレイでは「各プレイヤーへのキャラクター設定書(ハンドアウト)の配布と読み込み」、「全体での議論」、「少人数での密談」をDiscord上で行います。
さまざまなプラットフォームで利用可能で、スマートフォン、タブレット、パソコンとどのプラットフォームからDiscordに接続しても問題ないでしょう。もちろんボイスチャットを行うのでパソコンから接続する場合はヘッドセットが必要です。
Discordとユドナリウムは直接連動しているわけではなく、同一ハードで動作させなくても良いので、Discordはスマートフォン、ユドナリウムはパソコンからアクセスしてプレイといったスタイルも可能です。

サーバーにはGMなど主催者がプレイヤーとフレンドになって招待を受ける、招待用URLを発行してURLからアクセスしてもらうことで参加できます。
テキストは全員が参加しているチャンネルで全体告知(テキストだけでなく画像やPDFも送受信可能です)、個別メッセージで各プレイヤーの設定書の送付、GMへの個別質問のやり取りを行います。
ボイスチャットは全体議論をするチャンネル、密談用のチャンネルをそれぞれ用意することで、全体議論と密談が実現できます。
ユーザーが同時に入れるチャンネルは1つで、ほかのチャンネルの音声は聞こえません。対面ではゲームスペースの都合で、盗み聞きとは言わなくても密談の内容が耳に入ってしまうことがありますが、Discordではそのような問題は発生しません。
ボイスチャンネルは入室できる人数を変更できるので、人数上限を設定しておけば密談に割り込む、誤操作で入ってしまうといったことも防げます。

Discordではユーザーがそのサーバー内でどういったことが行えるのか、かなり細かくカスタマイズしたロール(役職)を付与できます。
たとえばチャンネルの管理、サーバーへの招待、ほかの参加者のBANなどです。サーバーはいくらでも作成できるのでGMを行う人が管理者となるか、チャンネルの管理、ほかのユーザーのチャンネル移動権限などを付与しておくとスムーズに進行できます。
またユーザー名とは別に、そのサーバー上でのみ表示名を自由に変更するニックネームという機能があります。ユーザー名のままだと配役が分かりづらいので、ニックネームを自分がプレイするキャラクター名に変更するとわかりやすいでしょう(チャンネル上の自分の名前を右クリック>ニックネームの変更)。

ユドナリウムについて

アナログゲームをオンラインでプレイするための支援ツールです。ブラウザからアクセスするだけで、ゲームの盤面、駒、カード、トークンなどをオンライン上で無料で再現できます。参加しているプレイヤーの操作、盤面の状況が同期され、同じ盤面を参加プレイヤー全員で共有できます。マーダーミステリーに限らず、TRPGやボードゲームでも活躍します。
オンラインプレイに対応しているマーダーミステリーのデファクトスタンダードで、オンラインプ対応作品であればほぼすべてが購入時、あるいは作品紹介ページで、盤面をセットアップ済みのユドナリウム用データが公開されています。
このデータをユドナリウムで読み込むだけで、プレイのための準備は完了です。

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オンラインプレイでは「情報カードの入手、交換、全体公開」をユドナリウム上で行います。
ユドナリウムはさまざまなプラットフォームで利用可能ですが、マーダーミステリーではパソコンもしくはタブレット、ブラウザはGoogle Chromeが推奨です。
スマートフォンからでもプレイできますが、画面が小さくて全体の盤面を見渡すことができず、誤操作も起きやすく、ユドナリウムとDiscordの切り替えも大変なのでユーザビリティがよくありません。
ブラウザはGoogle Chrome以外でも動作しますが公式に推奨されているのがChromeで、それ以外のブラウザでは一部の操作や同期がうまくいかないことがあります。

プレイにあたって覚えるべき操作は多くありません。
サーバーにはGMなど主催者が自分のIDを各参加者へ伝えて、接続情報>接続したい相手のIDに入力することでアクセスできます。
入室後の操作で必要なのは、マウスのクリック&ドラッグで盤面の移動・回転、マウスホイールで拡大縮小、カードを全体公開で見る(カードをダブルクリック)、自分だけ見る(カードを右クリック→自分だけ見る)、カードの束から1枚引く(カードを右クリック→1枚引く)くらいです。

初期状態ではすべての参加者のニックネームがプレイヤーとなっています。ニックネームはカーソル上やカードを保有している際に表示されるので、キャラクター名に変更します。接続>あなたのニックネームから変更するだけで反映されます。

プレイヤーが注意すべきは、自分だけが閲覧しようとして全体に公開してしまった、1枚だけカードを引こうとしてカードの束を持っていってしまった、カードなど必要なアイテムを削除してしまったといった誤操作です。対面プレイでほかのプレイヤーの設定書が見えてしまっているときと同じく、なるべく見ないようにしてそっと注意してあげるのが良いプレイヤーです。
カードの裏面は画像データで、メニュー>画像にすべての画像が表示されます。プレイヤーが通常プレイでは開く必要のない項目なので、ネタバレしないためにもくれぐれも画像の項目は開かないようにするのがフェアプレイの精神です。

