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「全力を尽くす!!@全国算数授業研究大会」

『第34回 全国算数授業研究大会』

2019年にこの「全国算数授業研究会」の幹事に推薦して頂きました。
それ以前、特別支援からステージを変えた1年目からずっと参加してきたのがこの研究会です。そして、余程の用事と重ならない限りは、毎年参加してきたのが、夏の研究大会です。ここで、名高い先生方に憧れ、その姿や考えから多くのことを学んできて今があるわけです。
今回は、「授業選手権」「公開授業②」を担当するという機会をいただけました。
まずはここにねらいを定めて進んできた自分にとっては、大きなチャンスでした。
「チャンス」とは、名前を売るとか、出版したいとかいうことではなく、「自分の力量を試す」という意味です。
「名高い先生に憧れ」と書きましたが、「尊敬し、憧れつつも、負けない気持ち」を持つことを忘れないようにしてきました。当然、所属も立場も役割も経験年数も違うわけですが、どなたも先生という見方では同じで、小学○年生の担任という見方では役割も同じで、授業者という見方ではやるべきことも同じです。
「すごいな」で終わらせず、その「すごい」を越えようと高めることを意識して、色んなことに挑戦してきたつもりです。
その「自分の力量を試す」チャンスを頂けたと思い、自分の今を全力で伝えることが、今年度の目標としたわけです。
選んで頂いたことに対する責任と役割を忘れず、なおかつ、自分のしたいこと提案したいこと、これまで大切にしてきたことを出し切る機会にしようと心掛け、その時をむかえました。

⑴提案
本授業で提案したいことは3点でした。
①誰でもできる:教科書教材レベルの教材と発問の開発
②働きかける :「問い」は、教材や問題を与えるだけでは生じない。子ども達が、目的をもって対象を動かす。他の場合はどうだろうかと、対象を変えてみる(『受動から能動へ(正木孝昌)』参考)。対象に働きかけることによって、「問い」や「やってみたい」が生まれ、熱中する。そうやって、自分の「したい」を作っていくことが、自立した学びと考える。
③概念の獲得 :「内包(抽象・性質)⇄外延(具体)⇨概念達成」で着眼点に気づく

⑵授業選手権(プレゼン)
・5分の枠で30秒延長してしまった。
・自分のしたいことに時間を使い、授業の具体を伝えようとしていない。
・先行実践やお名前を出すときに配慮すべきこと。
この5分についても多くの反省がありました。そもそもここは準備不足でした。この力不足も、授業力に大きく関わる部分だと思います。短い時間で目的を達成する力は、実はすごく大事な力だと、改めて感じました。

⑶公開授業②
(今回の環境から考えて、子どもがタブレットを使うことは無しという設定)
教材はシンプルなもので、「画面上を移動する魚をつかまえる」それだけです。
その画面上には、5つの点があることで、点と点をつなぎたくなる。そこに魚がいる。つかまえろと言われる、囲みたくなる。「囲みたいけど…」とトラブルが生じる。
この過程で、「3辺」→「直線」→「囲む」という着眼点を一つずつ獲得していく。
「さんかく」が「三角形」になっていく。最後に確認すると教科書の用語の説明と合っている。
この学習を経て、自分のやってみたいことに取り組む。
・教材に働きかける:魚を動かせば、増やせば。点を1つ打つとすれば。
・図形に働きかける:どんな形の三角形があるのかな。
・見方に働きかける:直線という着眼点で図形を見れば。辺の数で。囲むでいうと。

「教える」と「引き出す」の兼ね合いで揺れ動くことはせず、子どものもっている感覚を引き出すことの一点張りの授業展開です。これは、子育ての経験と子ども達と関わってきた経験とが合わさった今だから着想しているところがあります。2、3歳の子でも「さんかくは角が3つ」だとわかるし、「ちくちくのさんかく」と「まぁるいさんかく」と、言葉にして分けて見ているなと感じました。定義(厳密には違う?)が明確な単元では、「教える・教えない」を悩むことがありますが、教材研究の程度によっては定義が見えにくい単元では、その悩む割合が減っているのではないかと思い、それなら、算数は「感覚を引き出す」方向で良いのではないかと全振りした提案をしました。
全振りの提案にはリアクションが大きいもので、そこで頂いた意見で、今1番揺れ動いているのは自分だと思います。
なぜ「教える」のか。「教える」はそのまま伝えることではない。など、非常に大きな学びが返ってきました。また、「感覚を引き出す」に共感しましたというお声かけも多数いただき、その共感に嬉しくなりつつ、また新たに悩み始めている今です。