もう1つの注意点はカードへ殺到して混沌としないことです。ゲーム開始直後に情報カードへプレイヤーが群がって、次々にカードが引かれていくというのは対面のマーダーミステリーでもよくある光景です。
オンラインでもどんどんカードを引くこと自体は構いませんが、プレイヤー同士の遠慮が一切ないと、誤操作でカードが全体公開される、自分が引きたかったのとは別のカードを引いてしまうといった不幸な事故の元になります。
「全体議論の場でどれを取るのか宣言した上で順番に引く」といった、一定のルールを定めるのが良いでしょう。

ユドナリウムでは参加者がアップロードした音楽を全参加者向けに再生できます。
オンライン対応作品の中にはユドナリウム用データ以外に場面ごとに流す音楽ファイルもパッケージになっているものがあるので、それを再生することで作者が意図した雰囲気づくりを行うことができます。

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追記:ほかのゲームへ移動する際の注意点

あるゲームを終えて別のゲームを開始する場合や観戦する場合、必ずプレイ済みの状態の盤面を閉じて(ブラウザを閉じて)初期状態に戻してから接続してください。盤面を開いたまま別のゲームに接続すると2つの盤面が混じってしまいます。一度混じってしまうと直前の盤面を復元するには、初期状態から手動で戻すしかありません。プレイ済みでカードが公開された状態でほかの盤面へ入るとネタバレすることにもなります。見学しようとしてゲームをリセットさせた上に別ゲームのネタバレまでしてしまうということがないよう、必ず初期状態から接続するようにしましょう(画像はライカンと狂気山脈の盤面が混じった状態)。

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その他のプレイする上でのTips

- GMが最も気を遣うのが、各キャラクターへ個別で渡す設定書などの送信です。メッセージのキャンセルはできるものの、誤送信しないようにプレイヤー名と配役でしっかり送信先を確認して送信しましょう。配役の送信が無事にできればGMの仕事は8割がた終了といっても過言ではありません。

- 音声だけだと誰がしゃべっているか咄嗟には判断できません。公開議論で話し出す前に配役名を付けるとわかりやすいでしょう。たとえば「アリスです。私はボブと3時に一緒に部屋にいました」などです。

- 犯人投票が一斉投票ルールの場合、ボイスチャットで全員が一斉にしゃべっても混乱するだけなので、Discordの個別メッセージでGMに送るか、1人ずつGMと密談するのが良いでしょう。

- Discordで特定の人だけ音声がぶつ切りになる場合、ユーザー設定>音声・ビデオで入力感度を自動検出ではなく手動にして-70db程度に設定すると改善されます。

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- タブレットでDiscordとユドナリウムを起動している場合、ユドナリウムが一定時間バックグラウンドに回っているとログアウトすることがあります。ただし再接続すれば盤面は再現されます。

- 俯瞰の角度によってユドナリウム上のカードやトークンが表示されないことがあります。急にアイテム類が消えたと思ったら、角度を真上にしてみるなど調整するとたいてい表示されます(マウス右クリックのまま盤面をドラッグ)。

- ユドナリウムの盤面は誰か1人が接続していれば維持されます。何らかの事情で中断することがある場合、保存ボタンを押すと盤面がZIPファイルとしてダウンロードできます。それを読み込むことで再開が可能です。

- うまく接続できない、声が聞き取れないなどオンラインプレイ特有のトラブルはどうしても発生してしまいます。プレイ時間は余裕を見ておきましょう。

オンラインプレイ対応作品

別記事でオンラインプレイに対応した有料作品リストを公開しているので、そちらもご確認ください。

GMのマスタリングについて

ゲームの進行という観点ではオンラインと対面でのGMの作業はほとんど変わりません。Discordとユドナリウムに多少習熟していることが望ましいですが、GMだけ特別な技術や知識が必要ということはありません。盤面のセットアップが一瞬でできる、密談を聞きやすい、(見られる心配がないので)ネタバレな情報を整理しやすいといった面では、むしろオンラインの方がすぐれています。

ただしより良いGMという観点では工夫が必要です。プレイヤーがゲームに参加するのはほとんどの場合に自宅で、ほかのことを平行でやりやすい環境です。家事をやりながら、スマホゲームをプレイしながらでもプレイできてしまいます。

どこかへ出かけていってプレイするというハレの体験ではなく、日常の延長線上でプレイできてしまうので、没入感を高める工夫が対面でのプレイ以上に必要です。またどうしても「Discordのチャンネル」、「ユドナリウムの盤面」といったゲームの世界観の外側の用語を使う頻度が上がってしまい、ひいてはゲームであることを意識させ、没入感を低めることになります。ここもなるべくその作品にあった言い方を考えた方が体験の質が高まることでしょう。

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