このように「教材で子どもの感覚を引き出す」「子どもの言葉で着眼点が明らかになる」「子どもの見方が、さんかくから三角形に変わる」「子どもがしたいことに取り組む」と、机上ではうまくいっているわけですが、実際はそううまくはいきませんでした。

子どもは何度も「直線」「囲む」の話をしているのですが、その感覚を徐々に引き出したいがあまり、見えつつも止まるをし続けてしまいました。もちろん、それらを板書はしたつもりで、点をつなぐ言葉「ティ」と板書をつなげて戻ってこようと算段したのですが…うまくいきませんでした。気づく時間は足りなくなり、「さんかく」という言葉が通り過ぎてしまっていました。提示する材の多さもあり、1番盛り上がるべき場面には、早送りで5分ほどしか使えませんでした。
「ティッ、ティッ、ティッ、ティッ、ティーン」…子どもたちからの最高のプレゼントをうまく活かせなかったなぁ…と寝る前に唇をかみしめました。
協議会では、僕がパネラーなら、言いたいこと満載の授業だなと思っていました。「あそこでこうしていたら…」が本当にたくさんありました。そもそも「直線で」「囲む」って指示したほうが良いよ。これって作図っていえる?あなたのしたい作図ってこれ?…「言いたい」がいっぱいの授業になったと思います。
子どもの「概念化」や「したい」の面では、満足いかない結果でしたが、先生の「言いたい」を引き出す授業にはなったのかもしれません。違うかな?

でも、子どもは熱中していたんじゃないかなと思います。日曜日に担任不在で筑波に連れて来られる。知らない先生と出会ってすぐに授業をする。色んな指示を出される。いつも通りふざけようとしたら注意される。その周りには100人を超える先生が見ていて、保護者もいる。この環境というおまけをつけて、自分の学びづくりのテーマの一つである「熱中度」については合格点をあげたいです(算数的かどうかは置いとかしてください。これもおまけで。)
50分ちょっとの授業が終わって、「もう終わりなん!?もっとしたいんやけど、トイレ行きたいのに我慢してたんだよ。もうあと2分でもれるくらい。」と言ってくれた子がいました。ここでもプレゼントだなと。ここで出会った28人の子達には、直接何も返してあげられないかもしれませんが、ここでの学びを色んなところに返していきたいです。
選んで頂いた先生の思い、選ばれなかった先生の思い、幹事としての役割、自分の思い、目の前の子ども達の思い、この会を運営する先生方の苦労、これまでにたくさん指摘・指導・アドバイスいただきながら育ててくださった先生方への感謝、たくさんのことを考えながら、今あるものを全部出し切ることはできたのではないかと思います。

それで48点。こんなもんでは、担任している子達に申し訳が立たないなと。
初めて動画を文字起こししようと思います。自分の全力を分析して、次に進みたいと思います。

観ていただいた先生で、お時間頂戴できるようであれば、ご指摘、ご感想などいただけるとありがたいです(既にたくさん声かけいただきましたが、もっと欲しい!)。
2学期、この教材でやってみたよという方がいらっしゃったら、どうだったか教えて欲しいです。むしろ、この教材で僕がやっていなかったらうまくいくんじゃないかと、「僕の力量不足なんではないか説」が自分の中にはあるので、やってみてもらえると嬉しいです。

最後に、自立の話と、作図の話はもっとしないといけなかったなぁと、親愛なる愛媛の後輩がくれたメッセージで反省していたところです。定規を出すタイミングが難しいなと、作図については悩んでいたのですが、定規で出して引いている子もいて、それを広げるタイミングも…悔しい!もう一回したいです!むしろ、どこかさせて欲しい位です!本校では2クラスともしてしまったから…それでも、夏休みで忘れているはずだから、2学期にもう一回します!

参観してくださった皆様、ご指摘くださった皆様、ご感想をくださった皆様、楽しんでくれた子ども達、会を…言い出すと、書き出すとキリがないのですが、やり尽くし、感謝の思いと悔しい思いでいっぱいの今をここに残すことに意味があるかなと。

最高の機会をありがとうございました。

次の目標や、今すべきことが定まった2日間となりました。授業、ミニ講座、ワークショップ、懇親会、出会い、大きな刺激を頂ける「全国算数授業研究会」、最高です。

#全国算数授業研究会
#全国算数授業研究大会


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